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Another World Online

新年明けましておめでとうございます!

今年もよろしくお願いいたします!!

さて、新年最初の更新です。

いつもの倍はあります。

本当は去年の内に更新したかったんですが色々あって遅れてしまいました…

すみません…

まあ、取り敢えずそう言うのを忘れて楽しんでもらえたらと思います。

まあ、説明会なので微妙かもですが…


〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇


それは始まり告げる声。

―――アップデート終了15分前―――


 4月20日の午後7時。

この日、世界中のAnotherアナザー Worldワールド Onlineオンラインプレイヤーが、自宅のテレビ、パソコン、スマフォの前で、その瞬間を待っていた。


 そこは、まるで映画館の様な巨大なスクリーンが壁一面に広がる会場。

スクリーンのすぐ前は演壇になっており、壇上中央には1脚の教卓とマイクが準備されていた。

そしてその演壇から約2m程離れた所には、沢山の記者や特別視聴の観客が椅子に座って壇上を見上げている。


 そして遂に、そこへ一人の男性が現れた。

長身痩躯に端整な顔立ちの三十代前半の男性で、豊かな黒髪をオールバックにし、楕円形の銀縁眼鏡を掛け、黒いスーツに身を包んでいる。

いつもの様な怪しい嗤いは浮かべておらず、別人かと思う様な爽やかな笑顔を浮かべて登場したのは、この会社の社長、岩崎義文だ。


 義文は壇上に上がると、中央の教卓の前に立ち、マイクを手に取る。


『えーー会場にお集まりの皆様、画面の向こうでお待ちの皆様、今晩は。大変長らくお待たせいたしました。これより!株式会社Infinite(インフィニット) Network(ネットワーク) Solutions(ソリューションズ)社長である(わたくし)、岩崎義文より、大人気VRMMORPG Anotherアナザー Worldワールド Onlineオンラインの初アップデートを記念した、発表記者会見を開始いたします!!』


ワアアアアアアアァァァァァァ!!!!!


パシャパシャパシャ!!


 義文の発言の後に響き渡る歓声にカメラのシャッター音。

それが現すのは観客達の期待の高さだ。

今日この日まで、βテスター処か、クローズドβ、αテスターすらその全容を把握しきれず、毎日の様に更新される公式攻略サイトの情報も膨大なこのゲーム、その隠されたベールが剥がされようとしている事に、数十万人に膨れ上がったプレイヤー達が瞳を輝かせていた。


『さて、先ずは皆様に謝罪をさせて頂きたい。』


ザワッ


「それは、噂の時間加速についてですか?」


 再びの義文の発言にざわつく会場、その中で義文に質問を飛ばしたのは20代の男性記者だった。

義文はしっかりとその男性記者と目を合わせ、言葉を続ける。


『いいえ、違います。確かにプレイ時間が減る事に対して、申し訳ないとは思いますが、それはプレイヤーの皆様、牽いてはAWOと言うゲームそのものにとって必要な措置だった為に、已む無かった事です。』


「では、一体何に対する謝罪なのでしょうか……?」


 再びそう質問を飛ばした男性記者は、緊張しているのか額から冷や汗を流し、微かに震えていた。

しかし、義文を見据えるその眼には、確かな力強さが感じられる。

それだけ、この発表記者会見を重く見ていると言う事だろう。


『AWOは、製品として販売しておきながら、未だ正式仕様では有りませんでした。これは、その事に対する謝罪です。』


「なっ!!!?」

「そんな馬鹿な!!」

「アレでまだ正式仕様では無いだと!!!?」


 義文の発言、それはこの発表記者会見を視聴する者全てに衝撃を与えた。

そして義文は視線を先程の男性記者から外し、両手を広げて注目を集めると、抑揚を付けて話始める。


『先程申し上げた通り、AWOは未だに正式仕様では有りませんでした。言うなればβの後、Γ(ガンマ)テストと言った所でしょうか。この目的は、βで収集仕切れなかった情報を集め、AWOを仮想現実(ゲーム)から現実(リアル)に変える事に有ります。くっ、ふふふふ!!何を言っているんだとお思いでしょう?しかしこれは言葉通りなのですよ。AWOはもうじき電脳空間に浮かぶ異世界、「もう1つの世界(アナザーワールド)」へと変わります。Anotherアナザー Worldワールド Onlineオンラインとは、その世界へのアクセス権でしか無いのです。さて、ではこれを観て下さい!!』


オオオォォッ!!!


