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7/83

クソスキル→外道スキル

内容は変わりませんが、細かい所を手直ししています


〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇


それは目を疑う程に非道な力。

 料理も食べ切り、食後の紅茶やジュースを飲みながら余韻に浸る三人。


「美味しかったーー……」


 定食に付いて来たローズヒップティーを飲みながら、惚けた顔になるキーノ。

余程美味しかったのか、ステータスの事など忘れているようだ。

そして幸せそうなその顔は、相も変わらず周りの人々を魅了している。


「そうそう、キーノのステータス確認しようって話だった。今なら少しはゆっくり出来るんだし、早速確認しようぜ?俺の見せてやるからさ!」


「んー?やたら機嫌が良いって事は何か手に入れたな?カナタの自慢したがりは昔ッから変わらないよね。僕も多少はするけどさぁ……」


「ふっふーん!今回はマジで凄いもんだからな!そりゃ自慢したくもなるさ。まあ、先ずはキーノから見ようぜ?」


 キーノは「仕方ないなー」と肩を竦めながらステータスを開く。

そして暫く自分だけで能力の確認をしていたのだが、その顔色は見る間に青く変色していく。

その様子を見て、カナタは何か嫌な予感がして、キーノへと話し掛ける。


「な、なあ…?何かマズイ事でも有ったのか?」


「うん…これは、ちょっとこの場所じゃ話せないかな……ねえ?何処か声が漏れ辛い宿屋とか、無い?」


 それだけで十分だった。

カナタ的にはこの言葉だけで既に食傷気味な程お腹が一杯になってしまっていた。

しかしだからこそ自分も確認しなくてはいけない。

何故なら目の前のこの幼なじみは悪意無き外道なのだ。

常識は有るが、その分手加減無用な相手にはリミッターが外れ大暴走してしまう上に、その事に対して罪悪感など一切持たず反省もしない問題児なのである。

まあ、カナタ自身似たような所があるからそう強くは言えないし、キーノの暴走にしたって一般の善良な人々には発揮され無いのでそこまで危険視される事は無い。

無いのだ。

が、それでも目を付けられるのは間違い無いので、避けられるならば避けたいのが本音だ。

救いがあるとすれば、そこら辺の意見は二人共一緒な事だろうか……

まあ、キーノはPKと言う名のボーナスを求めるので完全とは言えないのだけど……


 兎にも角にも、三人・・は宿屋へ移動した。

場所はカナタの常宿で、石造りの堅牢な建物だ。

この始まりの街「ファステム」で1、2を争う高級宿「月夜の灯り亭」である。

此処は街の中心近くで、商業街や行政街、冒険者街、住民街に貴族街と5つの地区へのアクセスが比較的容易な場所となっている。

因みにファステムは上空から見ると正五角形をしており、外壁一つに門が一つ有る為、その門から街の中心に向かって大通りが引かれている。

そしてその通りによって街が区切られているのだ。


「さて、此処なら安心して話せんだろ。」


 三人は部屋に入ると備え付けのソファーに座る。

カナタが取っていたのは二階の角部屋で、壁の向こうは大通りとなっていた。

部屋の広さは十畳程の広い造りで、トイレと風呂まで付いている。

実はこのゲーム、尿意や便意が存在する。

これはVRの問題の一つで、便意を完全に無視するとログアウト後に大変な、本当に色々大変な事になってしまう為、そう言った生理現象を感じる様にしたのだ。

そして、現実の体が余裕を持って耐えられるなら、ゲームのトイレで用を足す事で、限界が来る二歩手前辺りまでログインして居られる様にしたのである。

風呂は気分転換と回復用だ。


「それで?ホントに何を手に入れたんだよ?AWOのスキルは熟練度制だからな、始めたばっかのキーノが特殊なスキルを手にしたってんなら、お前もホルダーって事だろ?だけど普段ならこんなにこそこそしねえ筈だ。つまり、そんだけヤバイって事か?」


