プロローグ
ライト兄弟が動力飛行に成功してから、凡そ十年後。
まだ飛行機が産声を上げて、間もない頃。
第一次大戦に参戦した日本は、同盟国イギリスの敵・ドイツに宣戦布告。
当時東アジアにおけるドイツ帝国の拠点であった、青島市を攻略すべく動き出した。
青島に駐留していたドイツ東洋艦隊は、海上封鎖を恐れてドイツ本国へ向かうが、フォークランド沖でイギリス軍の猛攻を受け、壊滅。
一方、青島に残った艦の一隻である水雷艇『S90』は、10月18日に日本海軍第2艦隊の防護巡洋艦『高千穂』を雷撃、撃沈する。
日本の陸海軍は、湾内に残ったドイツ海軍の戦力を調査するため、草創期の航空部隊を派遣。
これが日本軍最初の航空作戦であると同時に、世界で初めて、『航空機を運用するための艦』が参加した戦いでもあった。
この僅か三十数年後に、人類は音の壁を破る。
そして現在、ライトフライヤーが飛んでから、百年以上の月日が流れた。
今こそ、知らなくてはならない。
いつ止まるか分からないエンジン。
あまりにも脆い、木と紙、布の機体。
飛ぶのも降りるのも、全てが賭け。
それでも飛んだ者達のことを。
勘違いしてはいけない。
百年以上経ったのではなく、その程度しか経っていないのだ……
今回は、飛行機乗り視点の『鳥瞰編』、艦魂視点の『眺望編』に別れております。
一応戦闘シーンもありますが、この時代の空戦ってのは……いや、あれはあれで燃えます。