 義文が再度両手を広げた瞬間、背後の巨大なスクリーンに映し出されたのは広大な宇宙空間と、何処かの太陽系の様子だった。

それはまるで衛生からリアルタイムに映像が送られて来ているかの様に鮮明で美しく、何よりリアルさがある。

実際この映像を観ている者の六割は、初め地球を含む太陽系の映像かと思った程だ。


『これはAWO内の、いえ、正しくは「もう1つの世界(アナザーワールド)バルナム」の、皆様が遊んでいる「第二惑星ティルナ」を含んだ「バルテム太陽系」の様子です。そう、この映像から分かる様に、プレイヤーの皆様が遊んでいるのは、この世界のほんの一部の更に一部地域に過ぎません。何故なら、バルナムとは電脳空間に浮かぶ広大な宇宙そのものなのですから。因みに現在の広さは球形で直径9.461e+17、約百光年程となります。これは世界中にサーバーとして配置した100台の量子コンピューターを量子テレポートによるタイムラグ0の通信で繋げる事により実現する事が出来ました。くっ、ふふふふ!!素晴らしいでしょう?更にこのお陰で仮想空間内に地球サイズの演算領域を展開、それを自己学習型の管理AI「世界意思システム」に任せ、その補助として機能の最適化等を行う自己進化プログラム「ゲノムプログラム」を持たせる事で、このバルナムは1つの世界として成り立つ事が出来たのです。』


「ま、まさか今回のアップデートは―――」


 一人の記者がそこまで言った所で、義文は更に言葉を続ける。


『そう、世界として成り立つ為の最終調整です。とは言え、この世界は今後も進化し続けます。しかし今後はこの様な大規模な調整は必要無くなる。つまり今回のアップデートが最初で最後となる訳です。』


ザワッザワザワッ


 度肝を抜く義文の発言に再度騒がしくなる会場。

こんなゲームは前代未聞だ。

つまり、これはプレイヤーが本当(・・)の意味で異邦人になると言う事だ。

それはつまり―――


仮想現実(ゲーム)現実(リアル)になる……?」


 突拍子も無い事実を突き付けられた様に固まる報道陣。

それを見て義文は満足げに笑い、話を続けて行く。


『さて、私の言葉でかなり混乱させてしまった様ですが落ち着いて下さい。仮想現実を現実にするとは言いましたが、我々からすればこの世界は結局、現実の様な仮想現実でしか有りません。そこは流石に覆らない。』


 その言葉に明らかにほっとする報道陣と観客達。


『しかし!しかしです!この世界の住人達にとっては紛れも無い現実なのです!!そして、それが覆る事もまた、無い。この世界の住人――私は“オルン”と呼んでいます――にとって、この世界での生活は我々が現実で生活するのと大差がありません。勿論、魔法やモンスターの存在によって、その有り様は我々とは大きく違います。しかし彼らにとっても、人生は一度きりの替えの効かないものなのです。死んだからと言ってリポップなどしないのです。あの世界の生き物は、此方と同じで、人も動物も植物、モンスターでさえも基本的には繁殖によって増えます。故に狩り過ぎれば絶滅もする。まあ、例外も有りますがね?そしてこれ等が時間加速の倍率減少に繋がっているのです。』


「プレイヤーやゲームの為にと言っていましたが、どう繋がるのですか……?」


 恐る恐ると言った感じに投げ掛けられた質問。

義文は一拍置いてから再び話始める。


『先ず、何故ゲームの為になるのか?これは非常に簡単で、世界を維持し情報を処理する為のリソースを確保する為です。』


 それは酷く普通の内容だったが、誰もが納得出来るものだった。

なんせこれだけのスケールのゲームなのだ。

その演算能力が今までとは桁違いだとは言え、少しでもリソースを確保しておくのは大切な事だ。

しかし、そうなると何がプレイヤーの為になると言うのか?

視聴者は皆義文の次の言葉を待つ。


『次に、何故プレイヤーの為なのか、ですが……皆さん、先程私はこの世界は現実だと言いました。つまり中では人や動物、モンスター達が生活している訳です。我々の四倍の速さで。』


あっ!


