閑話 月と兎と狼2
ハルナ視点での話になります。
「わふぅ~~!待っててね?ムンクリちゃん♪」
私、ハルナは何時かの丘に向けて、夜の林を走ってる途中です。
今日谷から街へと戻って来たんだけど、次の街に行く為に此方で3日、リアルで2日掛けて準備する事になったの!
で、今私は今日が満月だって聞いて、ムンクリちゃんに会うために走ってる所なんです!
「お友達になれるといいなぁ~~♪」
ムンクリちゃんに会いに行くのはこれで5回目。
前回は掌の上でご飯を食べてくれたの!
だから今回はもしかしたらテイム迄いけるかも!!
わふぅっ!!
俄然楽しみになってきた~~!!
「わふぅっ!丘だ~~♪やっぱり、満月の日は綺麗だな~~」
満月の日は丘に自生してる万月草が花を咲かせて淡くキラキラ輝くの!
その光景がスッゴクスッゴク幻想的で、綺麗なんだ~~♪
出来れば大好きなカナタさんと二人で見詰めてロマンチックな夜を過ごしたい気持ちも有るけど―――
「カナタさんとアーネちゃんはきっとムンクリちゃんを狩るのに夢中になるだろうなぁ……もしくはあの時の綺麗な狼とか……」
ピンポン!
※正解、今現在他の三人は月角狼狩りの真っ最中である。
「わふっ!?今、何か聞こえた様な…気のせいですかね?まっ、いっか。それよりもムンクリちゃんは?あ、居た!」
私から50m程前方の万月草の群生地で、ムンクリちゃんは私の方を向いて待っててくれてました!
はぅ~~!
なんて可愛いんでしょう!!
お持ち帰りしたいよ~~!!
「でも私は学習したよ!無理矢理は駄目っ!!って事でムンクリちゃーーん!あっそぼーー!!」
私は逸る気持ちを抑えて、ムンクリちゃんが驚かない程度の速さで近付いて行ったの。
ムンクリちゃんも慣れたもので、可愛いお鼻をピスピス鳴らしながら私を待っててくれて、すっっっごく!!嬉しい!!!
そんな気持ちでムンクリちゃんの側まで来ると、ムンクリちゃんは―――
ピョンッ
―――って私の肩に跳び移って来て、自分の顔を私の頬にスリスリしてくれたの!
毛足の短い野生生物とは思えない程サラサラフワフワの白い毛が、頬を擦る度に擽ったさと心地好さを伝えて来て、凄く幸せな気分!
「わふぅ~~♪もーくすぐったいよ~~♪」
私はお返しにムンクリちゃんを抱っこしてお腹をモフモフしてあげたの。
モフモフ!
モフモフモフモフモフモフ!!
「キュッ!キュキュ~~♪」
ムンクリちゃんがくすぐったそうに鳴き声を上げるけど、そんな事は知りません!
魅力的過ぎるこの腹毛が悪いんです!!
ハアハアハアハア……
何て心地良い肌触りなんですか!!
「罪な生き物よの~~?」
モフモフモフモフ!
モフモフモフモフモッフモフ!!
「キュッキュッ!キュキュ!!」
今度はムンクリちゃんがお返しとばかりに私の手を前足で掴んで指を舐めて来ました。
テチテチ……
テチテチテチテチテチ……
「わっふ、何この可愛い生き物……」
私は吹き出しそうな鼻血を我慢するので精一杯になっちゃった。
いやだってさ?
一生懸命抱き着きながら短い舌で指を舐めて来る小動物の姿って反則的に可愛くない?
もう動画投稿もんだと思うのです!!
「そしてムンクリちゃんをスターアニマルならぬスターモンスターに!なーんて……」
エヘヘヘへっ!
私はニヤニヤを抑えられず照れ隠しの為にムンクリちゃんを抱き締めて丘の上でゴロゴロ転がったの。
ただ抱き締め方をちょっと間違えてムンクリちゃんの角が喉に刺さる所だったけど……
危なかった……
そんな風に暫く戯れていた時、突然あの日見た狼が私達の前に現れたんだ。
距離はだいたい70mかな?
その瞳は、真っ直ぐムンクリちゃんに向けられてて、私は直ぐにムンクリちゃんを草むらに隠して腰の双剣を引き抜いた。
「わふぅ♪今の私なら、貴方なんて楽勝なんだから!!」
前はあんなに怖かったこの狼も、今は雑魚にしか感じない。
それだけ、私が強くなったって事だよね?
