皇具と種
今回は何時もより早く書けました!
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手に出来たからと言って使えるとは限らない。
「今、伝説級って言いました?」
やっと顔を上げたかと思えば、キーノから出された第一声がそれだった。
その顔は、訝しさと期待がない交ぜになった様な複雑な表情を浮かべている。
見れば他の三人も似たような表情をしていた。
しかし、それも宜なるかな……
この世界における伝説級とは正にそのまま、伝説に出て来る存在なのだ。
その上所か、HRですら通常生きている間は御目に掛かる事は無い。
それだけ貴重なのである。
実の所技能喰らいから得た神話級のアイテムを手にしてどうすれば良いか困っている位なのだ。
「そんな所に伝説級とかぶっ込まれてもどう扱ったらいいかと悩むんですが……」
(けど、純粋に欲しいか欲しく無いかで言えば欲しい……!!)
AWO内の住人であるオルンにもSランク冒険者は居る。
居る、が!
その九割が使っている武具は、高くてもHRのSレア程度である。
もし伝説級など手に入ったら、国を興せても不思議は無い。
それだけ破格だからこそ、欲しい!
しかし、同時に扱いにも困ってしまう。
「暗殺者とか、来ないですよね……?」
「バレなきゃ良いとは言え、不安は拭えねえよな……」
「でも、伝説級は欲しいです……!」
激しい葛藤が四人の中で巻き起こる。
そして、四人は気付かない。
先程迄、暗く落ち込んでいた空気が、ものの見事に吹き飛ばされている事に。
そしてその様子を見たクエイストンが微笑んでいた事に。
―――5分後―――
「取り敢えず何が有るのか、視るだけ視てみる事になりました……」
少し疲れた様な表情になりながら、四人が出したのはそんな結論だった。
実際、どんな物が有るか判らなければ、判断が付け辛いのは確かである。
「オッケー。んじゃ、此れが君らに渡せる武具だ!」
その言葉と共に、クエイストンの前に光が集まり、4つのアイテムを形造っていく。
そして、次第に光が弱くなり、それらはハッキリとした形を持って四人の前に姿を現した。
「これ、は……」
「また、とんでもねえな……」
「わふぅ…キレーー……」
「美しいです……」
光が治まった後、其処に現れたのは、4つの美しい武具達。
それらを、クエイストンの生み出した光源の灯りが映し出す。
ただ真っ直ぐなだけのシンプルな形状で、琥珀に星を散りばめた様な色と輝きを持ち、磨かれた大理石よりも滑らかで使い込まれた漆器の様に肌馴染みの良い優しい手触りの短杖。
赤地に黒と金の装飾が施され、金の雲の間を中華や和風系の黒龍が夕焼けに向かって飛んでいる様に見える蒔絵鞘に、深い黒色の金属で、装飾の無いシンプルなデザインだが、絢爛な鞘と不思議とマッチした鍔と、茶色い鮫皮の様な物と、マギシルク以上に滑らかな黒糸の紐が巻かれた柄を持つ太刀。
どちらも茶色味掛かったグリップで、透き通るエメラルドグリーンの刃とナックルガードの付いたトレンチナイフと、透き通るアメジストパープルの刃とナックルガードが付いたサバイバルナイフがセットになった双剣。
血の様な鮮やかな朱色でありながら、人の目を引く不思議な魅力を放ち、西洋甲冑をベースに武者鎧を組み合わせたデザインのシンプルな造りのガントレット。
その何れもが、今の装備等足下にも及ばない性能を持っている事をひしひしと伝えて来る。
「「「「…………………………………………………………」」」」
((((欲しい!!!))))
