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プロローグ:転生の時

平安時代の都、京の街は夕闇に包まれていた。西の空には朱色の残光がわずかに残り、東からは漆黒の夜が迫りつつあった。風は冷たく、季節の変わり目を告げている。街中の人々は日々の営みを終え、家路を急いでいた。その中で、ただ一人、安倍晴明はその場に立ち止まり、深い考えにふけっていた。


晴明の周りには不穏な空気が漂っていた。彼の前には、かつて見たこともないほどの強力な妖怪が立ちはだかっていた。その妖怪は人間の姿をしているものの、目は獣のように光り、背後には無数の影が蠢いていた。長い戦いの果てに、ついに最終決戦の時が訪れたのだ。


「晴明、これ以上は無駄だ。我々妖怪の力は、人間のそれを遥かに凌駕している。」妖怪のリーダーは嘲笑を浮かべながら言った。「お前の呪術も、この闇の力には通用しない。」


晴明は冷静な表情を崩さず、相手の言葉に耳を傾けた。その目には揺るぎない決意が宿っていた。「闇の力がいかに強大であろうと、私は諦めるわけにはいかない。人々を守るため、全力を尽くすだけだ。」


そう言い放つと、晴明は手に持った陰陽道の呪符を掲げた。呪符からは白い光が放たれ、その光は周囲の闇を押し返した。しかし、妖怪たちは怯むことなく、その力をもって晴明に襲いかかってきた。


激しい戦いが繰り広げられた。晴明は次々と呪文を唱え、結界を張り、妖怪たちの攻撃をかわしていく。しかし、相手の数は多く、彼自身も次第に疲弊していった。体力も霊力も限界に近づき、彼の身体は重く感じられた。それでも、晴明は決して諦めなかった。


「安倍晴明、ここで終わりにしてやる。」妖怪のリーダーは最後の一撃を放つべく、全力を振り絞った。その攻撃は尋常ではない力を持っていた。晴明はそれを受け止めるべく、最後の力を振り絞り、呪符を掲げた。


「護り給え、光の神々よ!」晴明は大声で叫び、その瞬間、彼の周りに眩い光が広がった。その光は妖怪たちを一瞬にして吹き飛ばし、辺りを浄化した。しかし、その代償として、晴明の体力と霊力は完全に尽きてしまった。


倒れ込む晴明。意識が薄れゆく中で、彼はふと微笑んだ。「これで、京の街は守られた。人々は安全だ…」その瞬間、晴明の視界は完全に暗転し、彼の意識は闇の中に消えていった。


目を覚ました時、晴明は見知らぬ場所にいた。周りは全く見慣れない建物と道、人々の服装も言葉も異なっていた。自分の体を見ると、見慣れた平安時代の装束ではなく、現代風の衣服をまとっていた。


「ここは…どこだ?」晴明は戸惑いながらも立ち上がり、周囲を見回した。目に映るのは巨大な建物と輝く看板、そして見知らぬ人々の群れだった。現代の東京に転生したことを、彼はまだ理解していなかった。


ふと、自分の手を見ると、そこにはかつての力が宿っているのを感じた。陰陽道の力は失われておらず、彼の中に確かに存在していた。「これは…何かの試練かもしれない。」晴明は自分に言い聞かせ、再び歩き出した。


こうして、平安時代の天才陰陽師・安倍晴明は、現代の日本で新たな人生を歩み始めることとなった。彼の新たな冒険と試練は、これから始まろうとしていた。

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