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クラン大武道会1

思いは目に見えない。

しかし重さは確かに感じるものだ。

『さーあ、開会式も終わった所で、今大会の競技方法の説明を行いたいと思いまーーーす!!』


 開会式が終わって直ぐに次の説明が始まる。

それを聞いて、選手達も、観客達も待ってましたとばかりに声を上げた。


『今大会の競技方法について、今日まで一切伝えられていなかった為に皆様にはモヤモヤさせてしまった事でしょう!』


そうだ!

そうだーーー!!

何やるのか早く教えろーーー!!!


『はいはーーい!静にして下さいねーー?………はい!それでは発表しまーーす!!今大会では3つの競技方法をランダムで行って貰います!内容は次の様になります。



1つ目、個人戦


クラン対クランで代表者六人による勝ち抜き型の個人戦を行う



2つ目、チーム戦


クラン対クランで、代表者六人によるチーム戦一本勝負を行う



3つ目、討伐戦


ギルドが用意したゴーレムの討伐をして貰い、その討伐速度や討伐したゴーレムの状態等を評価し、その結果で争う



の3つが、今大会の競技内容となっております!また、代表の六名は試合毎に変更可能となっておりますので、試合毎に渡されるメンバー表に名前を記入して提出して下さい。一度提出すると、その試合中はメンバー変更出来ませんのでご注意を!!』


 そう説明があった後、各クラン内からヒソヒソと話し合う声が聞こえ始める。

どうやら決めていた方針に幾らか変更を加える必要があるクランが多かったらしい。

まあ、何も情報が無かったのだから仕方無いだろう。


『それから、試合はトーナメント形式で2ブロックに別れて行われます。と、言う訳で!開会式の裏で行われた抽選会により決まったトーナメント表が――――――っこちらっっっ!!!』


 アリエスタの掛け声と共に、壇の後ろの地面から、トーナメント表が書かれた巨大なボードがせり上がる。

内容は以下の様に成っている。



Aブロック


第一回戦


1 夜空の涙 VS 仲良し団


2 クロウ・コミュニティ VS 烈火牙狼党


3 R.S.U VS シャドウサンクチュアリ


4 風の傭兵団 VS 最強無敵クラン


5 栄光の道(グローリーロード) VS トレジャーマウンド歌劇団


6 鉄仮面舞踏会(アイアンマスカレード) VS セクスィーサウンズ!


7 ジェネレーションズ VS 「賢者の標(けんじゃのしるべ)


8 竜の黄昏 VS 蠱毒の坩堝



Bブロック


第一回戦


1 混沌を統べし根源 VS 鏡華魔剣師団


2 日本地元愛好会 VS 宮城の集い


3 暗黒聖騎士団 VS 氷炎の紋章アイスファイヤーエンブレム


4 五行一言(ごぎょういちげん) VS マジカルサイエンス


5 花火の時クロック・ファイヤーワークス VS 八咫烏


6 宵月 VS 空の彼方


7 厄災の箱(パンドラボックス) VS 希望の歌ア・ソング・オブ・ホープ


8 逢魔ヶ刻(おうまがとき) VS (テンペスト)


『―――――とっ!なっております!一回戦の試合は平行して2試合ずつ行われます!その為ステージの設営を行いますので、第一試合の方々は暫くの間、控室でお待ち下さい!その間にメンバー表への記入をお願いいたします。第二試合以降の方々は、出場選手用の特別観覧席で試合をご覧になるか、または控室でお待ち下さい!それでは、これで基本的な説明は終わりますので、皆様移動をお願いしまーーす!あ、トイレや軽めの食事なんかはご自分の判断でお願いしますねーーー?それと観覧席に行く方々は職員に案内して貰って下さーーーい!』


