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外道とテンプレとそして……

遅くなりましたが更新です。

もう少し頻度を上げられる様に頑張ります!


〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇


知ることは生きる事である。

「いやー食った食った!腹一杯だぜ。」


「いや食い過ぎでしょ…?串焼きだけで何本食ってるんだよ……」


「あの鯛焼きっぽいお菓子美味しかったねーー♪」


「そうだね……!私はあのりんご飴みたいなのが好きかなーー……」


「「プリポン焼き」と「アポル飴」ですね。沢山買ってストレージにしまってるから、小腹が空いた時に食べよう?」


「何か、俺の時と対応ちがくね?」


「は?何言ってるの?もー当たり前な事言うのやめてよね。」


「えーー……」


「ぷっ!ふ、ふふふ……!」

「ぷぷぷ!」

「ふ、ふふ…!あは、はははは!!冗談だよ。だからそんな顔しないでよ。串焼きもちゃんと買ってあるから、また後で食べよう?」


「なんだよもー…趣味わりーことすんなよな!!」


「悪かったって、な?」


「はあ…ちゃんと俺にも渡せよ?」


「勿論!」


「ふ、ふふふ……!!気軽に冗談を言い合える男の子同士の友情……!これは良い!!最高です!!」


「わふぅ…アーネちゃん……」


 宝石詰め放題の露店から暫くの間、キーノ達四人はそんな風に雑談を交わしながら初縁日を楽しんでいた。

基本は食べ歩きで、時たまアクセサリーや武器を扱う店を覗く感じだ。


 流石に異世界なだけ有り、現実には無い食材で作られた料理が沢山有り、四人は未知の味を心行くまで楽しんでいた。

特にカナタはウィンターダックと言う冬限定の渡り鳥の串焼きが気に入ったらしい。

ダックと名が付くだけに北京ダックの様にパリパリに焼かれた皮が特に旨い。

肉も一噛み毎に肉汁と旨味が溢れだし口の中一杯に広がり、程好く弾力の有る肉の食感と合わせてついつい噛み続けてしまう程だ。

ハルナはプリポンと言う河豚の様な丸みの有る魚を象った焼菓子で、中には白餡や色々なフルーツのジャムが入っている。

中には当たりと称してサクランボの様な果実の「チャリー」が入れらた物も有った。

大きさはベビーカステラを二回り大きくした感じだ。

キリアーネはアポルと言う姫リンゴを一回り大きくした様なフルーツで作ったフルーツ飴が気に入ったらしい。

アポルはそのままなら酸味が強くレモンより酸っぱいのだが、甘い物で包むとたちまち酸味が薄れ、甘味が増す不思議な果物で、食感は堅めのリンゴ、味は仄かに酸味の有る梨と言った感じである。

因みにどれもβテスターやその前のクローズドとかのテスター達が広めた料理だ。


「そういやキーノは何が一番旨かったんだ?」


「ん?僕?」


 先程まで合いの手ばかりで自分の感想を言わなかったキーノへと、カナタが話を振る。


「僕は今のとこ特には無いかな?どれも同じくらいって感じ。」


 しかしキーノは特に考える事も無くそう答えた。

別に強がりでも無いし、味に感動していない訳では無く、本当にどれも同じくらい美味しくて優劣を付けられないのだ。

まあ、一番の理由は―――


(いまいちツボに入んないってのも有るんだけどね~~)


