クラン大武道会2
遅くなりましたが今年最後の更新です!
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何事も、外見だけで判断してはいけない。
『お待たせいたしましたーーー!!!舞台の準備が整いましたーーー!!!!これより、一回戦目、第一試合を開始したいと思います!!!!!』
ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!!!!!!!!!!!
再び会場内に割れんばかりの大歓声が沸き上がる。
これで最後まで持つのかと不思議に成る程、観客達のボルテージは盛り上がっている。
『それでは!一回戦第一試合の選手達の入場です!先ずはAブロック!!この世界でその存在を示せるか!?バランスの取れた編成!これぞ正道!王道!期待の正統派大手クラン!「夜空の涙」!!!!』
ワアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!
頑張れよーーっ!!
応援してるぞーーー!!!
『対するはふざけた名前!だけども名前の通りの見事な連携プレーで次々と依頼をこなす実力派中規模クラン!「仲良し団」!!!!』
ワアアアアアアアアアアアアアッ!!!
その名前ふざけてんのかーーーっ!?
この間は有り難うーーーっ!!!
『続きましてはBブロック!!魔道を極めようと言うのか!?近接戦を捨てたとしか思えない編成の魔法クラン!!「混沌を統べし根源」!!!』
近接職嘗めんなよーーーっ!!?
今度魔法を教えて下さーーーい!!!
勝てよ!大穴ーーー!!!
『対するは魔法と剣のエリートたる魔剣使い達が一人の元へとが集った!!事実上の個人騎士団にして華を背にした実力派クラン!!!「鏡華魔剣師団」!!!!』
ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッッッ!!!!!!!!!!
鏡華様ああああああああああああああああああああああああっ!!!!
なじってくれえええええええええええっ!!!!
その御脚で息子を虐めて下さああああああああああいっっ!!!!
再びのクランの紹介と共に会場に沸き上がる声援。
その中で他は順当と言えるものだったが、鏡華魔剣師団に対する声援の種類が明らかに違っていた。
これには流石の鏡華も笑顔がひきつっている。
と言うか一部の特殊性癖者の主張が強過ぎる……
『ではでは~~~!!対戦方法の発表です!因みに、選手達には先に伝えて、その内容に合ったメンバーを選出して貰っていま~~~っす!!と言う訳で!Aブロックからドーーーンッ!!
「チーム戦」!!
続いてはBブロックをドーーーンッ!!
「チーム戦」!!
なーんとなんとーー!二戦共にチーム戦となりましたーー!!つまり!これは各クランの最高戦力同士のぶつけ合いだああああああああああっ!!!!』
マジかよっ!!
胸熱だぜっ!!!
皆頑張ってーーー!!
期待してるよーーーっ!?
『どのチームもBランクが多数居ますので、熱く激しい戦いが繰り広げられる事が予想されます!!これは最初から期待大だーーーっ!さて、それでは此処で今大会の試合を解説して頂く解説者の方をご紹介致します!今日お越し頂いたのは此方の二名!我が街の冒険者ギルドのサブギルドマスター、「サバラル・ミーソナ」様!』
『ニャ~~宜しく~~』
『そしてファステムよりお越し頂いたファステムの冒険者ギルドのサブギルドマスター、「カサルナ・パーバティー」様!』
『本日はお招き頂き有り難うございます。所用で来れなかったギルドマスターに代わり、しっかりと役目を果たしたいと思います。』
アリエスタの紹介に合わせ、サバラルとカサルナが立ち上がり軽く言葉を述べ、会釈する。
それに対しまた観客達から声援が上がっていた。
最早何をしても声が上がるのでは無いかと思えて来る。
『ではでは~2組共既に準備完了の様ですので、早速始めちゃいたいと思いまっす!!あ、舞台には特殊な結界が張られてますので、死亡しても試合が終われば無かった事に成りますので、遠慮無く全力で戦って下さいね!それでは記念すべき第一回ミステス王国冒険者クラン大武道会、一回戦!!第一試合――――』
―――――――――始めっ!!!!
〇〇〇〇
―――Aブロック―――
―――――――――始めっ!!!!
