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クラン大武道会5

少し長くなるので分割します。

後半はまた後日!


〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇


憐れなピエロは無様に踊る……

『さあ、いよいよ今日最後の試合となりました!1日目のトリをつとめるのはこの四組!!先ずはAブロック!語られる武勇は数多く!最早この国に知らぬ者は無し!!されど実力不明の小規模クラン!此処でその実力を証明出来るか!?今大会最注目クラン!!「竜の黄昏」!!!!』


ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッッッ!!!!!!!!!!!!

待ってたぞおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!


『対するは!実力不明!詳細不明!序でに無名!!しかし知られざる実力者の可能性は大いに有り!!の小規模クラン!!「蠱毒の坩堝」!!』


頑張れよーーー!!!!

少しは期待してるからなーーーー!!!


『続きましてはBブロック!夕暮れからが本領発揮の夜襲スタイル!夜警、夜戦のスペシャリストと呼び声高く!されど日が高くとも戦える!何気に重宝されてる中規模クラン!!「逢魔ヶ刻」!!!』


何時も有り難うーーーっ!!!

今夜も頼むぞーーー!!!!


『対するは!風を愛し!風に愛される事を目指した変わり者達!!全員が風系の技能を複数修めた生きた嵐!!今日は何を吹き飛ばすのか!?多少迷惑な時もあるけど、実力だけならAランク級の中規模クラン!!「嵐」!!!』


今日も風を感じさせてくれえええええええええええ!!!!

この間の看板弁償しろおおおおおおおおおおおお!!!!


『いやー盛り上がってますねーー!これだけ盛り上がると実況としても嬉しくなりますねーー♪』


『ニャーー…まあ、今日最後の試合だしニャーーおまけに竜の黄昏の実力を直接観れる機会ニャんて、あんまり無いだろうしニャ。』


『彼ら、基本は街から離れた場所の依頼しか受けませんからね。まあ、そもそも普通は街近くや街中で戦闘なんて起こらないんですけど……最近は街に潜伏している犯罪者とかの発見が相次ぐお陰で街中の戦闘が増えてるのが、何気に悩みの種なんですよね……』


 実は、最近各国の治安が悪化し始め、ギルドや国の上層部が頭を悩ませていた。

これは本格的に世界として稼働する為に、管理AIであるバルナム達神々により抑圧、抑制、抑止されていた感情や思考がフル解放された事による一種の暴走が起きてしまった為である。


 何時もなら我慢出来ていた事が我慢出来ない。

前までは何とも無かった言葉が今は癪に触って仕方無い。

そんな風に、知らず知らずの内に管理されていた心が、思考が、完全に解放された事で上手く制御出来なくなってしまったのだ。

それは犯罪者である程に顕著であり、そのせい――またはお陰で――隠れ潜んで居た犯罪者達がわらわらと出て来る出て来る。

その為に街中の治安維持系クエストが絶えないのだ。

因みに今回の大会が此処まで盛り上がっている理由の一端が其処にあったりする。


 一方、神々は空いたリソースで何をしているかと言えば、異邦人の監視と管理を行っていたりする。

そのお陰でプレイヤー達は快適にゲームとしてこの世界を楽しめているのだ。


―――と、そんな解説をしている間に、舞台の準備は終わり、四組はそれぞれの舞台へと移動していた。


『さーて、それでは注目の対戦方法の発表です!!それではAブロックからドーーーンッ!!


            「チーム戦」!!


続いてBブロックをドーーーンッ!!


            「個人戦」!!


おおっと!!今回はA、B共に違う競技となりましたーー!!しかし、やはり注目度が高いのはAブロックの対戦でしょうかーーー?お二方の意見はどうでしょう?』


『そうですね。やはり実力の分からないクランの対決ですからね。注目されるのは仕方無いでしょう。』


『ニャ~~言葉を濁さずハッキリ言やあ良いニャ。注目されてんのは竜の黄昏だってニャア。』


『わあお!辛辣ぅぅうっ!!?私、実況なので、盛り上げが、担当なので!!!』


『選手のヤル気を削ぐ様な発言は感心出来ませんよ?』


『ニャったらそんだけの連中だったって事ニャ。』


 瞬間、舞台上から凄まじい「圧」が沸き上がり、客席から小さな悲鳴が幾つも上がる。

その様子に、サバラルはニヤリと笑った。


『おーうおう。思ったより骨のある奴らみたいだニャ?その調子で頑張るニャよ?』


『ニャっ!?ニャニャニャーーーッッッ!!!!!??ニャんですかこのピリピリゾワゾワする感じわーーーっ!!!?あううぅぅ…何だか気分が悪くなって来ましてぁーーー……』


