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新たな街とクラン設立3

キーノ達の会話の内容を少し修正しました。


〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇


影に隠れて居るのは希望か、絶望か……

 ネストの街の一角、中級の中でも上位に位置する宿屋「ホワイトプリズム」の二階、街側の角部屋にキーノ達は居た。

結局、あれから直ぐに解散となり、何か新しい依頼を受ける気力も無くなった四人と一匹は空いてる宿屋を探して此処に来たのだった。

値段は月夜の灯り亭よりも大分安いが、セキュリティはバッチリらしい。

因みに部屋の間取りは2Lトイレ付きで、リビングの他は二人用の寝室となっている。


 四人と一匹は部屋のリビングで、向かい合う様に設置されたソファーに座りギルドでの事を話し合っていた。


「で?キーノから見てあのギルマスはどんな感じだったんだ?」


「正直、関わりたく無いかな……ステータスは少なくともあのダンジョンマスターの2倍は有るし、ユニークに近い性能の特殊なスキルが有る。それだけでもヤバいけど、一番ヤバいのはギルマスの経歴だね……」


 カナタの問に顔を青くしながら、キーノはなるべく平静を装って答えていく。

まあ、顔が青ざめてる時点で全然装えて無いが……


「あ~~腹黒そうでしたもんね~~悪女感が凄かったです!」


「キュ~~」


「あーうん…ハルナが考えてるより質悪いよ?実はユリナさんに前要注意人物として教えられてたんだよ……「絶対関わっちゃ駄目ですよ?」って。」


「そんなに怖い方なんですか……?」


 恐る恐る掛けられたキリアーネの言葉に、軽く頷いて答えるキーノ。

そしてファステム支部の受付嬢だったユリナに聞いた話を皆に話していく。




―――――――曰く、その女は証拠を残さず事を為す、完全犯罪者パーフェクトクリミナルである。



―――――――曰く、その女は獲物を逃さぬ優秀なる狩人(ハンター)である。



―――――――曰く、その女は獲物が何処で何をしていようと知る事が出来る千里眼の持ち主である。



―――――――曰く、その女は小さな事から少しずつ少しずつ追い詰める事が好きなサディストである。



―――――――曰く、その女は目的の為なら手段を問わず目的を完遂する暴君である。



―――――――曰く、その女はソロでSランクにまで登り詰めた女帝(エンプレス)である。



―――――――曰く、その女は街の表も裏も支配する支配者(ドミネーター)である。



「―――で、更に彼女は「神話(ミソロジー)級」の武器を所持してるって噂が有るんだって……」


「「「「………………………………………………」」」」


 話を聞き終え、静まり返る室内。


「もう、何処からどうツッコンで良いやらって感じですね~~……」


キュ~~……(ヤバ過ぎ~~……)


「それ、何でギルマスなんてやってんだよ……」


「国位乗っ取れそうですね……」


 3分程してから出て来たのはそんな感想だった。

正直その感想には同意せざるを得ない。

とは言え、今キーノが語ったのは全て噂であり、真偽の程は定かでは無い。

いや、無かった(・・・・)


「実はさっきさ、万物先生(ユニークスキル)で色々「視た(・・)」んだよね……」


「「「ああ~~」」」

「キュ~~」


「それで噂の裏が取れちまったのか……」


「で、ヤッバイ相手だって事が判って―――」


「下手な事が言えなくなってしまったんですね……」


「うん…後、あの人、竜人(ドラゴニュート)じゃ無かった……」


「え……?違うんですか……?」


「ええ…あの人、進化する宝玉を自分に使ってた(・・・・・・・)んです。」


「つまりギルマスは進化してるって事なんですか?」


「そう、その名も「真・龍人トゥルー・ドラゴノイド」。伝説級の種族だよ。レア度はBだったけどね。」


 それを聞いて、キーノも他のメンバーも全員が同じ事を思った。


(((((本当、何でギルマスなんてしてるんだろう(でしょう)……?)))))