開始の合図と共に動き出したのは仲良し団だった。
彼らはリーダーの火属性魔法士である女性、「フレア」の指示の元、連携の取りやすい位置へと素早く散開する。
フレアは名前とは裏腹な青いセミロングを揺らし、魔法系職では珍しい革鎧に革のブーツ姿で、舞台上を走り始める。
タンク系のマギアーマー、神官戦士、ヘビーアーマー、騎士、魔法戦士をメインジョブにした五人が扇状に広がり、リーダーのフレアがその後ろを常に移動すると言う一見、利点の見えない陣形……
見ようによっては鶴翼の陣を少人数で再現している様にも見えるが、些か無理があるのでは?と首を傾げてしまう。
しかし、仲良し団の売りは連携である以上、これが彼らのベストポジションと言う事に成る。
一方夜空の涙はタンクのヘビーアーマーを筆頭に、アタッカーの剣士二人、弓士、魔法士、と続き、最後尾をリーダーである後方支援役の複合中級職、魔法神官の男性、「千葉直弥」を配置する一般的なフォーメーションで迎え撃つ。
遠目には変則的な鶴翼の陣と、王道の魚鱗の陣と言った感じだ。
ただ、本当にフレアが走り回っている理由が見えない。
『おおっと!!Aブロック、両陣営共にフォーメーションの展開が終了したようです!しかし、フレア選手が常に走り回っていますが、あれは何をしているのでしょうか?解説のサバラル様、見解をどうぞ!!』
『え~~面倒くせーニャ~~…まあ、姐さんにも頼まれってからするけどニャ~~考えられんのは大まかに二つの可能性があるニャ。』
『二つですか?』
『ニャ。一つは火属性魔法士の特性を活かした移動砲台だニャ。火属性魔法士は火属性の他に風属性と土属性、光属性に闇属性を扱えるジョブニャ。ただどんな属性を使おうと火属性と混ざった複合属性になるのが火属性魔法士の特徴ニャ。で、本題はあの陣形なら土属性の「ロックバレット」ニャら上空に打ち出す事で、山ニャりの軌道を描いて火の着いた石を敵陣に降らせられるって寸法にゃ訳ニャ。相手の攻撃は味方が防いでくれるし、常に移動するから狙いも付け辛いしニャーー』
『成る程!だから他の方々は防御力の高いタンク系職なんですね!!では、もう一つの利点とは?』
『ニャーーそれは―――』
『―――ユニークスキル、ですね。』
サバラルの台詞を遮り、カサルナがアリエスタの疑問に答える。
それを聞いて、サバラルは怒るどころか楽が出来るとばかりに口を閉ざす。
『カサルナ様、それはどう言う事でしょうか?』
『はい、先ず言っておかないといけないのですが、先程サバラルさんが仰ったのは利点だけです。つまりあの戦法には大きな欠点が有ると言う事です。』
『欠点ですか?』
『ええ。まあ、単純なものですよ。一言で言えば“疲労”です。』
『あ!そうか!常に移動すると言う事はそれだけ疲れが溜まりやすいって事なんですね?』
『その通りです。しかも魔法を使い続けていればMPは直ぐに枯渇します。しかし、見て下さい。』
そう促され、会場の人間達はサバラルが言った様な戦法で戦い始めたフレアの動きを見つめる。
そこからはフレアが疲れている様子等、微塵も感じられない。
それどころか、クールタイムが被らない様に様々な魔法が絶え間無く展開され、夜空の涙へと雨の如く降り注ぐ。
その上、魔法が使えるマギアーマーや魔法戦士達も時折魔法で攻撃して来る為、タンク役のヘビーアーマーがジリジリとHPを削られており、明らかに回復が追い付いていない。
『これは!?一体全体どーーなっているのかーーーっ!!?フレア選手の攻撃魔法が止まらないーーー!!!次々と本当に間断無く魔法が繰り出され夜空の涙は防戦一方だーーーっ!これが、これがフレア選手のユニークスキルだとでも言うのかーーーっ!!!!?』
『恐らくは間違い無いでしょう。私も詳しくは知りませんが、恐らく、疲労を魔力に変えるなり、移動した分だけ回復力が上がるなりしているのでは無いかと思います。多分、セットスキル持ちと考えるのが妥当です。』
『そ、そんなのもう反則では!?持久戦になれば成る程有利とかめちゃくちゃですよっ!!?』
アリエスタが驚くのも無理は無い。
短期決戦向きのスキルは数有れど、長期戦向きのスキル等全く知られていないのだから。
そして、実際フレアは長期戦向きのユニークスキルセットを所持していた。
「疲労度付与」と「疲労度変換」と言うスキルで、これはステータスに疲労度と言う項目を付与し、それをMPやHPに変換するスキルだ。
しかも能力を最大解放する事で、パーティー全体にその効果が行き渡るかなりチートなスキルである。
故に、フレアはこの試合、負ける筈が無いと思っていた。
(ふふふ!防戦一方な上に、ダメージは確実に溜まっているようね。これなら、間違い無く勝てる!!)
「一斉攻撃開始!!一気に前衛を崩すわよっ!!」
「「「「「応っ!!!!」」」」」
と一斉に前へ出た時だった。
ズバッッッッ!!!!!!!!!!
「えっ?」
ズルッ
ベシャッ!!
