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新たな街とクラン設立1

間に合わなかったか……

って事で令和最初の投稿です!


〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇


意思の確認は大切である。

「何か良い依頼は無いかな?」


「護衛依頼が理想だよな。」


「わふ、ですね~~」


「でも、倍率高そうですね……」


 キーノ達は今、ギルドの掲示板を眺めていた。

谷から戻って此方の時間で3日、現実で1日掛けて移動の準備をするつもりだったのだが、ズィロー砦に関する事後処理の事情聴取やら手続きやらで時間を取られ、結局此方で1週間、現実で2日程の時間が経っていた。

が、それも仕方無いだろう。

何せ―――


「―――にしても、まさかこっちでもとんでもねえモンスターが出てたとはなぁ~~」


「等級はこっちのが上でしたけどね~~」


「けど20m級のデカさを二人ってのは凄いね。」


「それよりも、「門番」と「腰簑ダンサー」がパーティーになってた事が、驚きです……」


「ま、向こうからすりゃ俺達がパーティー組んでる方が驚きだったろうな。」


「「「言えてる(ますね)。」」」


―――と、大事件が立て続けに起きた為に、情報が錯綜したり関連性を疑われたりでてんやわんやになったせいだ。

結局、2つの事件に関連性は無く、単なる偶然として処理されたが、砦の方はかなりの痛手だったらしく、非常勤で良いから騎士として働かないかとしつこく勧誘されたのも大きいだろう。

因みに砦は後方に新しく建設中との事だった。

魔法建築なので割と早く再建出来るんだとか……


「でもまあ、新しく称号が手に入ったのは良かったよね。」


「ああ!これは普通に自慢出来る奴だからな!」


「わふぅ!!」


「嬉しいです……!」


―――神話迷宮(ミソロジーダンジョン)初攻略者―――

この時代において、神話級のダンジョンを初めて攻略した者へ贈られる称号。この称号を持つ者はあらゆる国で騎士爵と同等に扱われる。また、神話級以下のダンジョン内において、全ステータスが一割増しになる。


 称号によるステータスへの恩恵はあまり高く無いが、あらゆる国で下級とは言え貴族に近い扱いを受ける事が出来ると言うのは大きいだろう。

部類としては間違いなく当たりである。


「ま、貴族トラブルだけは勘弁願いたいですけどね。」


「「「うん、それな。」」」


 等と話をしながらも、その目は休まず依頼を探し続けていたのだが―――


「無いですねぇーー……」


「そうだね……」


「もう普通に行くか?多分その方が早いし。」


「けど、ちょっと勿体無くない?」


「気持ちは分かるんだけどなぁ?」


―――今出ている依頼には、ネストへ行く道中にクリア出来る物は1つも無かったのである。

寧ろファステム近郊の依頼ばかりだ。

しかし、それでも諦め切れないキーノがふと、視線を横に切ると、そこでとある人物を見つけ、その顔が笑顔に変わる。

それを見て、他の三人もその人物へと視線を送り、キーノのその表情に納得したのだった。


〇〇〇〇


「やっと着いた~~!!」


 街の出入りとなる門を抜けた所で、キーノは盛大に伸びをする。

キーノ達は今、次の街である「ネスト」に来ていた。

あの後、キーノ達はとある人物からの護衛依頼を受け、自分達だけなら1日掛からない程度の距離を1日半も掛けて進んで来た為、無駄に疲れが溜まってしまっていた。


「うっしっしっしっしっしっしっ!!いやぁ~どうもお疲れ様でございますです、はい。これで護衛の依頼は終了でございます。今回は本当に助かりました!他に受けて下さる方が居なくて、依頼として出す事すら出来なくなり掛けていたので、私、不安で不安で……なので皆様に請けて頂けて感謝しかございません!!ギルドへの報告には少々色を付けさせて頂きますね?」