四人の心は、1つだった。
最早、それ以外の答えなど出て来ない。
「ふふふ!答えは決まったみたいだねーー?それらは「皇具」と呼ばれる武具だ。そして皇具の名を冠する事が出来る武具やアイテムは、伝説級の中でもレア度Bを超える一握りの物だけなんだぜ?因みに皇具の上は「聖具」、その上は「神具」、最後が「零具」ってなってる。」
この名称の由来が何かは、実の所世界神のバルナムでさえ知らない。
これらの名称は武具やアイテムが誕生した瞬間に世界から与えられるモノだからだ。
「だったら世界神なら分かるだろ?」
と言いたくなる気持ちは分かるが、バルナムは世界の管理運営者なだけで、世界その物である「バルナム」とは最早別物なのである。
故に理由は未だに不明だ。
と、少し脱線してしまったが、四人はそれぞれ自分の得物となる武具を手に取って行く。
「「「「おおっ!……………って、レベル足りねえ(ないです~~)(ません)……!!」」」」
各武具の性能は以下の通りである。
『皇具 地龍の杖
状態 “完全”
等級 “伝説級” レア度 “A”
属性 “地”
必要基礎レベル “150”
性能 MP+2100 DEX+1250 INT+3800
特性 「自己再生」「地属性強化」「魔力浸透」
「全ステータス30%上昇」
武器アーツ 「龍脈接続」「アースバインド」 』
『龍脈の影響を受けた地龍の天角から造られた杖。魔力との親和性が高く、龍脈から魔力を吸い上げ、所有者に譲渡出来る能力を持つ。』
『皇具 夕闇ノ龍牙刀
状態 “完全”
等級 “伝説級” レア度 “A”
属性 “地” “炎”
必要基礎レベル “150”
性能 HP+1300 MP+750 STR+2600 VIT+1400 DEX+800
特性 「自己再生」「地属性強化」「炎属性強化」
「ダメージ量30%上昇」
武器アーツ 「地裂斬」「ヒートスラッシュ」 』
『かつて存在した黄昏龍の牙と骨と革により造られた太刀。黄昏龍は二属性持ちだった為、この太刀も2つの属性を持っている。』
『皇具 テンペスト・エッジ&ソウル・ナイフ
状態 “完全”
等級 “伝説級” レア度 “S”
属性 “地” “嵐” “魂”
必要基礎レベル “170”
性能 MP+2400 STR+1300 AGI+2500 DEX+900 INT+1500
特性 「自己再生」「地属性強化」「嵐属性強化」
「魂属性強化」「全ステータス20%上昇」
武器アーツ 「デザートハリケーン・ダンス」 』
『嵐精石、ソウルクォーツ、アースメタルを使い造られた双剣。これにより3つの属性を得た。3つの属性を遺憾無く発揮して繰り出される必殺技「デザートハリケーン・ダンス」は強烈。』
『皇具 血石の手甲
状態 “完全”
等級 “伝説級” レア度 “A”
属性 “地”
必要基礎レベル “150”
性能 HP+1300 MP+1750 STR+1500 VIT+2500
特性 「自己再生」「地属性強化」「血液吸収」
「ダメージ量20%上昇」「成長」
武器アーツ 「ブラッド・ブレッド」「アースクエイク」 』
『血石と言う血を吸収する性質を持った鉱物により造られた手甲。その輝きは怪しい魅力を持ち、敵の血を吸わせる程に成長する。(呪われてはいない。)』
「ところでよ、この「地」属性って何?あ、いや、土属性の上位だってのは判るぞ?ただ、クエイストン…様は土石神で、扱えるのは土迄じゃ無いのか?」
「ああ、それは確かにそうだね。どう言う事なんですか?」
武具の性能チェックをしていたカナタとキーノからの素朴な疑問。
それに対するクエイストンからの答えは何とも簡潔なものだった。
「どう言うもこう言うも、伝説級になると上位属性しか無いんだよ……そして下位神が贈れるのは伝説級迄。つまり下位属性を司る神でも上位属性持ちの武具を贈れるって事だ!」
「ほぇ~~何と言うか、良く解らない法則ですね?」
「まあ、こちらとしては助かるので良いんですけどね……」
「それにしても、流石に伝説級と言うだけあって、凄まじい性能だね。」
「これ装備してたらフルードなんてサクッと殺れてたな。」
「あの禿げも師匠だけでいけてましたね~~」
「そうだね……」
レベル的に装備出来ず暫くはストレージの肥やしになる事間違い無しの武具達を見ながら、その性能に舌を巻く四人。
その直ぐ近くでクエイストンは―――
(本来なら神話級のモンスター相手には、最低でもそれだけの武具が要るんだよねーー…奴らはダンマス以外の分体は数が厄介なだけで弱いけど、そのダンマスも通常なら今回の5倍位のステータスだしね。まだ弱ってる時に片付けられてホントに良かったよ。まあ、緩急自在の事象改変は攻撃じゃないから奴らのアビリティじゃ防げないんだけどな!!つまりどの道奴らの負けだった可能性が高いって事だな!)
