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トイレの花子さん

 春日町小学校には、「トイレの花子さん」という有名な都市伝説がある。三階の女子トイレの三番目の個室に行き、「花子さん、遊びましょう」と三回言うと、花子さんが現れるという。


 六年生のアキラは、この噂を信じていなかった。彼は幼馴染のマサオとレイに、「花子さんなんて本当にいるわけない」と豪語し、二人を誘って、放課後に挑戦することにした。


夜の学校は静まり返り、二人は怖がっていたが、アキラは勇敢にトイレの三番目の個室の前に立った。そしてドアをノックし、「花子さん、遊びましょう」と三回言った。


最初は何も起こらなかった。しかし、突然、ドアがゆっくりと開き、白いワンピースを着た少女が現れた。彼女は微笑みながら言った。「遊びましょう」


アキラは驚き、恐怖に包まれながらも、「どうやって遊ぶの?」と尋ねた。花子さんは「かくれんぼをしましょう。私が鬼になるから、あなたたちは隠れてね」と言った。


アキラとマサオ、レイは急いでトイレを出て、学校中に隠れた。アキラは校庭の大きな木の後ろに隠れ、マサオとレイもそれぞれ別の場所に隠れた。


数分後、花子さんの「見ーつけた」という声が響いた。アキラは恐る恐る木の後ろから顔を出すと、花子さんがマサオを見つけていた。その瞬間、マサオの悲鳴が響き渡り、次の瞬間には静寂が訪れた。


アキラは心臓が激しく鼓動する中、レイの隠れ場所に向かった。彼はレイを見つけると、「逃げよう!」と言った。二人は全速力で学校の外に向かって走り出した。


外に出ると、二人は息を整えながら振り返った。学校の窓から花子さんが見つめているのを見た。彼女は何か文句でも言いたそうな顔でこっちを凝視していた。


翌日、学校に行くと、マサオは行方不明になっていた。警察が調査を開始したが、手がかりは何も見つからなかった。


数週間後、アキラは自分の部屋で眠っていると、突然ドアが開いた。目を覚ますと、花子さんが立っていた。彼女は微笑みながら言った。「なんで勝手に帰ったの?かくれんぼは終わってないよ」


アキラは驚き、逃げようとしたが、花子さんはすぐに彼を捕まえた。「もう一度遊びましょう」と言った。アキラの視界が次第に暗くなっていく中、最後に見たのは、花子さんの冷たい微笑みだった。


春日町小学校では、アキラとマサオの行方不明事件が語り継がれることとなった。レイは唯一の生存者として、花子さんの噂が本当だったことを知り、誰にも話せずに怯える日々を過ごしていた。


ある日、レイのもとに一通の手紙が届いた。その手紙にはこう書かれていた。


「なんで勝手に帰ったの?かくれんぼは終わってないよ」


見覚えのある字だった。それは間違いなくアキラとマサオの字だった。レイは震えながら、手紙を握りしめた。


そしてその夜、レイはかけがえのない幼馴染と再会を果たし涙を流した。

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