「有り難うございます。それじゃ、俺達はギルドに報告があるんで、これで失礼します。」


「はい、機会があればまたお願いいたしますです!うっしっしっしっしっしっしっ!!」


 そう言って依頼完了のサインをした書類をカナタに渡し、自分の店へと馬車を引き連れ戻る何時かの露店商。

そう、今回の護衛依頼はあのぼったくり露店商だったのだ。

「ランウェイ宝飾商会」と言う宝飾類を専門に扱う商会なのだが、異邦人に対して行って来たぼったくり商法のツケが回って、誰も護衛依頼を受けてくれなかったのである。

その為「塩漬け依頼」とか「赤い依頼」とか言われて忌避される依頼として、ギルドそのものも依頼として仲介するのを止めるかどうしようかと言った所だったのである。

しかし、商会自体はミステス王国でも大手に入る為、キーノ達は恩を売ってコネを作ろうと考え依頼を受けたのだった。


 因みに依頼主のあの露店商はネスト支店の支店長で「ガメー・ツィナ・ランウェイ」である。

これと言った特徴の無い四十代後半の小太り中年だ。

が、なかなかの情報通らしい。

それでも今回の様にやり過ぎてはしっぺ返しを受ける事が度々ある辺り、懲りない男である。


「―――にしても、プレイヤーが意外と少ないね。」


「そうなんですか?」


 ハルナの声にキーノは軽く頷いて応える。

普通異邦人(プレイヤー)現地人(オルン)を見分ける方法は無い。

冒険者を見掛けたら異邦人(プレイヤー)かもって位で、どちらなのかは訊かない限り分からない。

だから他の三人は特に気にしなかったのだが、キーノには万物(あらゆるもの)を鑑定する「万物鑑定」と万物(あらゆるもの)を認識する「万物認識」と言うユニークスキルが有るため、直ぐに気付く事が出来たのだ。


…………一応キーノの名誉の為に言っておくが、キーノはプライバシーに関する情報は普段は異邦人(プレイヤー)現地人(オルン)か位しか視ていないし、それ以外の情報を視てしまっても、犯罪に関係するもの以外は誰にも話したりしていない。

勿論脅しに使うなんて事は……うん、無い…かな?

いや、無い!

無いのである!!


「所で師匠?また悪党の(ねぐら)つぶ―――っ!?むー!むーーっ!!」


「ハルナ?」


「っっっっ!!!?」


ガクガク……


 ハルナが何かを言い掛けた瞬間、キーノは無駄の無い動きでハルナの口を右手で塞いだ。

それに抗議する様に身動ぎするハルナだったが、にっっっこりと笑いながら自分の名を呼ぶキーノを見て、急に大人しくなり、膝が震え出す。


「ははは、どうしたの?そんな生まれたての小鹿みたいにして。全く、それじゃあ僕が脅したみたいじゃないか。それより、早くギルドに行こう?この街から、クランの設立が出来る様になるんでしょ?説明訊かないと!」


「……うん、そうだな。早く行ってさっさとクランを創るか!」


「え、ええ……そうですね……!ハルナちゃん、行こう……?」


「う、うん……!ムクちゃんも行こ?」


「キュッ!!」


 何かを隠す様に無理矢理テンションを上げた一行は足早にギルドへと向かう。

別に、後ろ暗い事等無い。

無いったら無いのである!!

が、何かを隠している気は―――


クル……


―――しないな!

うん!!


〇〇〇〇


 ネストのとある路地裏で、二人の人影がこそこそと話し合っていた。


「遂に外道魔導師一行がネスト入りしたようだな。」


「ああ!待ちに待ったって奴だな!!」


 それはキーノが初めてPVPをした日にファステムの路地裏に居た二人だった。

どうやら二人はキーノ達の到着を待っていたらしい。


「さあ、今こそ彼らを我らのクラン、「トレジャーマウンド歌劇団」へ勧誘する時だ!!」


「ネスト入りした奴らの八割はもうどっかのクランに入るか、自分達でクランを創るかしてるもんな~~」


 そう話しながら、二人は路地裏から大通りのギルドへ向かって歩いて行く。

ある程度歩くと、路地裏から出て、二人を日光が照らす。


「ふふ!太陽が我々の栄光を祝福しているようじゃないか!!」


 芝居掛かった言い方でそう言ったのは、180㎝程の長身で、エメラルドグリーンの長い髪をオールバックにし、紺色の紐で一纏めにした、蔦色の瞳の十代後半程のエルフの少年?

いや――男装をした少女だった。

服装からすると剣士の様で、白を基調としたマタドールの様な格好をし、腰には黒い持ち手に黒い鞘のレイピアを提げている。

彼女の名は「エステル」。

クラン「トレジャーマウンド歌劇団」の団長だ。


「上手く引き込めると良いんだがな~~……」


 不安げにそんな発言をしたのは、これまた男装をした少女で、青い短髪に金色の瞳をした猫獣人である。

身長は170㎝程とこれまた女性にしては高く、切れ長の目とスラリとしたシルエットも相まって、とても格好いい。

装備は黒のタンクトップに銀色のブレストアーマー、肘から手の甲迄を覆い、五指と掌はほぼ剥き出しになるタイプの銀色の手甲、黒の長ズボンに足と脛を覆う銀色の脚甲と言う動きやすさと見栄えを重視した感じの軽装だ。

