クラン大武道会3
遅れましたが、新年初投稿です!
今年もよろしくお願いいたします!
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周りにばかり目が行く者は、案外自分の事を解っていない。
『さあさあさあ!!!始めから大変な盛り上がりを見せてくれた第一試合も終わり、次は第二試合となります!がっ!舞台の損傷が激しいのでこれから10分程整備の為の休憩時間とさせて頂きまーーーす!観客の皆様は今の内にお手洗い等に行っておく事をお勧めします。また、第二試合の選手の方々は時間前には控室にお入り下さいねーー?』
アリエスタの放送の後、辺りからザワザワと様々な会話が聞こえ始める中、竜の黄昏のメンバーもまた、今の試合に対する感想を言い合っていた。
「やっぱりユニーク持ちが結構居るみたいだね。」
「まあ、でなきゃクランとしても格好がつかねえだろうしな。で、第一試合に出てた奴らで、ホルダーは何人だった?」
「五人だね。その内三人が二回戦進出だったよ。」
「特性は?」
「夜空の涙が二人、一人はリーダーで、「魔力還元(回復)」ってスキルだね。特性は治癒系、回復系スキルでHPを回復する度に使用したMPの80%が還元される。二人目はあのタンクだよ。スキルは「ダメージ変換(斬)」。特性は受けたダメージを攻撃力に変換する事。ただし斬撃系の攻撃にしか使えない。後、攻撃範囲が100ダメージに付き50㎝伸びる。で、最後は混沌を統べし根源のリーダー。こっちは結構ヤバイね。セットホルダーだった。」
「マジかっ!?それはかなりヤバそうだな……」
「スキルは「剣技の模倣」と「魔法の模倣」。特性は一度見た剣士系スキルのコピーと、魔法系スキルのコピーだよ。どっちもストックは3つまで。ただしストックスキルはスキル枠に含まれないし、どんな職業でも、見た時の威力のまま扱える。ストック条件は1つでもアーツが使われるのを観る事だよ。」
「は、いや何それ……マジでヤベェな……」
カナタの短い問い掛け。
それに対してキーノは淀み無く万物鑑定を使いながら試合を観る事で得た情報をカナタへと伝えていく。
しかし最後のセットスキルの情報で、流石のカナタも語彙が完全に死んでしまった。
当然と言えば当然ではある。
条件の低いコピー系スキル等、殆ど悪夢の類いでしか無い。
しかも劣化するならまだしも、完全コピー等ふざけている。
おまけに複数保持可能だ。
今まで聞いたユニークスキルの中では、キーノとキリアーネを除けば断トツで一番の性能である。
まあ、キーノとキリアーネのスキルはちょっと、いやかなり可笑しいので除外しても問題無いだろう。
「ま、ユニークや契約スキルはコピー不可だし、コピースキルは成長しない上にコピースキルがあると同じスキルは取得出来ないから、そこは救いだね。」
「確かに、それは助か―――」
「派生スキルはコピー出来るけど……」
「――いや、やっぱヤベェじゃん!!?」
被せる様に告げられた情報に、カナタは天井を見上げて叫ぶ。
因みに二人の周囲は遮音結界が張られているので、他の人達に会話の内容は聞こえていない。
ただそのせいで何人かの女性達に腐った視線を向けられているのだが、二人はそれに気付いていないのだった。
「しっかし、セットスキルはやっぱ強烈だな。進化した俺の悪鬼羅刹よりよっぽど凶悪だ。」
「ま、ただでさえ強いユニークが複数あってシナジーを作ってるんだから、当たり前って言えば当たり前だよね。」
仲良し団のフレアのセットスキルはセットらしく2つで1つの能力だったが、混沌を統べし根源のリーダーは1つ1つが強力だった。
今まで見た事のあるセットスキルは、1つ1つが強力なタイプが多いので、もしかしたらフレアのセットスキルの方が珍しい可能性もある。
尤も、どちらにしろ、通常スキルではお話にならない程の破格の性能であるのは間違い無い。
『さーあさあ皆様大変長らくお待たせいたしました!!舞台の準備が整いましたので、これより!第二試合を始めたいと思います!!』
「おっ?来たか!さてさて、次はどんな奴が来るかな?」
「正直、クラン名だけだと期待は出来なさそうだよね……」
ジャンプで連載していた日本の地元大好き少年が所属して居そうな名前のクラン2つを見ながら、キーノがポツリとそう漏らす。
それに対して、カナタは微妙な表情をしながら歯切れ悪く言葉を返す。
「あーうん、まあ…そこは触れないでやろうぜ?」
要は気にするなと言う事だった。
『さて!注目の対戦方法ですがーーっ!なんと!!またしても両ブロック「チーム戦」だーーーっ!!!これはまた熱い戦いが観れるのでしょーかーー?ではでは!両ブロック共に準備ご出来たようですので、早速始めて行きましょう!それでは試合―――』
―――――――――始めっ!!!!