 カナタのその問い掛けに、キーノは黙って頷くと、そっとステータスを開示する。


「「………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………げ、外道すぎだろ(でしょ)!!?」」


 キーノのステータスを観た二人はそう声を揃えて戦慄するのだった。


〇〇〇〇


「分かったでしょ?こんなん人前に晒せる訳無いじゃん……晒したらスレで叩かれまくって面倒な奴らに付き纏われる未来しか見えないもん…流石にそんなん僕も嫌だよ……」


「まあなあ…てか、だからそんな良い装備着けてたのか。今更だけど納得だよ。ギルドとしては是非育って貰いたい筈だからな。」


「ん?ギルドは僕がユニークホルダーって事しか知らないよ?」


「なんだ、知らないのか?あそこのマスター鑑定持ちだぞ?」


「え?そうなの?」


「万物鑑定なんて言うチートスキルが有るのに視なかったんですか?師匠。」


「NPCでもそれは失礼でしょ?ってか今ナチュラルに師匠って言った!?」


「言いましたよ?に、しても、通り名程外道感が無いんですねーー」


 いつの間にか溶け込んでいたハルナはカナタの左腕に抱き付きスリスリと体を擦り付けていた。


(う、羨ましく何か無いからな……!ゴメン嘘です!めっちゃカナタが羨ましいぃぃいいいいい!!)


 血の涙を流さんばかりに心の中で絶叫するキーノはきっと悪くない。


(それにしても―――)


 と、キーノはもう一度ステータスを観る。


キーノ


Lv3

種族:半魔人

職業:冒険者

HP 50/50<+43>

MP 25/25[+15]<+43>《+8》

Pt:46/46(割り振れるポイント)


STR 15[+5]<+24>

VIT 10[+5]<+24>

AGI 20[+15]<+19>《+5》

DEX 20[+20]<+19>

INT 20[+35]<+19>


装備


頭:魔術師のカチューシャ INT+15

体:風守の衣 VIT+5 AGI+10

右手:技量の腕輪 DEX+10 INT+5

左手:魔力の腕輪 MP+10 DEX+5

足:パワーレギンス STR+5

靴:ウインドブーツ AGI+5


装飾品


:インテリジェントイヤリング INT+10

:魔術師の指輪 MP+5 DEX+5 INT+5

:


スキル


ユニーク

緩急自在Lv3 万物鑑定Lv3 万物認識Lv3


補助系

魔力上昇[小]Lv1 魔力回復[小]Lv1 速度上昇[小]Lv1


戦闘系

火魔法Lv2 風魔法Lv1 補助魔法Lv1


生産系

採取Lv1


控え

錬金術Lv1 調合Lv1 アイテム製作Lv1


 []内は装備、<>内は種族値、《》内はスキルによる+値となる。

また通常割り振れるポイントは1レベルに付き5しか無いのだが、ユニークホルダーはユニークスキル一つに付き1.5倍手に入る。

なのでキーノは三つで4.5倍になるのだ。

計算方法は何故か加算方式で、1.5+1.5+1.5=4.5となる。

それが2レベル分で46と言う数値になったのである。

尤も、ホルダーはユニークスキル一つに付きレベルの上限が10下がるので、キーノの最高レベルは30低くなる。

因みに現在の上限は50なのでキーノの上限は20である。

ただし本人はまだ知らない。

と、キーノは徐にユニークスキルのヘルプを開く。

その内容は、最初のクソスキルぶりが嘘のような外道ぶりだった。


万物鑑定


ありとあらゆる物を鑑定する事が可能。

獲得可能経験値が鑑定可能になった。

概念鑑定が可能になった。

所持者のレベルに応じて閲覧出来る情報が増える。

所持者のレベルが10で全解放される。


万物認識


ありとあらゆる物を認識する事が可能。

獲得可能経験値が認識可能になった。

概念認識が可能になった。

所持者のレベルに応じて認識可能な範囲が広がる。

所持者のレベルが10で全解放される。


緩急自在


自身が認識するあらゆる物を緩くしたりきつくしたりすることが出来る。

概念コンバーターが解放された。

概念干渉が可能になった。

2つの能力が解放された事により、対象の便意・・や五感への干渉が可能になった。

所持者のレベルに応じて能力の効果が上がる。

所持者のレベルが10で全解放される。

効果時間

12秒

効果対象

三人

クールタイム

30秒


 …………………………外道だった。

近年稀に見る外道ぶりだった。

確かにこんなん不特定多数に観られるような場所で開示など出来る訳が無い。

万物鑑定と万物認識までなら何も問題など無かったのだが、緩急自在が完全にアウトである。

特に便意の辺りがアウトである。

と言うか概念コンバーターとか概念干渉とかその辺りもかなりヤバイ気がするので、やはりあまり大勢には知られない方が良い。


「運営は何を考えてそんな物騒なスキル創ったんだろうな?正直頭を疑っちまう位ぶっ飛んでないか?このゲーム、プレイヤーもNPCもトイレに行く以上、その効果には抗えねえんだぜ?おっかなすぎて絶対敵に回したくねえ……」


