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心傷神と謝罪と報酬

遅くなりましたが、何とか今月2回目の更新です!


〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇


何事も、限度はある。

 光が収まった後、六人は降りて来た10階層に倒れた状態で目を覚ました。


「………戻って、来た?」


「どうやら、そのようですね……」


 降りて来た時と変わらぬ美しくも不気味な白いホールを見渡す六人。

と、そこで六人の視線が一斉にホール中央へと向く。

そこには、先程まで何も無い筈だった。

しかし、其処には今、美しい女性を象った白い石?像が鎮座している。


 ギリシャのトーガと仏教の袈裟を合わせた様な、ゆったりとしていながらも体のラインが分かる独特のデザインの服を着たスレンダー巨乳なセミロングの女性像で、顔付きはアジア系に近く、見た感じは二十代位に見える。

それを観て、キーノとキリアーネはその像が何かを悟る。


「神ですね……」

「神、ですね……」


「えっ!?あの石像が?」


「ですが、協会にはあんな像有りませんでしたよ?」


「ウチも見たこと無いな~~」


「アタシも知らないな。」


 特徴的な衣服に神秘的な見た目は以前見た土石神クエイストンと同じだと感じたキーノとキリアーネは、それが女神像であると直ぐに分かったが、どうやらクエイストン同様忘れられた神らしく、誰も正体が分からない。

キーノを、除いては……


「成る程、彼女がこのダンジョンの黒幕、「心傷神コンプトウラ」ですか。」


 若干、憎悪にも似た怒りの視線を石像のコンプトウラに向けるキーノ。

気のせいか石像が冷や汗をかいている様に見える。



          ピコンッ!



 と、その時、何時もの電子音が鳴り響き、キーノの目の前にメッセージが開かれる。


『クエスト「信仰の復活(中位1)」が発生しました。このクエストを承けますか?Yes/No』


「Yes、と。」


「そこは即断なんですね……」


「てっきりNoにするかと思いました。」


「私も。」


「ウチも。」


「アタシも。」


「いやどんだけ僕私情を優先すると思われてたの!?そんな事しないからね!!それに、石像のままじゃ文句が言い辛いじゃないですか。」


「「「「「ああ……っ!!」」」」」


「それで納得しないでくれます!?」


 自分で言っておきながら、納得されるのはそれはそれで思うところがあるキーノであった。


「全く……ほら、さっさと復活させますよ?」


「そして、慰謝料と言う名の報酬を、踏んだ来るんですね……?」


「流石外道魔導師…恐ろしい……!!」


「そこに痺れないし、憧れませんが参考にはなりますね。」


「おっっかないな~~」


「いや、流石に其処まではしないのでは無いか……?」


「僕の評価酷くない!!?」


 それは勿論、キーノが外道だからである。


〇〇〇〇


 さて、そんなやり取りの後、六人は女神像の前で祈りを捧げる。

流石にキーノとキリアーネは一度経験しているだけあり、落ち着いたものであるが、他の四人はこれで合っているのか自信が無いのか妙にソワソワしてしまっている。

それでも数分程経つと―――


――――アアアアアアアァァァァ……


―――と、何処からともなく女性の声が聞こえ始め、キーノが視線で祈りを促す。

そして、それから約5分程経ち―――


アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァ!!!!


ほっっっっんまにすんまへんでしたああああああああ!!!!!!


―――と言う謝罪の言葉と共に砕ける石像。

もうもうと立ち込める砂埃が引くと、其処にはDO・GE・ZAを決める透き通る様な美しい白髪の、美しい女性の姿が有った。

突然の事態に戸惑う六人。

ただしキーノとマートは大胆に開いたコンプトウラの背中に視線が行かない様に顔を反らしている。

と―――


          ピコンッ!


『クエスト「信仰の復活(中位1)」をクリアしました。報酬として称号と加護が贈られます。』


―――心傷神の信徒―――

心傷神へ熱心な祈りを捧げた者へ贈られる称号。この称号を持つ者は精神系の状態異常耐性(中)を得る。また、魂に関するスキル(Hレアまで限定)の習得速度が2倍になる。


“心傷神の加護”

