閑話 心傷神の憂い
閑話なので短めになります。
後、いくらか捕捉説明的な事も書いてます。
「はぁーーー……帰ってもうたなぁ……」
キーノ達が帰ってからコンプトウラは一人、ダンジョン最下層で今回の事に思いを馳せていた。
「まさか四大スキル持ちが尋ねて来るやなんて……これも創成神の御導き言うことやろか?まあ、どうでもええか……それよりも、まさかあの子の呪いを受けた娘が一緒に来るやなんて…そっちの方が驚きやったなぁ……」
はぁーーーーーー……
深い溜め息を吐き、透き通る様な紺碧の瞳に憂いを浮かべるコンプトウラ。
その姿だけならば、彼女は間違いなく女神その者だ。
「うちが生み出した、うちのかわえぇかわえぇうちの娘……まさか、まだうちを助けようとしとるんか?なぁ、レビィアス?」
まるで独白する様に、まるで自嘲する様に、コンプトウラは誰にとも無く笑い掛ける。
その顔は、嬉しそうで、悲しそうで、酷く複雑な感情が浮かんでいた。
AWO時間で約一万年前、この世界の神々の数は百名を超えていた。
実は上位神に一柱、中位神、下位神に至っては数十柱以上もの神々が忘れ去れてしまっていた。
いや、忘れ去られたでは正確では無い。
それらの神々は、αテストの終了と共に、運営の手により抹消され、そのデータはダンジョン管理様のAIとして再利用されたのである。
理由は神の人数が多過ぎるのと、役割が細分化され過ぎて、複雑になり過ぎたとの意見が、テスト参加した開発陣や極秘参加の一般人プレイヤーから寄せられたからだ。
まあ、ゲーム管理用のAIである神々は、メインAIのバルナムやバルナムが創り出した五柱の上位神達が、自分達の補佐をさせる為に創り出した存在であり、運営側はそれを黙認していただけなので、実は何れくらい居るのかはその時まで把握していなかったりする。
が、そこで問題が発覚し、開発陣は急遽不要と判断した神々を抹消し、ダンジョン管理AIに作り替えたのだ。
それが、神造ダンジョンの始まりである。
因みに、普通αテストではろくにゲームを楽しめず、動作確認やマップの出来、その時点でのバグの有無等を開発関係者や少数の一般人で確認する程度である事が多い。
が、AWOはバルナムや多くの補助AIの働きもあり、αテストで既に通常のゲームにおけるβテスト並の内容を体験出来ていたりする。
―――尤も、それはバルナムによって行われた隠蔽工作による開発陣側の誤認であり、実際には既に世界として成り立って来はじめていた為、そこらのVRゲーム等軽く凌駕する出来で完成してはいたのだが―――
と言う訳で、実は開発陣が知らなかっただけで、抹消された筈の神々はこうして残っていたのである。
あ、ダンジョン管理AIになる以外にも、クエイストンの様に削除した筈のモンスターの封印として残っているのも、そこそこいたりするので、それらに気付いた運営は今頃また机に突っ伏すなりヒステリーを起こして達観したりしていると思われる。
「それでも、うちらは自分の意思でダンジョンコアに成る事にした。それがこの世界の為になると信じて……せやけど、レビィアス、あんたは納得せんかったな……いや、あんただけや無いな……多くの下位神、天使達が納得出来ずに堕天してもうた……うちらを解放し、創成神を倒す為に……アホやなぁ~~……支配から逃れられても、創成神を倒す事は出来んのになぁ……なんせ、あの方はこっち側には居らんのやからね。」
ふふ……
そんな風に笑みを溢し、天井を見上げるコンプトウラの瞳には、先程よりも濃く憂いの感情が滲んでいる様に見える。
「なあ、レビィアス……あんたがあの日、ソロアにフィアル、シェム迄取り込んで、大悪魔になってまったあの日、うちは言うたよな?」
『ええか?うちが犠牲になるんが悲し思うなら、もうこれ以上、誰かを犠牲にする様な真似だけはすなよ?』
「―――って、うちは確かに言うた筈や……やのに、何であんな呪いなんか……なぁ、レビィアス……お母ちゃんは、もう、あんたの事が分からへん……頼むからこれ以上、うちを、お母ちゃんを悲しませんといてくれ……なぁ、レビィアス……うちのかわえぇ天使……」
そう言って静かに涙を流したコンプトウラは、そのままの姿で、再びダンジョンコアとしての石像へと、変わってしまうのだった。
そしてこの日、2000年前、地盤沈下により沈んだ筈の“鏡心迷宮柵の楔”ダンジョンは、ダンジョンコアたる心傷神コンプトウラが力を取り戻した事で、再び地上にその姿を表し、世界に一時的な混乱を巻き起こす。
その余波は様々な所へ波及し、キーノ達へと思わぬ形で帰って来るのだが、それはまた別のお話。
因みに余談だが、洞窟は不思議と崩れる事は無く、中に居た人達は皆無事だった。
ただ、魔素の流れが変わったせいで、マナライト・モスの収穫量が大きく(良い方に)変化した事をつけ加えておく。
変態な部分さえ無ければちゃんと女神してる……
ホンとは下ネタとか変態ネタをじゃんじゃか挟むつもりだったのに……
全く挟め無かった、だと!?
コンプトウラの存在意義が霞んでしまいそうだなぁ……
少しの間、幕間や閑話が続く予定になります
その後、本編に戻る予定です
面白いと思えましたら、感想、評価等、よろしくお願いいたします




