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新たな街とクラン設立4

遅くなりましたが更新です!


※マートとキョムの種族を変更しました。


〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇


用意された道が気に入らないなら、自分で切り開くしかない。

「っんだよこれえええええええええええええええええええええええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」


 ネストの冒険者ギルド前の簡易掲示板。

そこに貼り出されたイベント概要を確認したキーノの第一声が、冒頭の大絶叫である。

事有る毎に絶叫かフリーズをしている気がするが、今は取り敢えず置いておこう。(いつも置きっぱだと言う意見は聴かない。)


 キーノは寝る前に携帯でAWO関連の情報を探っていたのだか、ギルドの掲示板にイベントの告知が貼られているとの情報を見て、実際に確認しようとログインして来たのである。

そしてその内容にキーノは愕然とした。


―――ミステス王国冒険者クラン大武道会要項―――


開催日

1月20日から1月22日に掛けて


参加条件

・6名以上のクランであること

・大武道会前日迄に申込みをしていること

・参加者は下記の副賞「強制勧誘券」に同意をしたと見なすこと

・従魔は一体までであり、従魔士(テイマー)とセットで一人とすること

・召喚獣は一体までであり、召喚士(サモナー)とセットで一人とすること

・参加費3000Gを支払うこと

・以上の内容を武道会当日に満たしていなければ失格とする


大武道会内容

・トーナメント形式

・対戦内容はクジにより決定


賞金・副賞について


優勝

賞金 1000万G

副賞 強制勧誘券


準優勝

賞金 500万G

副賞 R武器「月影刃(ムーンシャドーエッジ)


三位入賞

賞金 50万G

副賞 ネスト内の宿1年間無料宿泊券


 それは、キーノ達が参加すら出来ない事を表しているのだが、それだけでは終わらなかった。

それは武道会要項の隣に貼られた参加名簿である。


―――ミステス王国冒険者クラン大武道会参加名簿―――


夜空の涙


トレジャーマウンド歌劇団


混沌を統べし根源


R.S.U


鏡花魔剣師団


日本地元愛好会


カナタと愉快な仲間達(仮)


……………

……………

……………


カナタと愉快な仲間達(仮)―――

カナタと(以下略)―――


 参加条件を満たしていないのに、キーノ達は仮名称で参加名簿に登録されていた。

つまり、現状のままでは確実に失格となる上、優勝者に与えられる強制勧誘券に従わなければいけないのである。

普通に考えればそんな物は無視して脱退してからクランを建てればいいだけだ。

しかし、恐らくゲーム的なシステム、もしくは魔法的な強制契約が発動するのでは無いかと思われる。

それにどの道、武道会で勝てなければこの街でクランを設立する事は出来ないのは確定している。(ギルマスの職権濫用で……)

おまけに元々クランは六人居なければ建てられ無いのだから現状ではどうあっても無理だ。


(なら、何とか期限迄に残り二人を勧誘するしか無いか……)


 幸いな事に――と言えるかは微妙だが、武道会の開催はリアルで3日、AWO内で11日後となっている。

これだけの期間があれば、なんとか残り二人位なら確保出来るかも知れない。


「明日には新規も入って来る(・・・・・・・・)し、そこが勝負どころかな?」


 そう言って気を取り直したキーノは、明日に備えて就寝する為に、宿へと戻りログアウトするのだった。


〇〇〇〇


―――観測運営室―――


「さて、皆も知っている通り、明日から新規の子達がAWOに参入します。」


 何時ものメンバーが揃った運営観測室では、チーフの木下菫(きのしたすみれ)が落ち着いた声音でスタッフ一同に明日からの予定を告げる。


「予定通り最新のVR機器「プレイアデス・ドリーマーズ」が増産され、バルナムも受け入れ態勢を調え終わっています。つまり、全て順調と言う事です。と、言う訳で、元から予定していた大型イベント「EXP倍大祭」を開始するわよ!これは私達がAWOに関与出来る数少ない機会なんだから、気合いを入れましょう!!」