―――と言う事だったりする。


「そっかぁ……もう他に旨そうなとこも無いし、腹も膨れたからギルドに行くか?」


「そうですねー…掘り出し物のアクセサリーとかももう無さそうですし、私はそれで良いですよ?」


 実はエルフの青年が営む露店で、「疾風のリング」と言うAGI上昇効果の有るアクセサリーを見付けて購入している。

因みに丁度4つ有ったので買い占めである。

他にも探したがろくな物が無かったので、正に掘り出し物と言えるだろう。

こう言う所でも能力を発揮する万物先生様々である。


「それじゃギルドで軽く依頼を受けましょう。」


「そうですね……!!」


 そして四人は初依頼を受けるべくギルドへと向かった。


〇〇〇〇


 ギルドはアップデート直後と言う事も有り何時もより賑わっていた。

だが、どうも依頼を受けに来た者達だけでは無いらしく、入口の所で立ち止まっている者もチラホラ見受けられる。

そして立ち止まっているのは全員異邦人(プレイヤー)の様だ。


「皆何見てるのかな?」


「さあ?もしかしたら元旦って事で正月らしく門松でも飾ってんじゃねえか?なーんて、流石にねえ―――」


「わふぅ!!立派な門松です!!!」


「――――マジで!!!?」


「本当、黒くて太くておっきいです……」


「アーネちゃん、言い方……」


 皆の視線の先、そこにはキリアーネの言う通り、黒く光沢の有る立派な竹の様な植物と、金色に輝く松の様な植物を使った大きな門松がギルドの入口に飾られていた。

高さ約2mは有るだろうその門松は、使われている材料こそ異様だが、それを抜きにすれば見事に日本の門松そのものだった。

まるで日本の職人が異世界の材料で作ったと言わんばかりの出来映えである。

その為、異邦人達がこぞってその門松で記念のスクリーンショットを撮っていたのだ。


「まあ、気持ちは分からなく無いけどね~せめて通行には気を配って欲しいよ。」


(にしても凄いなホント…誰が作ったんだろ?)


 とそこで思わず万物先生が発動し鑑定結果を知らせて来る。

そこに書かれていた結果は―――


『黒鉄竹と黄金松の門松 ギルドマスター「ウルナ・バスタ・ミリアール」が作った高級な門松。Hレア級の素材を惜し気もなく使った一級品。幼少の頃異邦人の父親(・・・・・・)に教え込まれてから毎年作り続けて早200年、その腕と品質は世界随一である。伝説級。レア度S。』


―――となっていた。

こんな結果を見ればキーノの反応は当然―――


「ぶーーーーっっ!!!?ぶほっ!!げほ!?げーほっげほげほ!!な、ななななな!?は?え?は!?え……?」


―――となり、何時もの様にフリーズしてしまう。


「カナタさーん。師匠がまーたフリーズしてますよ~~?」


「またか…今度は何を視たんだか……」


「キーノさん……!しっかりして下さい……!!」


ペチペチ!


「は!?あ、すみません…また固まってしまって……」


「いえ、もう慣れましたから……」


 今度は力加減を間違わなかった事に内心ほっとしつつ、キリアーネは笑顔で応える。


「それより早く依頼受けようぜ?皆Cランクになって初めての依頼だし、何時もよりやりごたえがあるのにしようぜ!」


「わふぅ!張り切っちゃいますよ~~!!」


「ははは、そうだね。先ず依頼が残ってれば良いけど。」


「常に有る訳じゃありませんからね……」


 そんな事を話ながら四人はギルドに入る。

すると中の人間の視線が一斉に四人へと向けられ、直ぐに逸らされる。

まあ、何時もの事だ。

何せキーノ達四人は既に危険物指定で、多くのプレイヤーから「関わるな危険」のタグを貼られているのだから。

それと言うのもPK仕掛けたり、騙くらかして利用しようとした馬鹿達や強引なナンパをしてきた奴らが居たせいで戦闘になり、慣れていないハルナやキリアーネの攻撃の余波で周辺にまで被害が出た為である。

なのでキーノ達に邪な気持ちで近付く奴は居なくなったが、とばっちりを怖れて一般の人達も余り近寄って来なくなってしまったのである。

しかし――今日は何時もと違っていた。


「あれ?何あの子達マジかわいーじゃん!!」


「ん?どこどこ!?うわっ!マジぱねーー!!何あの三人!!あんな可愛い娘居るとかすげえ!!」


「Oohベリーキュート!!見事な金髪に銀髪デース!ワタシ髪フェチなので興奮してマグナムがエレクチオンしそうデース!!」


「おいおいジョディ、直ぐに下ネタに走るなって何時も言ってるだろ?」


「そうだぞジョディ!先ずは話して仲良くなってからだ!!」


「Oh!スミマセーン!タツマもナルサも我慢してるのにワタシだけ言うのはダメデースよね。」


「ま、これから気をつけりゃいいさ。」


「そうだな!」


「ありがとゴザマース!!」


「「「ハッハッハッハッハッハッ!!!」」」


 キーノ達が依頼を受ける何時ものカウンター。

もうすっかり顔馴染みになってしまったユリナの前に、知らない男が三人立って居た。

パッと見、歳はキーノ達より少し上、大学生位だろうか?

