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ズィロー砦の崩壊(前編)

すみません!

遅くなりました!


少々グロい表現がありますので閲覧の際はご注意下さい。


〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇


大切な者を守る気持ちさえ、悪意は罠に使う……

―――ズィロー砦―――


「平和っすね~~」


 キーノ達四人が砦に向かって走っている頃、問題のズィロー砦では、ミルアが武器の手入れを続けていた。

ベルニスとリーリエの二名は未だに寝ている。

まあほんの一、二時間前に寝たばかりなのだから寝ていても不思議は無いが、騎士としての仕事は良いのかと思ってしまう。

思ってしまうが、実の所役割は完全分担制なので洗濯が終わった薔薇の小隊は洗濯物が乾くまで暇なので全然問題は無いのである。

それと言うのもズィロー砦には常に約二百人程が常駐している為、人が余り気味なせいなのだが、此処は関所や谷の魔物を防ぐ前線基地を兼ねた重要拠点であり、疎かにして良い場所では無い為国も人を減らすに減らせないのが現状である。


「にしても、何か妙な音がさっきから聴こえるような……」


「ZZZZZZ…ん…あん……!だ、ダメだ…こんな、とこじゃ……恥ずか、しい……!ん!あ…ZZZZZZZZ……」


「うへ、うへへ……!ZZZ…大丈夫ですよ~~?お姉さんに、ZZZ……全部、ZZZ…任せて……?ハァハァハァ……ZZZZZZZ……」


「気のせいすっね……」


 ミルアは何も聞かなかった事にした。

ベッドからギシギシ何て音はしていない。

していない!!


「さてと、これで装備の点検整備は終わりっと!洗濯物は後一時間位っすか?今日は晴れてるし、あんまり急がなくても良さそうだしーー…う~~ん…取り敢えず隊長と先輩を起こすっす。」


 そう言って立ち上がると、ミルアは未だにだらしない顔でハァハァしながら寝ているベルニスとリーリエの元へ行く。

そして徐に右足を後ろに振り上げ―――


ガンッ!!


「「っ!!!!?」」


ビクッ!


―――と、突然の事に驚き跳び起きるベルニスとリーリエ。

その後キョロキョロと辺りを見回し何かを探し始める。


「あれ?野性味が在りながら紳士的な面を持ち合わせ、それでいて二人になれば私を獣の様に求めるイケメン細マッチョな剣士君は?赤い髪が特徴的な素敵な少年は何処に?」


「も~~何ですか~~?って言うか私の金髪碧眼美少年は何処です?中性的で一見すると女の子みたいなあの可愛い男の子魔術師は何処行っちゃったんですか~~?」


「二人とも……うっ…まさか、そこまでだったなんて……!!」


 二人の言葉に、ミルアは口を押さえて崩れ落ちる。

どっかで見た事がある様な特徴が聞こえた気がするが気のせいだろう。

起こした事を早速後悔するミルアだが、彼女は寝惚ける男日照りな上司達の目を覚ます為に大声で話し掛ける。


「そろそろ起きて下さいっすーー!!何時まで妄想に浸ってるっすかーー!?」


 辺りに響き渡りそうな大音量でのモーニングコールに、ベルニスとリーリエは頭を抱える様に耳を塞ぐ。

良く見ればプルプルと小刻みに震えている。

余程五月蝿かったらしい。


「ちがうもん…妄想じゃないもん……」

「いるのー…ちゃんといるのーー!」


 ……………………………………………………………………………………………………単なる現実逃避だった……!!

しかも若干幼児退行してるし……


「いい加減にして下さい!それに何か砦の中が妙なんすよ……何も無いなら良いんすけど―――」


「うわあああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁ!!!!?」

「きゃあああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」


 ミルアの言葉を遮る様に突然響いて来た男女の悲鳴。


バッ!!


 と三人は近くに置いていた自分の得物を手に取り悲鳴のした方へと駆けて行く。

勿論直ぐに装着出来る防具を着けてからだが。


〇〇〇〇


「どうした!?何が―――」


「隊長!どうし―――何これ!?」


「蟻、のモンスターっすか……?」


 三人が辿り着いたのは自室から二部屋程離れた道具置場となっている倉庫だ。

普段は使う人が少ない為あまり人が来ない場所なのだが、其処には今、着衣の乱れた男女が抱き合いながらモンスター達と距離を取ろうと壁際へ移動している。

ナニをしていたかは定かでは無いが、その表情は恐怖に歪んでいた。

無理も無いだろう……

なんせ彼等の前には、体長60㎝程の巨大な黒蟻が、鋭さよりも獲物を捕獲する事を優先した、ペンチの様な太い顎をギチギチと鳴らしているのだから。

それも、一、二匹では無く、見えるだけで三十匹以上――隠れているのがいれば四十匹――はいるかも知れない。

それら全てが威嚇する様に――いや、寧ろ嗤っている様に、その顎を鳴らしている。


      ギチギチギチギチギチ!!


