クラン大武道会9
少し短めです。
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見えているつもりでも、意外と見えていないものだ。
『さあさあ!今日もこの時間がやってまいりました!!ミステス王国冒険者クラン大武道会!!本日は第二回戦をやっていきます!!そして明日、準決勝、3位決定戦、決勝の順で試合を行っていきまーーす!!』
翌朝、昨日と同じ時間になり、武道会が再開される。
今日も今日とて観客は超満員となっており、街の路地裏ではダフ屋がチケットを売買している始末だ。
至る所で賭け事が行われ、街は異様な熱気に包まれていた。
『今日から試合は1試合ずつ行われます!順番としてはAブロック第一試合の後、Bブロック第一試合、その後Aブロック第二試合と言った風に、AブロックとBブロックの試合を交互に行いますので、出場者の皆様は出番を間違わない様に気を付けて下さいねーー?それと、二回戦目からは「個人戦」が無くなり、「チーム戦」と「討伐戦」のみとなります!此処からはチームワーク、チームプレーがより重要になる訳ですね!』
そこまで捲し立てる様に説明すると、アリエスタは一旦大きく深呼吸をし、息を調える。
『さあ!それでは昨日に引き続き、このお二方に解説をお願いいたしましょう!!ネスト冒険者ギルドサブギルドマスター「サバラル・ミーソナ」様!』
『ニャー今日も宜しく~~』
『ファステム冒険者ギルドサブギルドマスター「カサルナ・パーバティー」様!』
『本日も宜しくお願いします。』
『そこに私!実況の「アリエスタ」の三人でお届けしていきまっす!!』
ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッッッ!!!!!!!!
アリエスタちゃん可愛いいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいっっっ!!!!!
『はーーい、声援有り難うございまっす!それでは長々と話をされるのもつまらないと思いますので、早速Aブロック第一試合を開始して行きたいと思います!』
そこでまた大きな声援が上がる。
今日もまた、観客達のボルテージは天井知らずに上がっていく。
『それではそれでは一組目!やはり堅実!正道にして王道の戦いぶりで有りながら、自分達のユニークを活かし切る見事な戦いで一回戦を突破!!大手クラン「夜空の涙」!!!』
ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォ!!!!
今日も楽しみにしてるぞおおおおおおおおおおおおお!!!!
頑張れーーーーー!!!!
『対するは、圧倒的!絶対的!そんな言葉が思い浮かぶ一方的な戦いで、瞬時に勝ち抜いた中堅クラン!!「クロウ・コミュニティ」!!』
今日も勝ってくれええええええええええええええええええええええ!!!
期待してるぞおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!
今日も勝たせてくれええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!
どうやら声援を聞くにかなりの人が賭けているらしく、かなり必死な感じの声が多い。
いったいいくら賭けていると言うのか……
タガが外れて居るとは言え、少々自制が出来ていなすぎる気がする。
『両陣営!準備は宜しいですか?―――宜しいですね?それでは二回戦、Aブロック第一試合―――』
―――――――――始めっ!!!!
〇〇〇〇
―――――――――始めっ!!!!
開始の合図と共に、夜空の涙は直ぐ様散開した。
いくらユニーク持ちのタンクと言えど、防御力は同レベ帯のヘビーアーマーと大差ない為、クロウ・コミュニティの攻撃を喰らえば一溜まりもない。
ならば散開して一網打尽にされるのを防ぐのは有効な作戦だ。
実際、クロウ・コミュニティは夜空の涙の動きに合わせ、散開している。
どうやら一対一の状況に持ち込むつもりのようだ。
(良し!予定通り一対一に持ち込む事が出来た!!)
クロウ・コミュニティの殲滅力は恐ろしいものが有るが、一対一の乱戦に持ち込めば逆にその殲滅力は足枷となる。
しかし、この作戦には大きな穴が有る。
それは夜空の涙のクランマスターである千葉直弥には、ろくな戦闘力が無いと言う事だ。
(だから当然……)
ヒュンッ!!
ヒュヒュンッ!!
ドッ!
ドドガッ!!
「がはっ!!?」
他のメンバーと離れ、完全に一対一になった所で、相手の剛拳士からジャブの連打が繰り出される。
が、当然直弥にその攻撃を躱す事等出来ず、諸に攻撃を喰らってしまう。
しかし―――
「「ハイヒール」!」
「なっ!?何で仲間に回復を!!?」
直弥はダメージを受けた筈の自分では無く、少し離れた位置のヘビーアーマー、サブクランマスターの「藤堂堅都」にヒールを飛ばしたのである。
それを見て、剛拳士の「イーグル」は一瞬戸惑ったものの、構わず距離を詰め、両手に装着した鈍色のガントレットを握り混み、ラッシュを繰り出す。
「うううおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!」
ズガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガッッッッ!!!!!!!!!!