 非戦闘員であるアリエスタは竜の黄昏以外が放つ「圧」に宛てられ、体調を崩してしまったようだ。

見かねたカサルナが治癒魔法を使い治療をしている。

その様子を見て、舞台上の選手達も慌てて「圧」を引っ込めていた。


『ううぅぅ…ひ、酷い目に遇いました……あ、治療有り難うございます。カサルナ様。』


『いえいえ、お気になさらないで下さい。』


『いえ!このお礼は後で行わせて頂きますので!(そして朝まで……!でへへへ♪)と、それではそろそろ今日の最終試合を始めて行こうと思います!!それでは!各選手位置に着いて下さい!!―――位置に着きましたね?宜しいですか?……はい!それでは第一回ミステス王国冒険者クラン大武道会、一回戦!!最終試合――――』



―――――――――始めっ!!!!


〇〇〇〇


―――Aブロック―――



―――――――――始めっ!!!!



「はっはーー!!さーてさて!!君らには悪いが速攻で決めさせて貰うよ?まあ、君ら、と言うか外道魔導師は罠を仕掛ける時間が無ければ雑魚同然だろうしね?」


 開始の合図と共にそう言って出て来たのは「蠱毒の坩堝」のクランマスターである青年「ヴェルマ・センチピード」だ。

悪趣味な毒々しい紫のフードに身を包んだ、シャクレ過ぎな顎が特徴の二十代のヒュームだ。


「安心したまえ!別に私達に負けた所で恥になったりはしないさ。何せ私のユニークスキルは最強だからね!優勝は私達で決まりだよ。だから安心してキリアーネ君を私達に任せてくれて良いんだよ?なに!悪い様にはしないさ!ナニをするかは教えられんがね?ガハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!まあ、外道魔導師達の元に居るのは弱味を握られているからだろうし?そう言う意味では解放とも言えるね!!だいたい、君らの戦果は実に怪しいものだ。そんな()()()()()()()しかテイム出来ないテイマーを連れてどうやって神話級(ミソロジー)ダンジョンをクリアしたと言うのか。とても信じられないね。つまり何かしらのカラクリが有るんだろう?その化けの皮を今から私達が、いや!この私が!!今から剥がしてやろう!!!」


 再びガハハハ!!と下品な笑い声を上げて余裕を見せるヴェルマに、キーノ達は呆れた表情を見せる。

そんな中、ハルナだけが何時もよりニコニコと笑顔を浮かべていた。

メンバーは、そんなハルナの様子に、内心冷や汗を滴し、努めて視線を向けない様にしていた。


「おや~~?どうしたんだい?そんな黙りこくって。そうか!!余りの正論に反論出来ずに居るんだね?そうなんだろう!?まさか化けの皮を剥がす前に論破してしまうなんてね。ふっ、自分の才能が恐ろしいよ!さて、ではとっとと降参したまえ。君達が勝てないのは既に確定しているんだ。痛い目を見る前に退場するのが賢い選択と言うものだろう?」


 キーノ達が呆れ過ぎて何も言えないのを自分の都合の良いように解釈したヴェルマは、どんどんと増長し、遂にはキーノ達へと降参する様に言って来た。

これにはキーノ達も呆れる所か憐れみさえ感じてしまう。


 確かに、ヴェルマの持つスキルは強力だ。

()()()()()()()()()、一歩も動かぬまま勝負を決められたかもしれない。

だが―――


「降参しないか……ならば喰らうが良い!私のこのスキルをっ!!!」


―――蠱毒(クイアウモノ)!!!!


「ガハハハハハハハハハハハ!!!蠱毒はその名の通り複数の対象を最後の一人に成るまで殺し合わせる最強のスキルさ!!そして生き残った一人は私の手駒となり数分間私に絶対服従する事になる!!(まあ、代償はそれなりにキツイが……)―――兎に角!これで私達の勝ちは―――って!?あれ!!?何で何とも無いんだ!!!??スキルはちゃんと発動したのに!!!」