―――と、一人でうんうん頷いているのだった。
〇〇〇〇
数分して、武具を手に入れた興奮が治まった頃、キーノはふとあることを思いだし、ポケットに仕舞っていた物達を取り出しクエイストンに差し出す。
「これ、さっき言った技能喰らいのドロップなんですが……」
それは粉々に砕けた進化する宝玉、大地の種の欠片達だった。
「うっわ!?神話級アイテムってそれ!!?まさか種シリーズ持って来るとは思わなかったよ……いや~~マジスゲエじゃん!!種シリーズは進化する宝玉の中でも特別なんだぜ?皇具や聖具なんかよりよっぽどね!!」
差し出された欠片達を見てテンションを上げるクエイストン。
まるで珍しい玩具を見る子供の様に瞳を輝かせてはしゃいでいる。
「特別、ですか?」
「そうだよ?特別も特別!何せ、種シリーズはその名の通り、ソレを創る為に使われた世界の素なんだからね♪」
「「「「えっ!!?」」」」
「その大地の種は、この星の大地を形創る為に使われたものの残りだね。つまり、君らも俺っちも、今はその種の大本に乗ってるって事さ♪」
クエイストンから告げられた衝撃の事実に唖然とする四人。
その視線は掌の欠片→地面→クエイストン→欠片→…………と無限ループしてしまっている。
「はっはっはっは!気持ちは解るけど落ち着いて?ま、そんな訳だからさ?種シリーズはその全てが神話級なんだよ。ただまあ、その状態じゃ何かの触媒くらいにしか出来ないか?でも数は有るし、これなら直せるね。じゃ、ちょっとそのまま持っててね?」
そう言うや否や、クエイストンは右手を翳し欠片達に光を送る。
すると、欠片達は瞬く間に結合し、1つの塊へと戻ったのだった。
その姿は美しい楕円形で、琥珀の様な色合いで有りながら、その透明度はまるで磨き抜かれたクリスタルの様だ。
手触りは摩擦を感じ難い程ツルツルで、油断すると取り零しそうになる。
そして、微かに温かく、生物の様な脈動を感じる気がする。
尤も、それは気のせいかもしれない程微かな物なのだが……
『進化する宝玉 大地の種
状態 “完全”
等級 “神話級” レア度 “A”
属性 “地”
性格 “頑固”
神話級の武具かアイテムにしか使用出来ない。』
「お、おお……!!」
「スゲエ……マジで直っちまった!!」
「って言うか、すっっごく綺麗ですね~~……」
「それに、とても神聖な気配を感じます……」
今日何度目になるか分からない感嘆の溜め息を漏らしながら大地の種に魅入る四人。
しかしそこでキーノはある事を思いだし、ストレージから昨日手に入れた七色の鉱物を大地の種とは反対側の手に取り出す。
「え?何ソレ!!!?俺っちそんな進化する宝玉知らないんだけど!!しかも、種シリーズ?なのに等級ノーマル!?レア度はF?はっ?!どうなってんの???」
それを見て突然取り乱し始めるクエイストン。
だが、キーノ達がそれに反応する前に、事態は急転する。
ムニョン
パクッ!!
「いっ!?た―――」
「―――食べたっ!!?」
「わふぅっ!!た、大変です~~!!」
「せっかくの神話級が……!!」
「これマジでどうなってんの~~!!!?」
突然七色の鉱物が肥大化して口の様な部分が出来たかと思ったら、次の瞬間には大地の種を食べてしまったのだ。
それにより場は更に混乱し、混沌としていく。
結局、混乱が治まったのはそこから更に5分後の事だった。
大地の種、消失!
あ、属性付け忘れてたので、前回の話を大地の種のとこだけちょっと修正しました。
次回は七色の鉱物の正体と街への帰還の予定です
良いなと思えたら評価、感想の方よろしくお願いいたします