「本当ですよ。そんなスキル使えるなんて知られたら、多分女性プレイヤーは近付いてくれませんよ?」


「だよね……これはいくらなんでも酷いもん……ただ、僕としては概念コンバーターが凄く気になるんだよね。ヘルプはこれ以上出て来ないし、自分で試して確めるしか無いのかな?だとしたらかなり面倒だなぁ……でもまあ、獲得可能経験値が分かるようになったのは良かったよ。これで効率良くレベル上げが出来るからね!ホント、何でこの二つだけにしてくんなかったのかと文句を言いたいよ。」


 その言葉に頷く二人。

確かに万物鑑定と万物認識だけなら単なる補助系チートですんだだろうと思われるだけに、緩急自在の存在を疎ましく感じるのは仕方が無いだろう。

まあ、それには一応理由が有るし、運営側としても色々反省しているのだが、それは一先ず置いておく。


「にしても、だ……そのスキルはあんまり頼るなよ?お前は何だかんだ言って使えるもんはなんでも使うからな。どうせPVPで既に使ったんだろ?」


「な、何の事やらサッパリだなぁーー……」


 図星を突かれて目が泳ぎまくるキーノ。

それを見てカナタは溜め息を吐くと徐にステータスを開示する。


「取り敢えずこれが俺のステータスだ。」


カナタ


Lv10

種族:ヒューマン

職業:見習い剣士

HP 150/150[+25]<+57>

MP 50/50[+5]<+57>

Pt:0/0(割り振れるポイント)


STR 50[+50]<+19>《+12》

VIT 35[+40]<+19>《+9》

AGI 27[+25]<+19>

DEX 10[+10]<+19>

INT 10[+10]<+19>


装備


頭:剣士の額当 STR+10 VIT+5

体:剣士の朱鎧 HP+10 VIT+10

右手:銘刀紅丸&赤影 STR+15 VIT+10

左手:剣士の朱籠手 HP+5 VIT+10

足:剣士の朱袴 AGI+15

靴:剣士の朱具足 AGI+10


装飾品


:修羅の頬当 STR+15 VIT+5

:技の御守り MP+5 DEX+10 INT+10

:力の御守り HP+10 STR+10


スキル


ユニーク

剣鬼Lv10


補助系

筋力上昇[小]Lv6 体力回復[小]Lv8 防御力上昇[小]Lv8


戦闘系

剣術Lv6 挑発Lv5 縮地Lv5


生産系

採掘Lv3 採取Lv5 調薬Lv2 鍛冶Lv8


控え

アイテム製作Lv1


剣鬼


刀剣類でのダメージが二倍になる。

刀剣類を二本まで装備できるようになりました。

刀剣類装備の間、戦闘時の移動速度が二倍になりました。

刀剣類の整備が簡略化されました。

刀剣類を使うアーツの発動時間が20%早くなりました。

刀剣類を使うアーツの硬直時間が半分になりました。

刀剣類を使うアーツの威力が30%高くなりました。

刀剣類で受けるダメージが30%軽くなりました。

刀剣類装備の間、状態異常になる確率が70%減りました。

全ての能力が解放され、刀剣類装備の間、戦闘時のステータスが1.5倍に増えます。


「「…………………………………………………………………………………………………………」」


 ………チートだった。

とても分かりやすいチートだった。


「く、う…うら、うら、羨ましくなんか、なんかあああ…羨ましいぃぃいいいいい!!」


 それは、今日一番の絶叫だった。

まあ、仕方無いだろう。

片や外道チートで、片や王道チートとなれば、普通は王道を選ぶと言うもの。

素が外道のキーノでも、そこは変わらないのだった。


「何で僕は外道一直線なんだよおおおおおおおおお!!」


 素が外道だからである。

こんな能力持ってる人と敵対なんかごめんですよ

もし使われたらと思うとゾッとしますね


スキルによる+値の計算を間違えていたので修正しました


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