「ぐっうううううううぅぅぅっ!!「ハイヒール」!「ハイヒール」!!「ハイヒールウウウウウゥゥゥ」っっ!!!!」
凄まじい連打を受けながらも、直弥は堅都に回復魔法を飛ばし続ける。
それを見て、イーグルは一つの可能性に思い至り、焦り始めていた。
「くそっ!!潰れろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっっっ!!!!「鉄山煌破撃」!!!!!!!!」
「残念だがそれは無理だな!!「リジェネレイション」!!「ハイヒール」!!!!」
いくら攻撃を受けても倒れない直弥に業を煮やし、現状で使える最強の技を叩き込むイーグル。
しかし、やはり直弥は倒れず、堅都に向かって回復魔法を飛ばす。
もう、読者の皆様もお気付きだろう。
そう、直弥のダメージは全て、ユニーク持ちのヘビーアーマーである堅都が肩代わりしているのである。
因みにこれはスキルでは無く、堅都が持つ盾の効果だ。
『献身の大盾
状態 “呪い”
等級 “Hレア” レア度 “B”
属性 “闇”
必要基礎レベル “70”
性能 HP+500 VIT+250 STR+100
特性 「自己犠牲」「闇属性耐性強化」
武器アーツ 「無し」 』
『その昔、とある聖騎士が死ぬまで離さなかった大盾。進んで仲間の前に出て攻撃を受け止め続けたその意志が盾に宿っている。装備すると、装備者が仲間と認識して居る者がダメージを受けた際、そのダメージを装備者に肩代わりさせる。呪われており装備から外す事は出来ない。』
…………………………………呪いの装備だった。
性能は中々良いのだが、これからの戦いには少し頼り無い。
だが、特性である自己犠牲は堅都のユニークスキル「ダメージ変換(斬)」と相性がかなり良い。
だからこそ、夜空の涙は解呪せずに使っている訳だが。
いや、解呪位はしろよ……
「はぁーー……はぁーー……くそっ……埒が明かねぇ……」
「こっちはお陰で明いたけどな。」
「くっ!!やっぱそう言う事かよ……!!」
「ああ!そう言う事だ!!やれ!堅都!!」
ダメージはもう十分だと判断した直弥が堅都にGoサインを出す。
それに対してイーグルが身構えるが、何時まで経っても攻撃が来る気配が無い。
不審に思って堅都を良く見ると、その身体を小刻みに震えさせてはいるものの、全く動かせていないようだった。
その事から、直弥は直ぐ様堅都が何かしらの状態異常になっている事を察し、状態異常回復の魔法を使おうとした。
「「クリ―――
ドパンッ!!!!
―――ア」あ?」
一瞬だった。
刹那とさえ言えそうな程、一瞬の出来事だった。
呪文を唱えていたら湿った破裂音が響き渡り、その瞬間、堅都の上半身が消え去った。
それは、観たことのある光景だった。
そう、一回戦目の第二試合で、烈火牙狼党が丁度あんな感じで―――
ドドドドドドドドガッッッ!!!!
「えあっ!?がっ、がふぁっっっ!!!!」
ドサッ……
(ちく、しょう……油断、し、た……)
そこで、直弥の意識は途絶え、気が付いた時には、クロウ・コミュニティの勝利で試合は終わっていた。
〇〇〇〇
『き、き、決まったああああああああああああああああああああああああああああ!!!!膠着状態かと思われた状態から一転!!クロウ・コミュニティの勝利だああああああああああああああああああああああ!!!!』
ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッッッ!!!!!!!!
良いぞおおおおおおおおおおおおおっ!!!!
良くやったああああああああああああああああああああああ!!!!
『解説のサバラル様、今何が起きたのか説明をお願いします!』
『ニャー今のは夜空の涙が策に溺れた感じだニャーー』
『と、言いますと?』
『夜空の涙はクロウ・コミュニティの殲滅力を封じる為に、一対一の乱戦に持ち込んだニャ。それは手としては悪く無いニャ。寧ろ正解だろう。その上で、恐らく味方のダメージを肩代わりする装備をあのヘビーアーマーに持たせてた筈ニャ。つまり自分達の強みを活かしに来てた訳だニャーー』
『それだけ聞くと、作戦は一応成功していた様に見えましたが?』
『ニャ、成功はしてたんニャよ。ただし、途中からそれを利用されたんだニャ。』
『利用された、ですか?』
『其処からは私がご説明しましょう。』
『カサルナ様!お願いします!』
『夜空の涙の要はヘビーアーマーの彼でした。それを見抜いたクロウ・コミュニティは各個撃破を装いつつ、彼を効率良く倒せる位置取りになるよう、戦場をコントロールしていたのです。』
『まさか!?そんな事が可能なんですか!?』
『時折繰り出されていた派手な大技。アレは目眩ましであると同時に、相手を目的の場所へとバレずに移動させる為の攻撃だったんですよ。』
カサルナの言う通り、上から観ると最初の混沌とした感じから、整理された感じへと人の配置が変わっていた。
それにより、レイヴンはピンポイントに堅都へと攻撃を当てられたのである。
更に、近くに魔導師を移動させる事で、気付かれずにバインド系の魔法を掛ける事にも成功していたのである。
『つまり戦場全体への注意が散漫になっていた事が敗因であったと言う訳ですね?』
『ニャーー』
『そう言う事です。』
『成る程、勉強になります。解説、有り難うございましたーー!!』
こうして、クラン大武道会の2日目は、幕を開けたのであった。
ギリギリですが間に合いました!
因みに今回主人公達は出て来てません
次回も出る予定はありません
まあ、予定は未定なので出るかもしれませんが……
面白いと思えましたら、感想、評価の方よろしくお願いいたします