「「「「おーーーー!!!!!」」」」


 EXP倍大祭、それはAWOがアップデートする前から決められていたイベントで、古久保俊道(こくぼとしみち)小早川泉都(こばやかわせんと)が以前菫と話していた懸念事項でもある。


「あ、そう言えばイベントの告知はしておりますかな?最近映像の編集ばかりで忘れている気がしますぞ?」


「それならウチが公式HPに載せといたで~~」


 小久保の疑問に答えたのは広報担当の女性職員、宇津木真美(うつぎまみ)だ。

赤いジャージ姿で、目元は伸ばしっぱなしの黒髪で隠れて見えない。

肌は白いがあまり健康的には見えず、体もジャージの上から分かるほどに細い、ザ・不健康な感じの二十代女子である。


「有り難う宇津木。それで、それはいつ載せたの?」


「一週間前ですわ~~ただ、最近公式HP観る人少ないんで、ウチのSNSにも上げとります。ま、フォロワーが一万しか居らんので、あんまり広まって無いかもですけど~~」


ケラケラ!


 菫の問いに笑いながらそう答える真美。

他のスタッフ達は「まあ仕方ない」と言わんばかりの表情でそれを聞いていた。


 実際問題として、今現在運営はほとんど…処か全く役に立てていないと言って差し支えないので、公式HP等観るだけ時間の無駄だと考えるプレイヤーが増えるのは仕方無い。

そもそもこのイベントは新人救済の為のものなので、前戦組に出張られたく無いと言う思いも有る。


「それを考えると、現状は寧ろ好都合ね。」


「外道魔導師達が早めにネストを開放してくれたのも良い方向に働きましたな。」


「そうね。第一陣は八割方ネストかその先に進んでるものね。お陰で新規の子達が自分達のペースでレベル上げを出来そうで良かったわ。」


「その外道魔導師なんですが、面白い事になってますよ?」


 そう言って二人の話に入って来たのはニマニマと楽しそうな表情を浮かべる小早川だった。

小早川は今しがた見付けた情報をスタッフ全員に開示する。


「これは……!?」


「ふふふ!あの外道魔導師が困ってるわ。良い気味ね!!」


「何と言うか…自業自得って感じですね……」


「でも彼等の事ですから、何とかしちゃうんじゃ無いでしょうか?」


「十分有り得ますね。楽観視は出来ないでしょう。」


「やんな~~ま、ウチは面白楽しく見させてもらうだけですけど~~」


 と、吹っ切れたお陰かスタッフ達は一様にこの突発的なイベントを楽しむ様な声ばかり上がっていた。

そして、このイベントを公式にしようとする動きが出始めるのだった。


「楽しくなって来たわね!!」


「「「「「「「「はい!!」」」」」」」」


 まあ、明るく仕事が出来て何よりである。


〇〇〇〇


―――翌日―――


「く~~!やっと来たぞ!もう1つの世界(アナザーワールド)バルナム!!」


「大袈裟ですよ?マー君。そんなに長い期間でも無かったでしょう?」


「何言ってるんですかキョムさん?僕よりもよっぽど楽しみにしてたクセに……」


「そんな事は有りません。それより折角装備を貰えたんですから、早速フィールドに出てみましょう?今はファステム近郊のモンスターの経験値が二倍になるイベント中なんですから時間は有効に使わないと。」