何かを切り裂く様な音がしたと思ったら、仲良し団の身体が上下に別たれ、一瞬で絶命してしまった。
そしてこの瞬間、Aブロックの勝敗が決定する。
『な、な、な、なんとおおおおおおおおおおおっ!!?夜空の涙が突然の逆転だああああああああああっ!!!!い、一体何が起きたのでしょうかあああっ!?私、一瞬の事過ぎて何が起きたのか理解出来なかったのですが!?サバラル様とカサルナ様はどうでしょうか?』
『ニャ~こりゃ、先頭で踏ん張ってたヘビーアーマーの奴の仕業だニャーー……』
『ですね。恐らく、受けたダメージを攻撃力に変えるユニークスキルでしょう。そして攻撃力に比例して、あるいは受けたダメージに比例して攻撃範囲が伸びる効果も有ったのでしょうね。そして仲良し団が一斉攻撃の為に近付いた為に攻撃範囲に入ってしまった。』
『流石仲良し団だニャ。殺られる時も仲良く一緒だニャンてニャ~~』
『えーー流石にその発言はどうかと……兎に角!Aブロック勝者は!夜空の涙!!』
ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッッ!!!
〇〇〇〇
―――Bブロック―――
ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッッ!!!
Aブロックの勝者に対して歓声が上がる中、Bブロックでは激しい攻防が繰り広げられていた。
幾条もの魔光(魔法を使う際の光)が煌めき、魔法同士がぶつかり合い相殺される音が響き渡る。
その度に噴煙や土埃、蒸気が立ち昇るが、次の瞬間には新たな魔法で吹き飛ばされる。
そんな凄絶な魔法合戦が繰り広げられ、それを観ていた観客達は大いに盛り上がっていた。
『これは凄い凄いっ!!Aブロックではほぼフレア選手しか魔法を使っていませんでしたが、此方は互いの陣営から常に魔法が飛び交い、相殺を続けております!!!』
『ニャ~~実際大したMP量だニャ。多分魔力回復系のスキルをかなり鍛えてあるだろうニャーー』
『それだけではありませんね。魔力制御や魔法制御等の燃費向上系スキルも軒並み高レベルな筈です。あれなら、王宮の魔法騎士団に入っても即戦力になれますよ。』
『おおっと!これはかなりの高評価です!!しかし意外ですね。まさか混沌を統べし根源の方々が前衛も無しに此処まで戦えるとは。』
『ニャーーそりゃ偏見って奴だニャ。あいつらきっちり発動短縮系のスキルも取ってるっぽいからニャ。それなら接近される前に魔法も撃てるニャ。』
『それに、意外とソロの魔法職は多いのですよ?』
『ほえぇそうなんですね。勉強になります!!』
『っと、どうやお互い仕掛けるようですね。』
その言葉を皮切りに両陣営が同時に飛び出す。
『こ、これはどう言う事でしょうか!?鏡華魔剣師団はまだ解りますが、混沌を統べし根源までもが相手に向かって突っ込んで行くーーーっ!これは自殺行為では!?』
その行為にアリエスタだけで無く、観客も、鏡華魔剣師団でさえも、目を見開き驚いている。
ただ二人、サバラルとカサルナを除いて。
そして―――
『ああああああっ!!?なーんとなんと!!きょ、鏡華魔剣師団の面々が倒れてしまったああああっ!?』
きゃああああっ!!
鏡華様ああああああああああっ!!?
嘘でしょ!?
来たぜ大穴ああああああああああああああああああああああああっ!!!!!
『こ、これは何が起こったのでしょうか?解説のお二方、お願いいたします。』
『今のは「魔法剣」だニャーー』
『そうですね。サバラルさんの言う通り、魔法剣で間違いないでしょう。』
『ま、魔法剣、ですか?魔剣では無くて?』
『ニャ~~魔剣は意思と魔法の力が宿った剣で、魔法剣は魔法を剣の形にしたものだニャ。つまり、魔剣はアイテムで、魔法剣は魔法だニャ。』
『しかし、どちらも剣士系の職を修めていなくては使えません。つまり混沌を統べし根源は全員剣士系のサブ職持ちと言う事ですね。』
『と、言うと…彼らは近接もこなせる魔法使いと言う事ですか?』
『だニャーー』
『です。』
そう、それ故に彼らは鏡華魔剣師団の虚を突き、勝利をもぎ取る事が出来たのだ。
これは彼らの見事な作戦勝ちである。
尤も些か卑怯に感じられる者もいるであろうから、非難はされるだろうが、勝利したのは間違い無い。
『実に驚かされましたが、兎に角、Bブロック!勝者は!混沌を統べし根源!!!!』
ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッッ!!!!!!!
こうして、初っぱなから番狂わせを起こしながら、第一試合は終わったのだった。
今月はあまり更新出来なくてすみません
来年はもう少し更新出来る様にしたいと思います
あんまり重要で無い戦いは飛ばす予定ですが、それでもなるだけ書いて行きたい思います
面白いと思えましたら、感想、評価の方よろしくお願いいたします