 挑発しているのか、モンスター達は一定の距離からは近付こうとせず、二人を取り囲んだまま、ただ顎を上に向けて鳴らし続ける。

モンスター達が何を考えているかは解らないが、端から見ればそれは馬鹿にしている様に見える。

囲まれている男性もそう思ったのだろう。

その顔は恐怖よりも怒りに染まり始めている。

そして遂に―――


「くそぉっ!虫けらが馬鹿にしやがって!!」


「バカっ!ダメですよっ!!」


 モンスターの嗤い声?に我慢出来なくなった男性が、近くに立て掛けて有った杭打ち用の大きめのハンマーを手に取り振りかぶる。

リーリエはそれが悪手であると悟り、止めようと声を掛けるが、時既に遅く、男性はハンマーを振り下ろしていた。


ドンッ!


 ハンマーが床を叩く音が響き渡る。

そう、男性の攻撃は空振りに終わった。

モンスター達は当たる寸前になって、ハンマーを素早く避けたのだ。

余裕を持って。

実の所、男性は攻撃を誘導されたのである。

そうこれは―――


「ハンマーを捨てろ!それは罠だ!!」


「へ?あっ!!!?」


ドサッ!


 ベルニスの声に反応した時、事態は既に手遅れになっていた。

ハンマーを振り下ろし不安定な体勢になっていた所を、モンスターにハンマーを引かれる事で男性は呆気なく転倒してしまったのだ。


「く、う…ひっ!?ひぃえあああああ!!!?やめろっ!!来るな来るな来るな来るな来るなああああああああぁぁぁぁぁぁぁ!!!いだっ!いだいいいいいいぃぃぃぃいい!!!!???やめで!がまないでええええああああぁぁぁぁ!!!!!」


ゴリ、ゴリゴリゴリ……

グチィ……


「いやああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁ!!!マルク!!やめて!!彼を殺さないで!!!」


 転んだ所で手足をその太い顎で素早く取り押さえられた男性――マルクは、そのままモンスター達に骨ごと咀嚼され始める。

しかし顎の形状がペンチの様になっているからか、皮膚は破れておらず、血は流れていない。

それでも、彼の体は端の方から革の水筒の様にぐにゃぐにゃに変えられ始めている。


「だれがあぁ…だず…だずげでぇ……!!いだい!!いだいよおぉ……!」


ゴリ、グチィ……


「ぎっ!?あ、があっ……!!」


ゴリゴリゴリゴリ……


「やめっ…!あ!ああああああああぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


ミチィ、ゴリゴリ……


「ひっ…ひぃあ…もう、ゆるし…ぐああああぁぁぁ……!!!?」


 複数のモンスターに体を端からグチャグチャにされていくマルク。

その姿は目を背けたく成る程痛々しい。

手足の指は既に肉と骨が液状になるまで磨り潰され、手袋に水を入れた様な状態になり、皮膚も赤いのか紫なのか黒いのかも分からない気色の悪い色に変わってしまっている。

そして、それは手足全体にまで及んで来ていた。

しかし、それだけの事をされながらも、彼は死ぬこと無く苦しみ続けている。

普通ならショック死ものであるにも関わらず、だ。


「マルク!マルク!ああああぁぁぁ!!隊長!!隊長!マルクを、マルクを助けて!!」


 自分もモンスターに囲まれながら、恋人のマルクを助けてくれと懇願する女性。

しかし、ベルニス達は動けずにいた。


「隊長……?リーリエ……?ミルア……?」


 何時までも動かない上司と同僚達に何をしているのかと疑念をぶつける様に呼び掛ける女性。

そんな女性の呼び掛けに、三人は沈痛な面持ちになり、やがてベルニスが口を開く。


「すまん、サーナ…ここまで群がられてしまうと、生きて救う事は難しい……」


「えっ……」


 マルクは今現在、その姿がほとんど見えなくなる位モンスターが群がっていた。

しかもモンスターは蟻特有の硬く丸い甲殻を有している為に、斬撃でダメージを与えるのは難しい。

その上ハンマー等でダメージを与えようにもマルクを救うなら縦振りでは無く、横振りでなくてはならない。

しかし、此処は倉庫なのだ。

当然陳列棚が有り、横には振り難い上に、モンスターの体高も低く狙い難い。

それに、当然死角も有る為、そう言った場所への警戒も必要だ。


「つまり、マルクを救う為に我々が全滅する危険は犯せないと言う事だ。」


「そ、んな……」


 崩れ落ちる女性――サーナ。

だが彼女も理屈では分かっているのだ。

こういった現場では二次災害が一番危険なのだと。

そして、この状況では、マルクは……それどころか自分さえも助からないかもしれない事を、彼女は理解している。

だが―――


「なら、ならアタシがマルクを!!「旋風脚」!でやあああああっ!!!」


「サーナさん!駄目っす!!」


バシンッ!