そして試合が始まったのだが―――
『ああっとお!!こ、これはどう言う事だーーーっ!?開始早々に両ブロックとも試合終了です!!何と何と!!想像だにしなかった展開だああああああああああっ!!私、実況な訳ですが正直何が起きたのか全く分からなくて、実況が出来なかったんですが……解説のお二方!!今のは何が起きたのでしょうか!!??』
―――開始僅か10秒でAブロック、Bブロック共に決着となったのだった。
殆どの者が、舞台上で何が起きたのか理解出来ない程、それは呆気ない決着だった。
故に、皆解説者達の説明に耳を傾ける。
『ニャーー今のはまあ、簡単に説明出来るっちゃ出来るニャ。』
『なんと!!では何が起きたのか教えて下さい!!』
『まあ、簡単に言うと、持つ者と持たざる者の差を見せ付けられたって事になります。』
『えっとぉ、それはどう言う事でしょうか?』
『どう言うもこう言うもそのまんまな意味だニャ。一方はユニーク持ちだった。もう一方は対抗出来るモノが何も無かった。だから一方的に殺られたんニャ。しかもどっちも不可視の力だからニャ~~範囲も広いし出だしも速いニャ。それであんニャ攻撃力となれば、余程のスキルかアイテムが無いニャらほぼ防御不能だニャ。』
『注目度が低かった為に情報も少ないとなると、とんだダークホースになりそうですね。』
『な、成る程……しかし!幾らユニーク有りきであったとは言え、勝ちは勝ち!第二試合の勝者達が決定したああああああああああっ!!!!Aブロック勝者は!クロウ・コミュニティ!!Bブロック勝者は!日本地元愛好会!!』
半ばヤケクソ気味に告げられた決着宣言に、会場では疎らな拍手が起きる。
それは、観客達の心の戸惑いや不安を表している様だった。
それだけ、この試合は一方的過ぎたのである。
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―――――――――始めっ!!!!
Aブロック第二試合、対戦するクロウ・コミュニティと烈火牙狼党の戦闘は、フォーメーションの展開から始まった。
そして、殆どそれで終わったと言っても過言では無い。
最初に展開を終えたのは烈火牙狼党だった。
ヒーラーを守る様な扇形の陣形を組み、正にクロウ・コミュニティへと突っ込んで行こうかと言う段階で、クロウ・コミュニティも展開を終えたのだ。
それは、クランマスターを先頭にした縦一直線とか言う意味不明な陣形だった。
しかし、この世界において、どんな意味不明な行いでも、スキルによってそれは合理的な行いへと変わる。
更に言うなら、初見では意味不明な方が、アドバンテージを取れるのである。
だからこそ、烈火牙狼党は躊躇してしまった。
突撃を躊躇い、動きを一瞬止めてしまった。
それがいけなかった。
ブンッ!!
と、何かを投げる様な音がしたのだ。
その直ぐ後―――
パパパパパンッッッ!!!!
