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クラン大武道会8 シナリオ

すみません!

少し時間をオーバーしてしまいました!


〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇


時には、事実から目を反らす事も大切だ。

「ただいま~~」


「お帰りって……何時の間に居なくなってたんだよ……」


「全然気付かなかったです……」

「キュ~~」


「って言うか何して来たんですかーー?」


「確かに、少し気になるな。」


「まさか人には言えない事を……!?」


「まあ、どうせ良からぬ事を企んでた人を闇に葬っていたんでしょうけどね。」


「確かにやりそうですね。」


「「「「「「分かる(ります……)(るわ~~)。」」」」」」


「皆が抱く僕のイメージって一体……」


 理解が有ると言われればそうかもしれないが、何と無くやるせない気持ちになって思わず膝を着いてしまうキーノであった。

しかしまあ、やっていたのはそれに近い事なので、何も言えない。


「で?実際何してたんだ?」


「あーー…そのぉ……まぁ、ちょっとね?」


 このまま言葉を濁して煙に撒いてしまおうかとも思ったが、自分に対する理解がやけに高いこのメンバーに隠し通せる気がしないし、そもそも隠すのは悪手だろうと思い直したキーノは開き直って先程の出来事を語って聞かせる。


 反応は始めの内、三者三様だったが、後半になればもうキーノに対する呆れの表情で埋め尽くされていた。

因みに今日の試合は全て終わっており、コロシアム内に残る事は出来ないので、これらの会話は全てクランハウス内で行われている。


「お前なぁ……なんでそう…ほんと何でそう時々……!!」


 カナタは呆れ過ぎて上手く言葉が出なくなっている。

他のメンバーも頭を抱えたりヤレヤレと首を降ってキーノの無謀な行いと安定のトラブルメイカーぶりに呆れ返っていた。


「取り敢えず、キーノさんが無事で良かったです……」


「師匠って時々ナチュラルに無茶やってる気がする~~」

「キュ~~……」


 一応補足と言うかキーノのフォローを入れておくと、一見無謀で無茶な行いに見えても、キーノは万物先生で安全マージンを確認しながら行動しているので、それ程危険だとは思っていなかったりする。

