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閑話:生食パン


お館様はトーストが好きだ。

精魂込めて作られた、焼かずに食べた方が美味しいという生食パンでさえ、トーストされていないと知るや否や、悲しい顔をする。


一度、「何故そこまで頑なに焼きたがるのか」と聞いたところ。


「バターいっぱい塗って食べたいじゃないですか」


と、謎の答えが返ってきた。


何この言葉のドッチボール。

お互いに理解が追いつかなくて傷つけあうだけの悲しい会話でしかない。


オーケー、まずはお館様の主張をちゃんと聞いてみましょう。

そう。全ては対話から始まるのだから。



「焼いて温まったパンにバター塗るでしょ?」


「うん」


「こう、じわー…って溶けるじゃん」


「うん」


「それが好きなんですよ」



……ほぉ?


なるほど解らん。



そもそもあまりバター塗らない私と、パンには断然たっぷりのバター(という名のマーガリン)派のお館様とでは解りあえないのだろう。



でもさ。

パンの上で溶けるバター(という名の略)を楽しみたいなら、別にトーストじゃなくてもいいと思うんですよ。

溶かしバターという言葉もありますし。ね。



……なんでこんな話をしてるかと言うと。


お館様がね、美容院のついでに新しくできた生食パンのお店に行ってきてくれましてね。

乃が美とか一本堂みたいに、そのまま食べて美味しいパンなわけです。


どうしても、せめて一度くらいは職人さん達の想いに報いても良いのではないかと思って、こう言ってみたの。


「一枚は焼かずに食べてもらいますね」


って。




したっけ、この世の終わりみたいな顔されてさ。


そんな顔させたかったわけじゃないけど、なんていうか、パン一枚でそこまでこっちの罪悪感抉ってくるとか逆にスゲェなとか、一瞬でなんか色々考えさせられたわけです。



いやもうマジで。

単なる習慣だってんなら、一枚だけでいいから焼かずに食べてみてほしい。


あのほんのり甘くてふわふわな食感に溺れてもらいたい。


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