―――と、何かを突き破る様な音が鳴り響き、気付いた時には、烈火牙狼党の上半身は消失していた。
正確にはそう思える程粉々に吹き飛んでいた。
それだけ、あっさりと勝敗が決まってしまった。
解説の二人はそれがユニークスキルによるものであると判断し、実際それは正しい判断なのだが、どんなスキルか迄はまるで想像が着かなかった。
彼らが使ったユニークスキルは2つ。
「受練者」と「試練官」と言う個別のスキルだ。
クロウ・コミュニティはこれをセットスキルの様に組み合わせる事で強力なシナジーを生み出したのである。
受練者は障害を突破する事で攻撃力、攻撃範囲、射程、速度、取得経験値等を上昇させ、試練者は特定の条件、又はスキルで作った障壁等を突破した対象の攻撃力、攻撃範囲、射程、速度、取得経験値を上昇させるスキルだ。
その特性を活かす為に、縦一直線の並びを選んだのである。
そして、受練者のホルダーであるサブクランマスターの「レイヴン」が風魔法で作り出したウインドスピアを投げ、仲間達が張った魔法障壁を突き破りパワーアップし、最後に試練者のホルダーであるクランマスターの「クロウ」が張った試練者の障壁を破った事で、とてつもないパワーアップを遂げたと言うのが事の真相だ。
つまりこのスキルを活かす暇さえ能えなければ勝機は有るのだが、情報が無ければ難しいと言わざる得ないだろう。
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Bブロックの戦闘は、Aブロック以上に圧倒的だったと言える。
何故なら、日本地元愛好会のメンバー達は、フォーメーションの展開すらする事無く、直ぐ様決着を着けてしまったからだ。
開始の声と共に、クランマスターの「ヤマト・ラブ」は右手を前方に突き出した。
「これが!オラだぢの地元愛だ!!愛の重さどご知れっ!!!」
―――愛の重さ!!!
ズンッッッ!!!!!
突然、宮城の集いのメンバーを、凄まじい重圧が襲った。
そして、メンバーの体はどんどんと軋んでいき、そして―――
グシャッッッッ!!!!!!!
―――と凄まじい音を立てて、宮城の集いのメンバーは内側に向かって潰れてしまったのである。
それはまるで、重力に負けた星が、崩壊していくかの様だった。
実際、それはそこまで間違っては居らず。
宮城の集いのメンバー達は、ヤマトのユニークスキルによって増加した重量に体が耐えきれ無かったのである。
ユニークスキル、「愛の重さ」はホルダーの“愛”を数値化し、その数値分の重さを対象に付与する事で、対象の重さだけを増加するスキルだ。
対象が複数居た場合は均等に分配されてしまうため、一人辺りに付与される重さは減ってしまう。
しかし、パーティーメンバーが居た場合はそのメンバー達の“愛”も加算される。
重さは1ポイントに付き1gの加算となる。
また、“愛”は幾つかの種類に別けられ、使用者はその中から使いたい“愛”を選択するので、正にヤマトの言う通り“愛”の重さを知らしめる訳だ。
さて、では此処でこのスキルの尤も恐ろしい点を紹介しよう。
それは、対象の重さだけを増加すると言う所だ。
重さが重いと言う事は、基本的には密度が高いと言う事になる。
密度が高いと言う事は、圧縮されていると言う事だ。
そして重さが有れば、そこには重力が生まれる。
だが、スキルによって自重が増加した場合、密度は変わらないのだ。
世の中に存在する殆どの物は、自重によって生まれた重力に負けない構造を持っている。
しかし末期の恒星等は、重力に負けて圧縮、崩壊する事がある。
これが俗に言う重力崩壊だ。
このスキルは、使用者によってはそれと似たような現象を引き起こせるのである。
それが、宮城の集いがヤられた理由だ。
更に言うと、このスキルはあくまでも付与である為、防ぐのはかなり困難だと言えるだろう。
正直、クロウ・コミュニティよりも厄介であった。
「マジか~~……」
「どうした?そんなヤバイのを見ちまったって顔をして。」
全ての情報を余す事無く観ていたキーノは、膝に手を着きながら、項垂れる。
それを見たカナタが心配して声を掛けるも、キーノの表情は優れないままだ。
「日本地元愛好会、実は滅茶苦茶侮れなかった……」
「お前がそう言うって事は、アレ、相当厄介なんだな?」
カナタの問いに静かに頷くキーノ。
それでけで、カナタからヤマト達を侮る気持ちは綺麗サッパリ消え去った。
キーノがこう言った態度の時は、間違いなくヤバイと経験で知っているからだ。
(思った以上に、これは大変そうだな……)
想像以上の周りの強さに、カナタは自然と溜め息が出てしまう。
しかし凹んでも居られないのだと、自分にそう言い聞かせて次の試合へと意識を切り替えるのだった。
愛が、重い……
そんな言葉を体現したスキルが出来てしまいました
しかもこれ、バフ扱いなので強化解除系の魔法とかスキルじゃないと対抗出来ないと言う……
アレ、かなりヤバくね?
まあ、キーノ達のがヤバイから大丈夫ですよね
何が大丈夫かは置いておくとして
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