二人は日本人っぽいので分かりやすいが、もう一人が黒人の様な色黒で、彫りの深い顔立ちで分かり辛い。

全員顔出しフルプレートで、片手剣の盾装備とバランスの悪いパーティーだ。

因みにタツマが一番背の低い青い鎧で、ナルサが二番目に背が低い黒鎧、最後のジョディが鈍色の鎧だ。


「よし!じゃあ早速あのかわいこちゃん達に突撃だ!!」

「ねー!そこの可愛いお嬢さん達ーー!」


 そう言ってキーノ達をナンパしに向かうタツマ一行。

それを見た周りの異邦人達は―――


『おい、馬鹿が三人死ににいったぞ?』


『あいつら今まで時間が合わなくて外道魔導師達に会わなかったから知らないんだろ……』


『俺、無知が罪になるって言葉、漸く理解出来たわ……あれって、こう言う事が起きない様にするための教訓なんだな……』


『それより逃げた方が良いわね。鮮血聖女と「天真爛漫(ハッピースマイル)」が暴れたらまたとばっちりが来るかも……』


『『『確かに!!』』』


―――と静かにギルドから退出し始めていた。

因みに天真爛漫(ハッピースマイル)とは最近ハルナに付けられた二つ名である。

理由は平時だろうと戦闘時だろうと何時も幸せそうな顔で笑っているからだとか。


〇〇〇〇


 ちょっと時は戻りタツマ達三人が馬鹿話をしている頃、キーノ達は依頼書を眺めていた。


「やっぱりCランクになったし、ネスト迄の護衛依頼受けちゃう?」


「それは魅力的ですけどーー…こっちの時間で2日だと、今日は厳しく無いですか?」


「だな。時間的には谷の調査が妥当か?」


「そうですね……そこが妥当だと思います……」


「ならそれにしよっか。って事でカナタ宜しくねーー」


「へいへいわーってるよ。そんじゃちょい待ってろよ?」


「「「はーーい。」」」


 キーノのパーティーは一応カナタがリーダーとなっているので、こういったパーティーでの受注はカナタが受付に依頼書を持って行く事になっている。

そしてそれが、今回の犠牲者を生む原因の1つになるのであった……


「ねー!そこの可愛いお嬢さん達ーー!」


 そこでカナタが受付に向かった所を見計らったかの様に、タツマ一行がキーノ達に声を掛ける。

本人達は爽やかな笑顔のつもりなのだろうが、下心が透けて見える下衆顔である。

勿論今までナンパが成功した事等一度も無い。

しかしそれでも1㎜も進歩しないのだから逆に凄いと言える。


「君達これからクエスト受けるの?だったら俺らと一緒に行こうよ!」


「見ての通り俺ら前衛だからさ!君らの事守ってあげるよ~~?」


「Wildデショ~~?」


「「おいおいジョディ、それじゃパクりだって!」」


「Ooh!コリャまた失礼シマーシタ!!」


「「「ハッハッハッハッハッハッ!!!」」」


(((何だろう、この痛い馬鹿達……)))


 滑っている事にすら気付かず笑い続ける三馬鹿に対し、キーノ達は白い目を向ける。

しかし三馬鹿はお構い無しに話し掛けて来る。


「ね?良いでしょ?君らも三人みたいだし、俺らと組めば丁度1パーティーになるしさ!」


「そうそう、女の子だけじゃ危ないって!!」


「一緒にイキましょーー!」


「「「お断りします。」」」


「そっか!それじゃあ早速パーティーしんせ…えっ!?」

「なんで!!?」

「ワタシ達のナニが、ダメなんデースか!!?」


「「「全部ですけど……?」」」


「「「グハッ!!!?」」」


 声を揃えて告げられた言葉に、三馬鹿は膝を着く。

どうやらかなり効いたようだ。


「そもそも、僕は男だし、連れがもう一人居るから僕ら四人パーティーなんだよね。」


「わふぅ!しかも下心丸出しの下衆顔に着いてく馬鹿なんていません!」


「と言うか、話が滑ってもお構い無しで、自分達の思い通りに事が運ぶと思い込む様な頭の不出来な人達は、例え下衆顔で無くてもお断りです……一緒に行動する事自体が自殺行為に等しいですから……そもそも周りを観てますか……?貴方達の行動が何を生むか理解してますか……?と言うか私達を知らないんですか……?きっと知らないんですよね…でないと話し掛けたりしませんもんね……そんな情弱な人と一緒とか、命が幾つ有っても足りないですよ……後、ちょっと臭うので離れて下さい……!」