それでも、絶対とは言えないので結構ビビってたりするのだが。


「それにしても、それ大丈夫なんですか?悪魔に目を付けられたとか、結構本気で洒落になって無い気がしますが……」


「マー君の心配も尤もですね。実際私も少し心配です。大丈夫なんですか?」


「あーー…下手な対応をしなかったら多分戦闘にはならないでしょうし、多分大丈夫じゃない、ですかね?」


「つまり何も分からないって事かーーー……でもまぁ、直ぐにどうこうして来る訳じゃないなら、そこまで深刻に成らなくて良いんじゃないかな?」


「すまないな…アタシがこのクランに入ったばかりに、こんな事になってしまって……!」


 その言葉に、全員の視線がファネルへと向けられる。

ファネルは居たたまれない気持ちが全開になった寂しさと後悔と申し訳無さが混じった複雑な表情をしていた。

今にも「責任を取ってクランを抜ける!」と言い出しそうな雰囲気だ。

尤も、そんな事をされたら困るので全力で阻止するつもりだが。

そもそも、相手の力を削ぐにはファネルにこのクランへ参加してもらっている現状がベストなので追い出したり出ていかれたりする方が余程困るのである。


「兎に角、そんな訳で余計なちょっかいを掛けようとしていた奴らには退場して貰いました。まあ、これからが中々大変そうですが、それは何時もの事として諦めて下さい。」


「まあ、実際そうだしな。」


「ですね~~」

「キュッキュ!」


「退屈はしませんね……」


「疲れますけどね。」


「全くですね。」


「でも楽しい気もするね!」


「ふ、皆の話を聞いて居ると、何だか先程迄の悩みが小さいものの様に感じて来るから不思議だな。」


 此処まで来る迄すら中々起伏の激しい道のりだったのは間違いない。

ならこの程度は大した事じゃない。

そんな気持ちが、メンバー達の中にはあった。


「それじゃ、明日に備えて、今日はもう休みましょうか。」


「「「「「「「おーーー!!」」」」」」」


―――後にこれが、大きな戦いの引き金になるとも知らずに……


〇〇〇〇


―――観測運営室―――


「チーフ……」


「何よ小久保。やたらと重い雰囲気で勿体着けてないで言う事があるならさっさと言いなさい。」


 今日も今日とて映像の編集をしながら、運営陣はイベントの調整等をしてそれなりに忙しく働いていた。

そんな中、ある事に気付いた小久保俊道が、チーフの木下菫に声を掛ける。


 以前迄であれば、一々狼狽えていたであろう菫も、今ではもう見事な程に開き直っており、小久保の呼び掛けにも素っ気ない態度で返す。


「それもそうですな。では単刀直入に要点だけ言うでござる。シナリオが動きだしました。」


「は?シナリオ?」


「はい。シナリオ、です。それも第4章のシナリオ開始のカウントダウンが始まっておりますな。このままだと後3ヶ月後に大きな戦争が始まる事になるでござる。」


「いや、ちょっと待って!それ、どう言う事?だって、シナリオは確か……」


「そうです。シナリオはあのアップデートの完了と同時に()()()()()筈なのです。しかし、つい先程その一部が解凍され、再び動きだしたのを確認しております。某も驚きで気絶仕掛けましたぞ?」



―――――――シナリオ



 それはRPGやシミュレーションゲーム等、様々なゲームに必ずと言って良い程存在しているものだ。

一言で言えばゲームの設計図である。

もしくは目的地へのレールだろうか?


 シナリオが無くては、ゲームは作れないとさえ言える根幹部たるそれはしかし、このAWOでは失われてしまったと言っても過言では無かった。

何故なら、この世界は現実と遜色ないリアルな世界へと変わっていたからだ。


 ほぼ何でも出来る際限の無い自由な世界。

そんな世界に、運営が用意したシナリオは必要無いと判断され、バルナムにより凍結されたのだ。

故に、そのシナリオが再び動き出すなどある筈が無かった。


「それが何でまた急に?しかも4章って、何でそんな所からなのよ?」


「分かりませぬ。ただ、4章が動き出したのは、恐らく2章と3章がクリアされたと判断された為でしょうな。」


「理由は?」


「先ず、1章はフルードを倒し、次の街、ネストを解放する事でクリアでした。これは外道魔導師達により達成されているでござる。」


「そうね。で、その後アップデートで2章以降が凍結されたんだものね。」


「2章は、ズィロー砦とネストがスタンピードに襲われ、原因と成った2つのダンジョンをクリアする事でクリアになった筈にござる。で、これは恐らく外道魔導師達と番人達の活躍が適用されたのだと思われます。」


「まあ、筋は通ってるかしら?」


 この2章のクリアにより、本来は堺帝国との国交と王都への道が開かれる筈だった。

これにより、プレイヤーの世界が一気に広がる筈だったのだ。


「3章はクラン戦争編として、クランランキングの導入を始める筈でござった。そしてランキング一位が出ればクリアの予定だったのでござる。しかし、凍結と同時にクランランキングシステムも凍結されてしまいました……」


 このクラン戦争はこの後の国同士の戦争の予行演習の意味合いもあり、重要な役割を担っていただけに小久保は凍結された事を残念に思っていた。

と言うかそもそもの話、シナリオに沿って動いてもらう事で、プレイヤー達がこの世界に馴染んで行くようにしていたのに、いきなり凍結されたせいで段取りが全て御破算になったのだから怒りは相当である。

まあ、もうキーノに振り回されなくて済むと言う安堵も有るには有るが……

それとこれとは別だった。

しかしもうどうしようも無いと諦めて、割り切る事にしている。


「が!今回のクラン大武道会がクラン戦争の代わりになったようですな。で、4章のワールドウォー編に繋がる様な何かが発生し、バルナムはシナリオを流用する為に解凍したのではないかと。」


 小久保から其処までの説明を聞いて、菫は俯き思案する。

正直な所、いくら考えても自分達に出来る事等無いに等しいのだから考えるだけ無駄な気もする。

寧ろ悪のりして戦争の勝者に景品でも送り付ける位でも良いのでは?

とすら思う。

しかしそれもどうなのか?


(ま、いくら考えても答えなんてでないわよね……だいたい出来る事なんてほとんど無いんだし。)


「取り敢えず見なかった事にしましょう。もうそこら辺は私達の管轄外なんだし、私達は私達の出来る事をするわよ。」


「………ですな。それでは某も作業に戻りますぞ。」


「ええ、そうしてちょうだい。」


 結局、小久保も菫も、アクションは起こさない事にしたらしい。

こうして、後に「大海戦争」と呼ばれる戦いへのカウントダウンは、静かに始まったのだった。

今回はだいぶ短めになってしまいした……

そして日を跨いでしまったので今月は後二回更新したいと思います!

やったるで!( ̄^ ̄)


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