心傷神からの感謝と謝罪の証。この加護を持つ者は、魂に関するスキルの効果が2倍になる。更に魂に関するスキル(Hレアまで限定)の習得に必要な経験値が三分の一になる。


―――例のごとく、クエストの達成と報酬の報告が提示される。

その効果は強く、軽視して良いものでは無い事は一目瞭然だ。

尤も、現時点では魂関連のスキル等入手方法処か、死霊魔法位しか確認されてはいないけれど。


「今回のも強いなーー」


「そうですねーー……」


 そんな感想を言いながら、コンプトウラから目を反らし現実逃避するキーノとキリアーネ。

他の四人はやっぱりおろおろしている。


「あ、あのぉ……何か()うて貰えんと、うちも困ってまうねんけど……ああ!お願いやからこっち向いて下さい!!無視せんとお話してぇっ!!」


 涙目で顔を上げ、すがる様に懇願し始めるコンプトウラを他所に、キーノとキリアーネは明後日の方向を向き、他愛の無い話をしながら現実逃避を続ける。

コンプトウラはもう泣きそうだが、気のせいか頬が朱く見える。

若干何処かの駄竜みたいなハアハアも聞こえる。

それが余計に二人の視線と意識を反らさせるのだった。

しかし、それに堪えられ無いのが他の四名である。

もう結構な時間この精神を削るダンジョンに居る事も有り、さっさと地上に戻りたいのだ。


「あのぉ、キーノさんもキリアーネさんも、そろそろ話を聞いて上げてくれませんか?僕達もう地上戻りたいのでそろそろ話を進めて欲しいんですが……」


「あら、かわえぇ子ぉやねえ?この子らにもっと言うてくれへん?うちはただ今回の事を謝りたいだけやのに……」


ヨヨヨ……


 泣き崩れる真似をしながら然り気無くマートに寄り掛かるコンプトウラ。

マートの右腕に腕を絡めて豊満な胸を押し付けている。


「あ、あのっ!ちょっと近すぎるんですけど!?は、離れて下さいっ!!」


(柔らかいっ!何か良い匂いするし!!でもそれ以上にキョムさんが怖い……!!)


バッ!!


 と、腕を振りほどき距離を取るマート。


「あんっ♪いけずやわぁ。うちはただ仲よぉしたいだけやのに……」


 しなを作りながら座り込み、右手で口元を隠しながら俯くコンプトウラ。

キーノはそんな彼女に白い目を向けながら溜め息を吐く。


「はぁーーー……貴女も神なら、僕が何を視ているのか位解るでしょう?そんな態度を取った所で、騙されませんからね?」


 因みに軽く説明すると、現在キーノは万物先生でコンプトウラの称号を視ているのだが、ハッキリ言ってろくなモノが無い。

例を上げると「ド変態」「ド淫乱」「ドMでドS」「ロリショタコン」「堕天直前」「女神でも付いてます」「人と交わった神」「両刀使い」「性癖の塊」etc.がずらずらと並んでいる。


「あら?無粋なお方やねぇ。女子(おなご)の秘密を探るやなんて…そないな事しとると、モテへんでぇ?」


「ご忠告どうも。それで?話があるんでしょう?」


「そうそう、今回の試練の事なんやけどね?アレはまあ、ちょっとしたミス、言うか、バグ、言うか…取り敢えずうちの意図した事や無いねん。うちとしては死人が出かねん試練は出した無いからねぇ。けど、結果的にはうちがやった事やからね。しっかり謝罪させて貰お思たんよ。」


んんっ!


「ホンマに、すんまへんでした。どうか、どうか許しておくれやす。」


 そう言って、コンプトウラは再び土下座する。

まるで流れるかの様な淀み無い美しい所作での土下座に、流石のキーノ達も反応がワンテンポ遅れてしまう。


「あ、ちょっ……!?顔を上げて下さい!!困ります!!」


「いいえ!許して頂けるまで、顔は上げまへん!!」


 キーノは慌てて顔を上げる様に言うも、コンプトウラはより一層力を入れて頭を下げる。

何だかハアハアしている気がするが、それは土下座が苦しいからに違いない。


「さあ!気が済むまで殴るなり蹴るなりしておくれやす!!」


 やっぱりただMなだけかもしれない……


「いえ、結構です。ダンジョンのクリア報酬に上乗せして頂ければ構いませんので、どうぞ顔をお上げ下さい。」


スンッ


 と言う擬音が聞こえて来そうな程瞬時に真顔になり、塩対応になるキーノ。


「んんっ!つれへんその態度もそれはそれでよろしおすなぁ♪」


 しかしコンプトウラはものともしない。


「流石変態……強い、変態強い……」


「そらそうやわぁ。うちは“心傷神”。“心”の“傷”を司る神。トラウマ、コンプレックスは、時に性癖に直結するもんですさかい。それを司るうちがド変態なんは、当たり前や。」