「―――にしても、随分視たんだな……」


「そりゃ、注意を受けた人物だったからね。時間の許す限り情報を集めるに決まってるでしょ?でも、まさか噂が千里眼以外漏れ無く全部真実だったとは思わないじゃん……救いがあるとすれば、一般人には被害者が居ないって事かな?あ、後、1つだけ気になるスキルを視たよ。」


「へえ、どんなスキルだ?」


「あの場で騒いだ人達を押さえ付けてたスキル。」


「おお!アレ、気になってたんですよね~~」


 どうやら他の二人もハルナ同様気になっていたらしく、身を乗り出して聞く気満々だ。

因みにムクは話し合いに飽きたのかハルナの膝の上で就寝中である。


「あのスキルの名前は「傲慢」。普通では覚える事の出来ない特殊なスキルだよ。名前から分かる通り七罪スキルだよ。括りとしては「契約スキル」って言うんだ。契約スキルは、上位存在である「悪魔」、もしくは「聖霊」や「天使」なんかと契約する事で取得可能なオンリースキルだね。」


「一点物のスキルか……しかも上位存在との契約って事は、下手すりゃユニーク以上じゃねえか?」


「いや、ユニークは括りで言えば最上位だよ。それにユニークもオンリースキルだしね。だからなのか、ユニーク持ちは契約スキルが入手出来ない。」


「なんだそうなのか……」


(ん?でもそういやぁ―――)


 と、カナタが何かを思い出し掛けるも、次のハルナの質問で、その思考は隅に追いやられる。

それが、後にとある人物の今後を左右する事になるのだが、この時のカナタには、知るよしも無い。


「わふ?あの、ナナザイってなんですか?」


「七つの大罪はね……?元は八つの枢要罪(すうようざい)、もしくは八つの大罪って言われてた人間の欲望とか負の感情の事で、「憤怒」「暴食」「傲慢」「色欲」「強欲」「怠惰」「虚飾」「憂鬱」の八つの内、「傲慢」と「虚飾」、「怠惰」と「憂鬱」が合わさって「嫉妬」が加わった事で生まれたものなの……つまり「憤怒」「暴食」「傲慢」「色欲」「強欲」「怠惰」「嫉妬」の七つだね……」


「わふぅ~随分少ないですね?日本の除夜の鐘が消す煩悩は108個も有るのに~~」


 それは寧ろ日本人が欲深く煩悩に満ち溢れているだけだとも言えるが、治安の良さが世界でも上位に入る事を考えると、七罪やら八罪が強力なだけとも言えるかも知れない。


「まあ兎に角、それらに因んだスキルはどんなゲームであれ、どれも強力なんだよ。だから、そんなドSの暴君女帝がそんなスキル持ってるとか怖すぎて流石に恐怖が……」


カタカタ……


 再び小刻みに震えるキーノ。

それを見て、カナタはつい(・・)キーノのトラウマを刺激する一言を洩らしてしまう。


「てっきり俺はギルマスの名前を聞いてタラマヨのCM(・・・・・・・)でも思い出したのかと思っちまったぜ?」


「へ?タラマヨの―――」


「―――CMですか……?」


「そうそう、そのCMのせいで悪夢を観てからキーノはタラマヨ恐怖症に―――って、キーノ!?」


ブルブルブルブル!

ガタガタガタガタ!!


「イヤダ!イヤダッ!!モウボクノクチニハハイラナイカラッッ!!!モウタラマヨナンテタベタクナイッ!!!ダレカ!ダレカッ!!ダレカタスケテッッッ!!!タラ◯ヨキュー○ーガ、ボクノ、ボクノクチノナカニムリヤリハイッテクルンダ!!!ヤメロ!!ワラウナッ!!ワラウンジャナイ!!!!!モウヤメテクレ!!タラマヨナンテモウウンザリダッッッ!!!!!」


 ソファーが揺れる程体を震わせ、頭を抱えながら半狂乱で泣き叫び始めたキーノを見て、三人は慌ててキーノを宥め始める。

正直三年も前の事で、流石に落ち着いた頃だろうと油断していたカナタに責任が有るのだが、それを察しろと言うのも酷な話なので、あまり強くは責められない。

結局、この日はキーノを落ち着けるのに時間を使ってしまい、これ以上は何も出来ないのであった。


「タラマヨナンテモウウンザリダーーーッッッ!!!!!!!!」


〇〇〇〇


 キーノ達がホワイトプリズムの一室で話し合っている頃、ネストの歓楽街に有る劇場の1つ、トレジャーマウンド歌劇団の有するクランハウス「トレジャーマウンド歌劇場」の談話室で、エステルとマオが全クランメンバー総勢47名に今回の話し合いの結果を報告していた。


「――――と言う訳で、外道魔導師達の勧誘は失敗してしまったが、チャンスをもぎ取る事には成功した!!これで後は勝負に勝つだけだ!!正直、どんな勝負になるか分からないだけに、不安は拭えないが、私は様々な人材が揃ったこのクランなら必ず勝てると信じている!そして見事に勝利出来れば、箔が付くだけでなく、超強力な切り札(ジョーカー)までてに入るんだ!!!全員、気合いを入れて挑んでくれ!!!」


オオオオオオオオオォォォオオオッッ!!!!!!!!


