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転生したら、光源氏の妹だった  作者: みお
夕顔
20/27

大弐乳母の見舞い1

 17歳の光源氏はもう一つ大きく短い恋をする。その時期が来たのである。


 わたしの乳母めのとが言っていた。

大弐乳母だいにのめのとが病気になり出家されました」

 と。

 大弐乳母は兄の乳母で惟光これみつの母だ。

「私もお見舞いに行ったら迷惑かしら?」

「いえ、お喜びになると思います。」

「そう。なら、おにいさまに一緒に連れて行ってくださるようお願いして。」

「かしこまりました。」


 後日、兄と車に同乗し、大弐乳母の家のある五条へ向かう。後ろにもう一台車を連れている。

「おにいさま、どこかへ行かれますの?」

「うん。ちょっとね。」

「あら、お教えいただけませんのね。」

「かの方は並大抵の方ではないのでね。」

 あ、内緒にする気だな。でもちょっと自慢したい気持ちが透けて見えている。

「わたくしたちの間に秘密はございませんことよ。」

「ふふ。そうだな。」

 軽く甘えて見せる。隠せると思うなよ。

「お名前は申せないが、もう少し向こうにお住まいのとても高貴な方だよ。とても近寄りがたくて会うだけで緊張するぐらいだよ。」

 住んでるところ言ったらバレバレです。言いたいけど、言うほどの出来事がないということですね。聞くのちょっと早かったかな。失敗。

「また、お話してくださいませね。」

「ああ、今度時間のある時にね。」


 さて、到着だ。夕顔ゆうがおの家はどこかな?檜垣ひがきを新しく作ってあって、半蔀はんじとみが上がっていて、白くて新しいすだれがかかっているお家。そして、品のよさそうな女の人が覗いている・・・あ、あれだ。

 兄も気が緩んでいるのか、車から顔を出して、その家を眺めている。

 切縣きりがけみたいな板壁につる草が巻き付いていて、白い花が咲いている。

「をちかた人にもの申す。」

 本当に言った!古歌を引用して白い花の名前を聞いているのだ。

「あの白い花は夕顔と申します。花の名前は人のようで、このようにみすぼらしい垣根に咲きます」

 と聞きつけたお供の随身ずいじんが答えてくれた。

「気の毒な花だ。姫宮も見たいかい?」

「はい。見とうございます。」

「一房折って持ってまいれ。」

「は。」

 家の中からこぎれいな女童めのわらわが出てきた。女童が随身に何か渡している。白いおうぎだ。

 聞こえないが、

「これに置いて差し上げよ。枝も頼りない花だもの。」

 ぐらい言っているのだろう。

 惟光これみつが出てきた。随身が、惟光に扇を渡している。

 惟光が扇を兄に渡し、言った。

「門の鍵が見つからなくてご不便をおかけしました。このような場所でお待たせ申し上げるなんて・・・」

 とても恐縮しているようだ。

 いいんだよ。そのおかげて有名なシーンに立ち会えたから。

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