 アリエスタの説明が終わり、それぞれのクランは雑談を交わしながら控室や観覧席へと移動して行く。

キーノ達も、観覧席へと移動する人達に付いて行き、会場を後にする。

その後ろでは、土魔法を使って舞台の製作が行われていた。


「なかなか見事なもんだね。」


「確かに舞台の設営だけでも見応えあるな。」


 土魔法で舞台が作られる音に振り向いたキーノとカナタがそんな会話を交わす。

その足は止まっており、それに気付いたハルナが二人に声を掛け、移動を促す。


「わふぅーー!師匠!カナタさん!置いて行きますよーーっ!?」


「ああごめん、今行くよ!」


「わりぃ、直ぐ行く!」


 こうして、第一試合に出場する選手以外は特別観覧席へと移動したのだった。

因みに、特別観覧席へと移動したのはクランの幹部と控え要員として選ばれたメンバーだけであり、他のメンバーは一般の観覧席に移動するか、拠点に戻って行った。

それでも特別観覧席には200名を越える人が集まり、中は結構手狭になっているのだった。


〇〇〇〇


―――特別観覧席―――


「めっちゃ人多いね。」


「ま、仕方無いだろ?参加クランは全部で32、その内の殆どの30が此処に来てる。1クランに最低六人だからそれだけで180人、其処に控えやオブザーバーをらしき奴を連れてるとこもあるから全員で200は越えてる筈だ。それが広くても室内に居るんだからそりゃ狭いわな。」


「ブロック毎に部屋を別けといてよ、って思うよね。」


「わふ、今から一般観覧席に座れって言われないだけマシですよぉ~~?」

「キュッキュ。」


「あー、まあ、それはね……」


 どうにもターラマヨへの悪感情が先行しているのか、やたらと不機嫌なキーノを嗜めるようなハルナの言葉に、キーノはバツの悪そうな顔になる。


「どうせギルマスにした()()が不発になったから機嫌悪いだけだろ?」


ギクッ!


 と音が聞こえて来そうな分かりやすいリアクションを取るキーノに、カナタは呆れ顔になって溜め息を吐く。


「悪戯、ですか……?」


「わ、わふ~~っ!?」


 何の事か分からずに首を傾げるキリアーネ。

その隣では、ハルナがお尻を両手で押さえながら顔を真っ赤に染めている。


「し、師匠の鬼畜外道~……っ!ほ、ホントにやっちゃうなんて信じられ無いです!!」


「先にちょっかい出して来たのは向こうだもん。自業自得だよ。」


「まあ、もう過ぎた事を気にしてもしょうがねえからそれは良い。こんなとこで話す様な事でも無いしな。」


 カナタはそこで周りを見渡す。

此方に視線を送る者こそ居ないが、聞き耳を立てられて居ないとは限らないし、あまりに人が多い。


「だね。今は試合に注目しよう。」


 キーノも直ぐにそれを察し、話題をもうすぐ行われるだろう第一試合へと変える。


「キーノさん、何かしてた?」


「私は何もして無いようにしか、見えませんでした。」


「ウチも。」


「うむ、魔力の動きも感じなかったしな。」


「「「「何したんだろう?」」」」


 キーノの能力を詳しく知らないマート達も、キリアーネ同様首を傾げるが、直ぐにどうでも良いかと思考を試合の方へと切り替える。

と、そんな時だった。


「おっ?其処に居んのはお兄さんとお姉さんじゃん!元気~~?」


 人混みの中を掻き分け、一人の少年がマートとキョムの元へと歩いて近付いて行く。


「――――「ファイアリッパー」……お前も来てたんだな。」


「久しぶりですね、「ザマナ」君。」


「おーう!お兄さん達も大会に参加すんだな。俺としちゃ、ハツ姉さんがお兄さんが来ない来ないって泣いて五月蝿いからてっきりまだやって無いんだと思ってたぜ?」


カカカカカカカカッ!!


――――と、大口を開けて笑う少年に、マートとキョムは変わらないなと微笑む。

少年は、160位の背丈のヒューマンで、目付きが悪く、顔の良い不良と言った顔立ちをしており、ボサボサの緋色の髪を揺らしながら楽しげに二人と会話している。

白の半袖シャツに赤いノースリーブのジャケット、それに紺色の短パンでスニーカーの様な靴、と服装だけ観るとアサシン系の職業の様な身軽な格好だが、体の所々にアクセサリーを付け、腕に魔法の発動媒体に成りそうな腕輪をしている所を観るに、魔法使い系の可能性も有る。

彼の名は「ザマナ・ファイアリッパー」。

リアルにおける二人の親類であり、ゲー友である。


「ハツ姉は何時になったら従兄弟離れをしてくれるんだろう……」


「「無理でしょう(だろう)?」」


「即答で断定された!??」


「いや、だってよ?考えてもみなよ、お兄さん。」


「離れたく無いと言うだけで、私達の担任に成る様な人ですよ?」


「「どう考えても無理でしょう(だろ)?」」


 現在、マートとキョムは中学三年なのだが、ハツ姉と呼ばれる人物は、リアルのマート―――誠の従姉妹の姉であり、誠が中一の頃からの担任である。

その溺愛ぶりは凄まじく、授業中でもお構い無しに小さな理由で褒めながら抱き締めて来るのだ。

依怙贔屓で成績を捏造しない事だけが救いである。


 キョムとザマナの言葉も尤もだなと頷くしか無い。


「もしかして、ハツ姉も―――」


「あ~~っ!!マー君~~♪♪♪」


ドゴッ!!!!