 響き渡る歓喜とやる気の籠った雄叫び。

クランメンバー達の心が1つになっている姿を満足そうに頷きながら見詰めるエステル。

その姿は余裕に満ちていて、見ているだけでメンバー達に安心を与えてくれる。

そんな彼女は今―――


(ぐふぅうううう!!プレッシャーで胃が痛いよ~~……正直外道魔導師達に勝てる気なんて全然しないよ~~……でも、正直勝つしか無いんだよね……クラン設立の邪魔をした以上、外道魔導師達と同盟なんて無理だろうし……でももし外道魔導師達がクランを建てちゃったら…せめて不可侵条約だけでも結ばないと!!)


―――と、とてもメンバーに聞かせられない様な弱音のオンパレードを心の中で思い浮かべているのだった。

そうとは知らず盛り上がるメンバー達。

そんな中で、マオだけはエステルの胸中を思い、優しい視線を投げ掛けるのだった。


〇〇〇〇


――ネスト内何処かの路地裏――


 幾つものゴミ箱が並び、誰かの吐瀉物が壁際に吐かれていた跡が残る薄汚れた路地裏に、三人の人影があった。

その姿は薄暗さのせいで確認出来ないが、普通の人の半分程の背丈しかなく、一見すれば子供に見える。

しかし、その佇まいには隙が無く、見る人が見れば全員が何かしらのプロだと分かる身のこなしをしている。


「報告デス…姐さんは今回の催しでは、序盤に我等を使うつもりは無いとの事デス……」


「ふむ、珍しいな。姐御が拙らを使わないとは。」


「ばっか、“序盤”はっつってただろ?つまり姐さんは儂らの出番が来るまで待機してろって言ってんだよ。」


「そうデス。それと出番になっても、手を出したら駄目な人達のリストを貰って来たデス。」


 そう言って懐からどうやったのか自身の身長の半分程もあるスクロールを取り出す一番小さい人影。

それを受け取ったのは一番ゴツい姿の人影だった。


「ほほう…今回(・・)はなかなか多いな。どうやら今回は余りテコ入れをしない方針らしい。実に珍しい。」


「どれどれ?っんだよやれっかもって楽しみにしてた連中が結構居るじゃねえか…ちっ……ちっとやる気が削がれちまった……」


「なんじゃ、そんなにやり合いたい奴がおったのか?拙的には美味しい相手は居ない様に見えるがな?」


 リストを見て落ち込む人影に疑問をぶつける一番ゴツい人影。

問われた二人の中間位の人影は、酷くつまらなそうに不満を漏らす。


「たまには搦め手を使う奴とやってみたかったんだよ!いつも真っ正面からって奴とやってもつまんねーじゃん!!」


「だからと言って、彼は危険過ぎデス……我等は表に知られる訳にはいかないデス。」


 駄々を捏ねる人影に小さな人影が注意喚起する。


「儂だってその位分かってるさ!それでも不満は不満だ!!」


 拗ねた様にそっぽを向く人影。

他の二人は呆れた様に溜め息を吐きながら、何時もの事だと気持ちを切り替える。


「さて、では拙は拠点に戻るかの。朝飯もまだ故、軽く何か摘まんで来るとしよう。」


「んじゃあ儂も戻るかな。」


「では我も戻ります。」


 そして三人の人影は音も無くその場から消え去り、後に残ったのはゴミ箱から臭ってくる据えた臭気だけだった。


 翌日、街とギルドの掲示板に今回のイベントの告知が大々的に貼り出され、イベント開催予定日の三日後まで掲示板はお祭り騒ぎが止まないのだった。

キーノは余程酷い悪夢を観たみたいです…

まあ、実際あのCMは怖いと思うんですよね…


次回は掲示板回です


良いなと思えたら評価、感想の方よろしくお願いいたします

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