怖いマンション
こちらは百物語五十一話になります。
山ン本怪談百物語↓
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芸人やってるUというものです。
昔テレビでちょっとしたホラー企画をやったんですよ。
関西にある有名な「幽霊マンション」で、ホラー映画を見ようっていう企画です。
マンションの〇〇〇号室に住んでいる住民に協力してもらって、丸一日部屋を借りたんですよ。
部屋でホラー映画を見るのは、僕と相方のNだけ。カメラは部屋に設置されていて、俺たち以外誰もいない状況で映画を見なければならない。
「お二人には、後で感想を聞きますね。何か心霊現象が起きた場合、すぐにこちらへ連絡してください。下でスタッフが待機してますので」
こんな感じでディレクターから説明を受けると、すぐに収録が始まった。
映画は少し前に流行った日本のホラー映画。
めちゃくちゃ怖い映画で、俺も相方もビビりまくってました。
でもまぁ…それだけでしたよ。
真っ暗な部屋の中で、とにかくホラー映画を見続けただけでした。
特に怖い現象なんて起きませんでしたよ。
だから俺たちも必死でした。
「映画を見てる時に音が聞こえたような…」
「後ろから肩を掴まれた気がする!」
取れ高なしのお蔵入りだけは嫌だったので、感想のインタビューでは適当なことを言いまくってました。
しばらくすると、〇〇〇号室の住民である女性が差し入れのお茶を持って部屋の中へ入ってきました。
「あれ?ほかのスタッフさんたちは帰ったんですか?せっかくお茶を持ってきたのに…」
女性は差し入れとしてお茶の入ったペットボトルを持ってきてくれたらしいが、お茶の「数」がどうもおかしい。
今日現場に来ているスタッフは、俺たちと合わせて6人。
女性が持ってきてくれたお茶のペットボトルは…
「13本」
俺たちは女性が数を間違えただけだと思ったけど…
「撮影中に部屋へスタッフさんがたくさん入っていったから、私びっくりしちゃって!入っていった方たちを含めて13人であってますよね?」
撮影中、この部屋に入ってきたスタッフは1人もいない。
「おい、U…このマンションって本当に…」
「………」
マンションでの収録が終わってから次の日、編集担当の人間から「部屋の映像が録画されていない」という話を聞かされた。部屋に設置していたすべてのビデオカメラが、原因不明のミスで録画されていなかったのだ。
撮りなおそうという声もあったが、スタッフたちが怖がってしまい、この企画はお蔵入りになってしまった。
心霊マンションでロケをするなら、皆さん気をつけてくださいね。
本当に…何が起きるかわからないので…
作者の山ン本です!
来週はちょっとお休みをいただくかもしれません。
せっかく夏なので「夏のホラー2021」以外にもちょっと長めのお話を書いてみようかなぁ…と色々考え中なので次回もまたよろしくお願いします!