「きベシッ!!!??」


 ザマナに問い掛け様とした所で、マートは若葉色の何かに物凄い勢いで突進を喰らい、諸共吹き飛んだ。

行き先に視線を向ければ、其処には若葉色の長髪で、萌葱色の如何にもエルフ!と言った服を来たキーノより小柄なやたら目立つ胸以外は中学生位のエルフの少女に抱き着かれながら、スリスリクンクンされているマートの姿が有った。


「マー君!マー君!お姉ちゃんはこっちでマー君に会えなくて寂しかったんだよ?だから慰めて欲しいな!!」


「ハツ姉~~……学校で毎日会ってるでしょうが!視線が痛いから離れて下さい!」


「や~~だ~~!もっとスリスリするの~~!!」


「先生。」


 ハツ姉と呼ばれた少女が駄々を捏ねてマートから離れようとしない姿を見かねたのか、キョムがそう声を掛ける。


「あら、ナチックードさん、御機嫌よう?貴女も居たのね?」


 途端、先程迄の少女の様な振舞いは鳴りを潜め、大人の女性と言った口調に変わる。

ただしマートは離さない。


「ええ、私は誠君の()()()()()ですから。それと先生、いくらお姿がお若くても、成人で教職に就いているのですから、もう少し振る舞いを考えられては、如何ですか?」


 普段とは違い、やたらと言葉に刺のある物言いをするキョムに、固唾を呑み込むマートとザマナ。

明らかに修羅場ってる空気に、周りもいつの間にか静になっていた。


「ふふふ、今のは私は教師では無く、マー君の従姉妹にして五行一言の幹部!「ハツネ・ウッドスピリット」なのよ!だからそれらしく振る舞うの!ねーー?マー君~~♪」


「あ~~…やっぱり他の人達も居るんだ……名前見た時からもしかしてと思ってたけどさぁ……」


「成る程、やはり「(げん)」兄さんや「ツミリ」さん達のクランでしたか。」


「まあ、そう言うこったな。因みにお兄さん達は何処のクランだ?」


「竜の黄昏だよ。」


「…………っ!!?マジかよ……とんでもねえ強敵だな。」


「なら私達とは違うブロックだから、当たるなら決勝になるね。絶対負けないからね~~?それで券使ってマー君を引き抜いちゃうんだから♪♪」


「あら、勝つのは私達ですよ?先生達にも負けません。」


「まあ、先ずは目の前の試合から、ですけどね。それと、そろそろ試合が始まるみたいだよ?」


『だから離れて?』


 言外にそう言う思いを込めた視線を送るも、ハツネは微笑むだけで、離れ様とはしない。

それ所か―――


「じゃあ一緒に見ようね?」


―――と、マートを引き摺って舞台が見える所に移動する始末だった。

その時のマートの顔は、もう色々な事に疲れ、諦めようとしている奴の顔をしていた。


「修羅場だなぁ……」


「ああ、修羅場だな……」


「修羅場、です……」


「修羅場ですねぇ……」


「キュキュ……」


「修羅場ってるなぁ……」


「と言うか助けなくて良いのか?」


「「「「「いやぁ、アレは無理でしょう(だろ)(じゃない)……?」」」」」


 ファネルの問い掛けに、他のメンバーは全員首を横に振る。

流石のキーノ達も、あの場に割って入る勇気は無かったらしい。

こうして、マートは仲間達に見捨てられ、ハツネとそれに張り合うキョムにより窓際へとドナドナされるのだった。

マート君の周りの女性がヤバイ奴ばかりになってしまった…

遠目だと羨ましく見えるのに、実際の立場になると勘弁して欲しくなる様な人が多い気がするのは何故でしょう?(´・ω・`)?

取り敢えず彼には強く生きて欲しいな、と思うのでした


次回から戦闘回に入っていきます

頑張らねば!( `_ゝ´)


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