「そうですね。ユニークスキルが手に入らなかった分レベルを上げなきゃですもんね。」


 そんな会話を交わしながらギルドから出て来たのは同じくらいの背丈の少年と少女だ。


 少年は黒髪で背中に白い羽を生やしている。

これは新しく解放された種族で、「翼人」の中の「白翼族」と言う種族だ。

容姿は何処にでも居そうな平凡な顔立ちで、若干ポヤンとした雰囲気をしている。

服装はオーソドックスな茶色の革鎧にブーツ、片手剣とラウンドシールドと前衛向きな格好だ。

彼の名は「マート・トゥルー」。

通り名は無いが、VR界ではそこそこの有名人だ。


 少女の方は腰まであるロングストレートの黒髪で透き通る様な白い肌に赤い眼をしている所から一見すると魔人に見えるが、その豊かな髪には魚の鰭の様な耳が隠れている。

これも新しく解放された種族で、「水棲人」の「黒水族」と言う種族だ。

容姿は恐ろしく整っていて、普段から何処か憂いを帯びた儚げな印象を与える。

服装は黒いローブに三角帽と黒い革靴、柏ノ木の杖とザ・魔術師と言う格好だ。

彼女の名は「キョム・ナチックード」。

「虚言使いのキョム」と言う通り名で呼ばれる有名人で、マートとは長い間コンビを組んでいる。

尤も、何処ぞのコンビと違って理不尽さはあまり無いので注目度はかなり低いが……


「にしても、ホントにリアルですね。まるで現実みたいだ。」


「これだけリアルだと、モンスターを倒した時が少し心配です。私、グロにはあまり耐性が有りませんから……」


「ああ…ソウデスネ……」


「何です?何か言いたいことでも有るんですか?」


「いえいえ!何も無いですよ!?」


「なら早く行きましょう?時間は有限なんですから。」


「そうですね。行きましょうか。」


 そうして二人は草原へ向けて歩き出す。

一刻も早くレベルを上げて、出遅れた分を取り戻す為に。


〇〇〇〇


「さて、ここら辺なら大丈夫かな?」


 新規参入者達がレベル上げを始めた頃、キーノ達はネスト近くの人気の無い岩場に来ていた。


「ホントに出来んのか?出来るなら今後の移動がスゲー楽になるけどよ。」


「多分大丈夫だよ。ただ、誰かに見られる訳にはいかないけどね。」


「なら宿で試せば良かったんじゃないですか~~?」


「きゅ~~?」


「街の出入口は一応衛兵さん達が居たでしょう……?なのに出入りして無い筈の人間が街から街に移動してたら、おかしいって感付かれちゃうんだよ……だからこうやって一度は街から出るの……」


「そうだよハルナ。キリアーネさんの言う通りだ。もし僕がこれからやろうとしてる魔法…空間魔法「転移門(ゲート)」が誰かにバレたら、今以上に面倒な事になるのは目に見えてるからね。慎重にやらないと……」


 そう、キーノ達はキーノが新しく手に入れたスキル、空間魔法のアーツ「転移門(ゲート)」を使いファステムへ戻るため、誰にもバレないように人気の無い岩場まで来たのである。


 今日の昼、菊乃達は何時も通り屋上で昼食を取りながら作戦会議をしていた。

その結果、満場一致で―――


「「「「ファステムまで戻って勧誘する!!」」」」


―――に決まったのだった。

因みにファステムまで戻るのはネストでは既に勧誘出来そうな人材が居なかったからだ。

別にオルンでも良かったのだが、そのオルンでさえほとんど何処かのクラン所属で手が出せない。

異邦人(プレイヤー)達もほとんど所属が決まって居る上に、近くのダンジョンに潜っていて中々会えない。

ので、新規に頼るしか無かったのである。


「さ、皆準備は良い?行くよ!!」


“彼方へ開け――”


―――転移門(ゲート)!!


 キーノが呪文を唱えた瞬間、キーノの1m前方から眩い光が溢れ、辺りを埋め尽くす。


「うあっ!?」

「眩しっ!!」

「きゃっ!!?」

「キュキュ~~ッ!?」

「凄い、光……!!」


 その発光はほんの2秒程で終わったが、キーノ達の視力が奪われかねない程の光量だった。

しかし、不思議とダメージは無い。

そして―――


「……………っ!!」


―――キーノ達の前には、フルードを倒したあの森へ続くゲートが存在していたのだった。


「成功だーーっ!!」


「「「やったーーっ!!!」」」

「キューーッ!!!」


 こうして、キーノ達は新たな移動手段を手に入れる。

そして、キーノ達は新たな出会いを探しに転移門を潜る。

自分達の自由を勝ち取る為に。

さて、キーノ達は無事に勧誘することが出来るのだろうか…?

正直レベル上げをしたい新規の勧誘はかなり難しい気がする…


良いなと思えたら評価、感想の方よろしくお願いいたします

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