「堂々と言う事じゃ無いからっ!!って言うかさっさと立って下さい!!」


 疲れた表情のキーノの視線の先には、渋々と言った感じで立ち上がるコンプトウラの姿があった。

今迄のやり取り中、彼女はずっと土下座のままだったのだ。


「さて、どうやら許して貰えたようやし?お疲れの皆はんをなごう引き留めるんも可哀想やからね。さっさと報酬わたそかぁ?」


「いえ、その前にさっきの“貴女の意図じゃない”と言う言葉の意味を教えてください。」


 やっと疲れるやり取りが終わると言うのに、そんな事を言い始めたキーノにギョッとした目を向ける五人。

その表情は勘弁してくれと物語っている。


「簡単な話やよ?神造ダンジョンは一万年前、神代“ルファ”の時代にうちら「忘れられた神」、いや「忘れさせられた神」、やな…がダンジョンコアになって造られたんよ。そんで、ダンジョンコアになっとる間は思考がダンジョンコアの役割を果たす様に変わってまうんよ。で、マトモに話せるんは攻略者が出た時だけやねん。あ、神に会える条件は、ダンジョン毎に違うさかい、ただクリアすればええんと違うよ?うちとこはただクリアするだけでも難しいからや。因みに、報酬としてクリア者の子を産んだ事もあるで♪」


           どないする?


「「結構です。」」


「つれへんなぁ……因みに、うちは女子に産ませる事も出来るでぇ?」


チラッ


「「「「結構です(だ)(でっす)……!!」」」」


「うちって、そないに魅力無いんかなぁ……」


ショボン……


「まあええわ。どの道ファネルはん以外は創成神の加護で、うちでも手出し出来んしねぇ。」


(((((グッジョブ運営……!!)))))


 運営が18禁の設定をきちんと施していた事に、心から安堵するキーノ、キリアーネ、キョム、マート、ピスタチオの五人。

ファネルは貞操の危機に若干怯えている。


「さて、そんなら報酬の話といこかぁ?」


ニッコリ


 と笑いながら、コンプトウラはそう話を変えるのだった。


〇〇〇〇


「ふ、ふふふっ!ふんふんふふーーーん!!」


「上機嫌ですね……?」


 あれから数分後、地上に出たキーノ達は足取りも軽やかにカナタとハルナの二人と合流する地点に向かっていた。


「それはそうですよ!こんな良い装備が手に入るとは思いませんでしたから!!」


『聖具 開魂の腕輪オープンザソウル・リング

 状態 “完全”

 等級 “神話級” レア度 “A”

 属性 “魂”

 必要基礎レベル “無し”

 性能 MP+100

 特性 「経験値取得条件無視」「過去経験値取得」

    「精神状態異常耐性(大)」「呪い無効」

 武器アーツ 無し  』


『神の力により造られし神器と呼ぶべき腕輪。その効果は魂に関する事全般に及ぶ。但し戦闘そのモノにはあまり役立たない。』


 これが今回のクリア報酬であり、一応上乗せとしてクランメンバー全員分が渡されている。

因みに、特性の「過去経験値取得」が一番ヤバイ効果を持っており、過去に何かが原因で取得出来なかった経験値を、この腕輪を装備する事で一気に取得出来るのである。

なので、今現在キーノとキリアーネは物凄くレベルが上がっていた。


 当然、二人のテンションも爆上がりしている。

が、実はファネルのテンションも爆上がりしていた。

理由は「呪い無効」である。

この効果のおかげで、ファネルは産まれた時から掛かっていた呪いが、付けている間限定とは言え解ける事が嬉しくて仕方ないのである。


「早くカナタにも渡してあげましょう!きっと喜びますよ!!」


「ハルナちゃんは、ちょっと微妙な顔しそうですね……」


「この効果で微妙な顔って……」


「気にしたら負けな気がしますね。」


「ウチ的にはすっごく嬉しいけどなぁ~~」


「ああそうだな!こんな素晴らしい効果だとは!!アタシはすっかりコンプトウラ様の信者になってしまったよ。」


 そんな風に、六者六様の感想を言いながら、六人は目的地へと進んで行くのだった。

あのアイテム……

一番渡ってはいけない相手に渡った気がするのは何故だろう?


面白いと思えましたら感想、評価の方よろしくお願いいたします

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