職業は恐らく拳闘士だろう。

そんな彼女の名は「マオ・シャー」。

クラン「トレジャーマウンド歌劇団」の副団長である。


「そんな不吉な事言わないでよ!もしクランに入れられ無くても、同盟を結べれば良いんだから!!」


「地が出てる地が出てる。」


「―――っ!?ゴホン!兎に角ギルドに急ぐぞ!!他者に先を越されては叶わんからな!!」


 咳払いで誤魔化したエステルは足早にギルドへと向かう。

マオはそんなエステルに呆れた顔をしながも微笑みを浮かべて後を追うのだった。


〇〇〇〇


「どうしてこうなった……!!」


 何時もの嘆き声を上げながら、キーノは他の三人と一緒にギルドホールで深い溜め息を吐く。

今四人(+一匹)の前では、総勢20名程の男女が何やら言い争いを繰り広げている。

内容を聞いてみると―――


「外道魔導師達をクランに入れるのは俺達「夜空の涙」だ!!お前ら弱小クランは引っ込んでろ!!」


「何を!?彼らを引き入れるのは我々「トレジャーマウンド歌劇団」だ!!そちらこそ引っ込んでいたまえ!!」


「お前らは男子禁制の筈だろ!!彼らは僕ら「混沌を統べし根源」が貰う!!」


「そんな弱小クランで彼らの才能を無駄に出来るか!!彼らは私達「R.S.U」にこそ相応しい!!」


「皆さん何アホな事言うとるん?外道魔導師はんらが入るんに相応しいんはうちら「鏡花魔剣師団」に決まってはるやろ?」


「おめだぢのどごあて話さなんね!外道魔導師だぢが入んなんばオラだぢの「日本地元愛好会」さ決まってんろ!!」


「「「「「お前らは郷土料理でも作ってろ!!」」」」」


「あ、はい……」


―――と言うスカウト目的の人達同士のぶつかり合いが起きていた。

が、はっきり言って無意味な言い争いである。

なんせキーノ達には何処かのクランに入るつもりなどさらさら無いのだから。

だから本来ならさっさとクランを立ち上げておさらばする所なのだが、小賢しい事に、彼ら彼女らは、キーノ達がカウンターに行けない様に道を塞いでいるのである。

しかも他の人達の迷惑にならない様に絶妙に連携を取り合い、キーノ、カナタ、ハルナ、キリアーネだけをブロックし続けているのだ。


((((仲悪いのに何でそんな連携が取れるんだよ(ですか)!!))))


 キーノがそろそろ我慢の限界で、アーツを使おうかと思い始めた時だった。


―――ズンッ!!


ズベシャッ!!


「「「「「「「「「っっっっっっ??!!!」」」」」」」」」


 突然強大な圧力(プレッシャー)を感じたかと思うと、先程まで言い争いをしていた者達が全員床に叩き付けられる様に崩れ落ちたのだ。

床からはミチミチと嫌な音が聴こえて来る。

どうやら実際に何かの魔法なりスキルなりで押さえ付けられているようだ。


「貴方方?利用者の迷惑になる行為は止めて頂けますか?」


 20名近くが床に這いつくばる中に現れたのは、竜人(ドラゴニュート)らしき女性で、見た目は二十代半ばくらいの美人だ。

顔は人間と変わらない造りで、こめかみの上から後頭部に向かって、波打った形の立派な角が2本生えている。

髪は根本が深紅で、毛先にいくほどオレンジになっており、角は透き通っていてルビーよりも深い朱色をしている。

瞳は琥珀色で、目はパッチリと大きく、垂れ気味の細い眉と合わさり、何処かの令嬢と言われても納得出来る。

身長は180㎝越えで、スラリと長い脚にメリハリのあるダイナマイトボディはスーパーモデルでも裸足で逃げ出しそうな圧倒的色気を醸し出していた。

見た感じはFカップ位だろうか?

服装は黒いワンピース・ドレスで、ノースリーブで装飾の少ないシンプルなデザインだ。

靴は黒のハイヒールで、まるでこれからパーティーにでも行くのかと思ってしまう程にお洒落に着こなしている。


「凄いですねぇ~~……」


「うん…凄いね……」


「とんでも無いレベルの美人だな……」


「いや…ホントに凄いな……何あれ……」


 突然現れた美女に圧倒される四人。

尤もキーノだけ容姿以外に驚いているのだけれど……


「さて、それでは何があってこんな騒ぎを起こしたのか聞かせて頂きますね?あ、自己紹介が遅れましたが、ワタクシは此処、ミステス王国ネスト支部のギルドマスターで、「ターラマヨ・ベル・フレア」と申します。以後お見知りお気を。」


 そう言ってニッコリ笑うターラマヨ。

その笑顔は一瞬で男性陣の心を鷲掴みして来る破壊力があったが、何人かの異邦人はその名前のインパクトの方が勝って何とも言えない気分になるのだった。


「さ、先ずは話し合いましょう?」


 こうして、今後この街の名物となる行事、その原型がこの話し合いにより生まれる事となるのだった。

キーノ達は大人気なようです

まあ、実際は仲間に引き入れれば色々安心出来るからって理由なんですがね


平成と共に生きて来ただけに、新元号になると思うと感慨深いです


良いなと思えたら評価、感想の方よろしくお願いいたします

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