 止める間も無く繰り出された「格闘術」スキルの中級アーツである蹴り技「旋風脚」が、この未知の蟻型モンスターに綺麗に決まる。

しかし、その攻撃はその身体を僅かに揺らしただけで、殆どダメージらしいダメージを与えられた様子が無い。


「な、なんで……!?って!きゃあっ!?」


 予想外の結果に対する困惑、その一瞬の隙を付かれ、サーナもまたモンスター達に捕まり、手足を顎で挟まれ拘束されてしまう。

だが、モンスター達の動きは先程のマルクとは違っていた。


       ピク、ピクピクッ!


     ギチギチギチギチギチ!!!


 触角が小刻みに動いたかと思うと、喜びを現す様に激しく顎を鳴らし始めるモンスター達。

その姿は異様と言うしか無い。


「くそっ!今度は何をする気だ!!」


 狭い室内で有る為に上手く手を出せない中、更に仲間がモンスター達に捕まると言う事態に加え、モンスター達がまた何かを始めようとしている事に苛立ちを隠せないベルニス。

しかしモンスター達はそんなベルニスの反応さえ嘲笑う様に、捕らえたサーナの両手足を引っ張り体を大の字に広げ、マルクを股の間が見える位置に移動させ、正面を観させる。


          ギチギチギチ!!


 その光景に満足気な音を上げると、二匹のモンスターがサーナの小隊の制服である半ズボンの左右に噛み付く。

そして―――


ビリィィイイッ!!!


―――一気にズボンを引き裂き、その下に隠された白のレースがあしらわれた気合いの入った下着を露にしてしまう。

更に、一際大きな個体が、卵菅と思わしきピンク色の管状の器官を腹の先から出し、ゆっっくりと、サーナへと近付いて行く。


「ま、さか……」


「いや…いやぁ……!!いやああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


「やめろおおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉ!!!」


 モンスターがナニをする気か察したマルクは顔を青ざめ、サーナは泣き叫びながら必死で脱け出そうとし、ベルニスは他の二人が止める前に倉庫内へと剣を持って突っ込んでいた。

そして、当然それはモンスター達の…技能喰らい(スキルイーター)達の、罠だった。


ビタンッ!!


カラカラカラッ……


「つ~~!?いったい、何が―――なっ!?くそっ!離せっ!!!」


 出入口の直ぐ前、其処には10㎝程の段差が掘られていた。

しかし、ベルニス達は奥にばかり気を取られその段差を見逃してしまったのだ。

そして、怒りに任せて前傾姿勢で突っ込んだ為に、その段差に足を取られ呆気なく転倒し、捕まってしまったのだ。


「ぐっ、う……!!こうなっては、やむを得まい……リーリエ!ミルア!お前達は他の隊員や砦に来ているギルド職員にこの事を報せて来い!!」


「そんな!隊長達を見捨てられません!!」


「そうっす!何とかして助けるっす!」


「だったら尚更救援を呼びに行け!このままではお前達まで捕まるぞ!!こいつらは狡猾だ……!もしかしたら他の所にも――っく!?やめろっ!!」


「「隊長!!」」


 リーリエとミルアを救援に行かせようと語り掛けている途中で、技能喰らい(スキルイーター)達はサーナと同じ事をベルニスにし始める。

ベルニスも抵抗するが、まるで歯が立たず、されるがままになってしまう。


「くそ…くそっくそおおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉ!!!」


 もうすぐ、卵菅がベルニスとサーナの秘部から胎内へと入ろうかと言う時だった。


―――空間圧縮スペースコンプレッサー!!


ギュオン!!


コン、コン、コロコロコロ……


 突如、呪文が聞こえたかと思ったら、十匹程の技能喰らい(スキルイーター)が球状に変化し、床に転がったのだ。

更に次の瞬間―――


スババババッ!!


パラパラパラパラ……!


「―――しっ!何とか間に合ったか?」


「そうだね。危ない所だったけどなんとか間に合ったみたい。」


「全く!ホントに許せないモンスターですね!!」


「そうだね……本当に、許せない……!!」


―――街道を駆け抜けて来たキーノ達が、壁を斬り裂いて救援に駆け付けて来たのだった。

エロが有ると思いましたか?

残念!

なるだけ健全にいきたいのでそう簡単には微エロ以上は出しませんよ


良いなと思えたら評価、感想の方よろしくお願いいたします

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