「「「い、言い過ぎでしょ(デショウ)!!」」」


 三人の容赦無い口撃に三馬鹿は涙目である。

特にキリアーネの毒舌が堪えたようだ。


「だ、だいたい君らを知ってるかどうかなんて関係無いだろ!!それともそんな有名人だってのか!?」


「おまけに周りを観てるかとかなんだよ!周りなんて別に気にする必要…な……い……」


「Oh?誰も居まセーン……What?」


 そこで、三馬鹿はやっとギルド内で起きてる異常に気付く。

本当なら異邦人やオルンの冒険者で賑わうギルドホール。

そこには受付で作業をしている数人しか人が居ない。

しかし良く見れば、ギルドの入口や二階のエントランス、併設された酒場のテーブルの影から此方を観ている者達の姿が有る。


「えと、君達の名前は?」


 恐る恐るタツマがキーノ達に名前を訪ねる。


「「外道魔導師」キーノです。」


「「鮮血聖女」キリアーネです……」


「「天真爛漫」ハルナちゃんでーす!」


「な、ななななーー!?」


「ワタシ、用事思い出しマーシタ。」


「「待ってジョディ!!」」


 予想以上にヤバい名前が出た為に青ざめる三馬鹿。

ジョディに至っては二人を置いて出て行こうとしていた。

当然二人もそれに続いて小走りでその場を離れる。


「全く…取り敢えず――一辺自分達の行いをマトモになって振り返って観なよ?」


 そう言って、キーノは離れて行く三馬鹿の頭の上に視線を走らせる。

他の人間には虚空を見つめている様にしか見えないが、キーノは万物認識の力で、あらゆる物が見えている。

魔力とか時間、力の向きや視線の方向から広さまでありとあらゆる物が見えている。

そしてそれは相手の思考や果ては概念すらも視認可能なのである。

そう、例えば「頭のネジ」とかも―――


「お待たせ。何か絡まれてたみたいだけど、大丈夫だったか?」


 カナタが戻った時、そこにはもう三馬鹿の姿は無かった。

どうやら無事にこの場を離れられたらしい。

いや、アレを無事と言えるのか?

まあ、五体満足なら無事で良いか……


「おかえり。馬鹿がナンパして来たから丁寧に帰ってもらったよ。」


「成る程な…まあ、やり過ぎてる訳でも無いし別に良いか。」


「わふぅ♪そうですよ!気にせずクエストに行きましょう!!」


「ふふふ、腕が鳴ります……!」


「キリアーネさん、調査がメインですから戦闘は少な目で行きますからね?」


「ええ!?」


 と、キーノ達は雑談を交わしながらギルドを後にし、目的地へと向かう。

三馬鹿の事は既に頭の中から消えていた。


 何処かの路地裏、そこに三馬鹿の姿が有った。

三人とも息を切らし、憔悴している。

余程キーノ達が恐ろしかったようだ。


「くそっ!まさか外道魔導師一行だったなんて!!」


「でも、可愛かったなーー……」


「ソレには同感デースけど、命は惜しいデース!まあ、アノ髪は欲しかったデースね……」


「「ブレねえなジョディ……」」


「ソレ程でも~~」


「「誉めてない誉めてない。」」


「「「ハッハッハッハッハッハッ!!!」」」


 そんな会話を交わし肩を叩き合う三馬鹿。

切り替えが早いのかただ馬鹿なだけなのか、先程までの事など無かったかのようだ。


「よし!切り替えて別の女の子ナンパしようぜ!!」


「「おう!」」


 と、三馬鹿は拳を突き上げて意気揚々と大通りへと向かい始める。

しかしその瞬間、キーノが仕掛けた緩急自在の効果が発動した。


「「「ヌオオオオオオオオオ!!は、恥ずかしいいいいいいぃぃぃいいい(デース)!!!」」」


「何であんなので上手くいくと思ったんだ!?馬鹿か俺は!!」

「馬鹿だ俺達!!」

「Oh!ワタシなんてただのセクハラ野郎デース!!」


「「「いっそ殺して(クダサーイ)!!」」」


 突如猛烈な後悔と恥ずかしさに襲われ、その場で崩れ落ち地面に手を着く三馬鹿。

実はキーノが時間指定で三馬鹿の頭のネジを「きつく」する様にしていたのだ。

その為、三馬鹿は普段よりマトモになって、自分達の愚かさに悶死しそうになっているのである。


「「「ヌオオオオオオオオオ!!!」」」


 結局、緩急自在の効果が切れるまで、三馬鹿は身悶え続ける事になるのだった。

ついに、やっちまったんだぜ……


少しラストを書き換えました


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