「ふふふ!さぁ~~覚悟して―――」
「殺ったああああああぁぁぁ!!!“箱庭”収納!!」
キャインッ!!!?
キャウ―――
「―――え?」
私が狼に飛び掛かろうとした瞬間だった。
誰かがいきなり現れて、仕舞っちゃお○じさんの如く狼を何処かにやっちゃった……
私は突然の事過ぎて何が起きたのか暫く解らなかったの。
でも、少しして状況が飲み込めると、目の前で何が行われたのかが解って来て、私は青ざめたんだ。
「し、師匠?まさか、アーネちゃん達も―――」
「居るよ……?ハルナちゃん……」
「ああ、居るぜ?ハルナちゃん。」
「ぴゃっ??!い、いいいいいつの間に居たんですか!?」
全然気付け無かったんだけど、カナタさんもアーネちゃんも私の直ぐ隣に来てたの。
そして、私は後ろに飛びすさり、双剣を構える。
「来ちゃダメーー!!」
私は涙目になりながら、ムンクリちゃんを後ろに庇い、皆に向かって剣を向けたの。
「何にもいないの!!何にもいないの!!!」
そう叫んだ時、ムンクリちゃんが私の足の間から顔を出したんだ。
だから私は慌ててムンクリちゃんを草むらに押し返したの。
「出てきちゃダメ!」
「やっぱり、ムンクリに会いに来てたんだな。」
「そうだな。」
「ハルナちゃん……」
「お願い、殺さないで!!お願い……!」
私は必死にお願いしたんだ。
この子は悪い子じゃない!!
殺さないで!!
って。
けど、皆の手が私に伸びて来て、私は怖くなってムンクリちゃんを抱き締めながら目を瞑ったの。
そしたら―――
ポン……
「ごめんね、ハルナ……別に怖がらせる気は無かったんだ。」
ナデナデ
「ハルナちゃんがムンクリと仲良くしたがってたのは、実は結構前から知ってたんだぜ?」
ギュッ
「だから、もう隠さなくて良いんだよ……?皆、その子の事を狙ったりしないから……」
「ふぇ…?ほ、んと……?」
「うん、本当。」
「ホントに本当?」
「ああ、間違いなく本当だ。」
「ホントのホントに本当?」
「もう、ホントのホントに本当、だよ……?」
皆のその言葉に、私はさっきまでの緊張が解けて、泣き出しちゃった。
「ふぇ、え……うぇえええええ……!ふ、うぅ!よがっだあ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"!!ほんどによがっだあ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"!!!」
私はそのまま5分位泣いちゃって、皆はそんな私の事を、「仕方ないなあ」って感じで見てたんだぁ。
「ひっく…ひっく…わふぅ……さっきは、ごめんなさい……」
「良いよ。基本カナタとキリアーネさんが経験値ゾンビなのが悪いんだし。」
「「うぐっ!?」」
師匠の言葉が胸に刺さったのか二人は胸を押さえて蹲っちゃった。
で、そんな二人を苦笑いしながら見てた時だった。
ムンクリちゃんが私の前に出て来たの。
そしたら突然ムンクリちゃんを中心に紫色の光を放つ魔方陣が広がって―――
パチィッ!!
「わふっ!?」
―――私の右手に小さい衝撃が走ったんだ。
そしたら直ぐに―――
ピコンッ!
―――って何時もの音がしてメッセージが開いたの。
『月晶兎が従魔契約を希望しています。契約に応じますか?Yes/No』
「ムンクリちゃん……」
そのメッセージを見て、余りの嬉しさに私、また泣いちゃった。
それでね、泣きながら―――
「うん、これから宜しくね?ムクちゃん!!」
「キュッ!」
―――私はムクちゃんを抱き締めたんだ。
後になって気付いたんだけど、私のサブ職業に「従魔士(仮)」ってのが追加されて、スキルに「従魔術」スキルが追加されてたの。
だから次の日に協会でサブ職業を正式に「従魔士」に変えたのはちょっとした余談だね。
兎にも角にも、こうして私は念願だったムンクリ―――ムクちゃんと友達になる事が出来たのでした!
チャンチャン!
やったーー♪
遂に、マスコットがやって来ました
これからどんな活躍をしてくれるのか、楽しみです!
良いなと思えたら評価、感想の方よろしくお願いいたします