「何でって言われても、ねぇ?」


「そのスキルが、俺達と致命的な程に相性が悪かったとしか言えねえな。」


「ですね……」


「そうですね。」


「うむ。以前なら危なかったがな。」


 本来なら、超強力なスキルであるのは間違いない。

尤も、ヴェルマが思っている以上に制約はあるし、防ぐ事自体はそれ程難しく無い。

と言うのも―――


「貴方のスキル、一種の呪いですからね。呪い無効を持ってる僕らには全く!効きませんよ。」


―――そう、心傷神コンプトウラから貰った開魂の腕輪の効果で、キーノ達は呪いを無効化出来るのだ。

つまりヴェルマのスキルが呪いの付与である以上キーノ達には本当に効かない、無意味なモノに変わるのである。


「な、な、そ、そんな……!!い、いやだがまだだ!!!これでも私達の平均レベルは総合で170を越えているのだから!!外道魔導師は罠師(トラッパー)とも呼ばれた罠の達人だが、この状況ではお得意の罠嵌めも出来まい!?つまり正面からのゴリ押しでも行ける筈!!って事で突撃ぃぃぃぃぃいいいいいいいいいいいい!!!!」


ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ……ぉお?


 自分達の最大の切り札が効かないと知り、レベルによるステータスでのゴリ押しに切り換えたヴェルマ達蠱毒の坩堝のメンバーだったが、直ぐに自分達の異変に気付き動きを止める。


「何だ……?体が、重い……?まさかっ!!?」


 ヴェルマは直ぐに自身のステータスを確認する。

其処には予想通りの―――当たって欲しくは無かった結果―――が示されていた。


(くそっ!!()()()()()()()って事かっ!!!)


「―――「蠱毒」。()()スキル。伝説級、レア度A。発動条件、最低三人以上を対象とする事。自身が三人以上とパーティーを組んで居る事。必要MP、最大値の半分。効果、対象同士を最後の一人に成るまで殺し合わせ、生き残った一人を殺した人数×50%分強化した上で5分間使役する。5分後は弱体化した上で使役が解ける。弱点、対象とパーティーメンバーが規定の人数以下では発動しない。総合レベルのレベル差が100有った場合効果が二分の一の確率で無効化される。効果を無効化されても、発動した時点でMPは消費される。また―――()()()()()()()M()P()()()()()()()()()()()!!」


「は…………?」


 ヴェルマが焦りでテンパって居ると、突然自分のスキルの解説が聞こえて来た為に、ヴェルマの動きと思考が一瞬止まる。

そして、ゆっくりと声のした方に視線を向けると、其処には、実に、実に悪どい笑みを浮かべながら楽しそうにヴェルマへ視線を注ぐキーノの姿が有った。


「ひっ……!!?」


「代償、1()0()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()!!つまり、今の貴方達は非常に弱くなって居ると言う事です。」


「な…、んで……」


「誰も、僕の眼は誤魔化せない……」


 ニヤリと笑い、キーノは右手を前に突き出す。

それを見て、他のメンバーはキーノが何をするつもりなのか気付いたが、何かを言う気には成れなかったらしく、黙って見ているだけだった。


―――ハルナを除いて。


「わふぅ!待って下さい師匠。」


「何?ハルナ。」


「此処は私とムクちゃんがやりますよぅ!!ね?ムクちゃん!」


「キュッキュ!!」


「随分やる気満々だね?」


「わふ!当たり前です!!あの人師匠を馬鹿にしたし、皆の事も見下してる上にアーネちゃんに下品な視線を送るしで気分が最悪なんです!なにより!!!」


ダンッ!!!!


「私の大事な大事なお友達で相棒のムクちゃんを馬鹿にしたのが許せないんですっ!!!!」


ブワッ


 と笑顔のまま全身の毛を逆立たせ怒りを露にするハルナに気圧され、流石のキーノも何も言えなくなっていた。


「だから、今回は私とムクちゃんだけでやります。」


「そ、そう…うん、分かったよ。存分に暴れて来なさい……」


「わふう♪」

「キュ~~♪」


 そうして、キーノ達はハルナを残し、舞台から降りて行く。

舞台から降りればリタイア扱いと成り、戦いに参加する事は出来なくなるのだが、キーノ達はハルナが負ける心配等、微塵もしていなかった。

それはそうだろう。

ハルナの基礎レベルは124レベルで、下位職が2つMAXで複合中級職が26レベルで総合250レベルと、今回の大会に参加している選手の中でも、上から数えた方が早い位の高レベルな上、相手は自爆して弱体化しているのだから。

そしてハルナに油断は無い。


 つまり、もうほぼ勝負は決まっていると言えた。


「わふぅ…細切れにしてあげますね♪」


 蹂躙が、始まる。

ハルナにとっての逆鱗を踏み砕いたヴェルマ君は明日の朝日を見れるのか?

最早絶望的過ぎるステータス差にただの弱い者苛めに為りそうな予感がひしひしですね

まあ、ヴェルマ達の自業自得ですけど


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