 それは、誰が漏らした声だったのだろう……

きっとその声を発した彼、彼女は義文の言葉で気付いてしまったのだ。

そう―――


『プレイヤーの方なら既に気付いているでしょうが、この世界は常に動いている(・・・・・)のです。今迄でのゲームの様にクエストを受注しクリアするまで止まって待ってなどくれません。全て(・・)のクエストが受注からクリア迄、制限時間が有ると思って下さい。それなのに時間が八倍の速さで流れていたらどうなりますか?ほんの5分トイレに離れただけで彼方では40分も時間が経ってしまうんですよ?何が起きていても不思議は無い。それに一部のプレイヤーが遭遇した様なクリアしてから報告が来る様な突発的なクエストも今後増えて行く事になる。』


「だから倍率を減らした、と?」


『そうです。しかし時間を完全に同期させてはそれこそプレイ時間が短くなり過ぎる。たからこその時間加速四倍なのです。』


「成る程…良く解りました。」


 正直何故そこまでするのかは分からないが、時間加速を減らした理由は尤もで、良く分かるものだった。

そして、義文の話は次の段階に入る。


〇〇〇〇


『さて、では此処からはアップデート後の仕様について話していきたいと思います。』


 その言葉にざわついたのは会場の者達だけでは無い。

これまで何とか冷静さを保っていた画面向こうのプレイヤー達もだ。

寧ろ彼らにしてみれば此方が本命なのだから仕方無い。


『先ず、仕様の変更は四点程になります。四点と言うのが多いか少ないかは皆様の判断に任せますが、これによる影響は凄まじいものとなるでしょう。さて―――此方をご覧下さい!!』


 その言葉と共に、スクリーンの映像が切り替わる。

それは右に男性のアバターと左にステータス画面が横並びで映された映像だった。


『1つ目の変更点ですが、それは噂にもなっている通り、職業(ジョブ)にレベルとスキルが付くと言うものです。つまり職業の重要度の変更ですね。』


「ぐ、具体的には?」


『今迄では単なるステータス補正と適正スキルに対する+補正だけでした。しかし基礎レベルと職業レベルを分ける事で、基礎レベルが低くとも、職業レベルが高ければステータスがある程度高くなり、戦い易くなります。また、職業スキルはスキルスロットに含まれ無いスキルとなっていますので、スキルが中途半端で器用貧乏になってしまった人でも強力な上位職業に就く事が出来る様になりました。』


 その説明に合わせて、画面のステータスに職業レベルや職業スキルが追加されたり、職業の系統樹が表示される。


おおっ!!!


『それだけでは有りません。これは後に詳しく説明させて頂きますが、器用貧乏な方が就ける可能性が高い特殊な職業等も存在しているんですよ?』


「なんとっ!!」

「これは面白い……!!」


 端々から聞こえて来る驚きと歓喜の声。

それはどれも好意的なものばかりだった。


『さて、それでは2つ目の変更点ですが、大雑把に言えば、性行為に関する事と、スキルスロットの上限以外の制限が無くなりました。』


………?


 意味が上手く呑み込めず固まる視聴者達。

しかし直ぐに補則の説明が入る。


『行動に関する制限は元からあまり無かったのですが、今後はPVPの申請をしなくとも街中で戦闘が出来る様になります。つまり暗殺や夜襲の様な事も可能になる訳です。これは3つ目の変更点であるデスペナルティーの変化にも関係が有ります。が、そこは一旦置いておきましょう。質問等は3つ目の説明の後に受けますので、先ずは此方をご覧下さい!』


 その言葉と共に、右に映っていた男性のアバターがクローズアップされ、ステータスが隅に追いやられる。


『今後、AWOではアイテムの装備数に上限が無くなります。これからは、自分が持てる限界まで、或いは限界以上の装備を身に付ける事が出来る様になるのです。』


 その説明で、アバターには剣や盾、槍、腕輪や首飾り等が腕や背中、首に装備され、ゴテゴテになっていく。


『更に複数の職業にも就く事が可能になりましたし、レベルの上限も上がりました。これが、「制限が無くなった」と言う事です。他にも細々とした所で制限が無くなった所は有りますが、大まかな所はこんな感じです。因みに職業スキルはメインの職業以外は制限が掛かります。要は近接戦闘系のメイン職業なら、サブ職業の職業スキルはそれに即したスキルしか使えません。戦士の職業で魔術師のスキルは使え無いと言う事ですね。また装備したアイテムも、ステータスに反映される数は決まってます。その判断はこの様に行われます。』


 その説明に合わせ、今度はステータスが大きく表示され、職業欄に複数の職業が表示さる。

その上には基礎レベル、基礎レベルと職業レベルの総合レベルが表示されているが、レベルの上限は基礎レベルが999に総合レベルが9999になっていた。

そして映像がアバターとステータス半々になると、過剰に装備されたアイテムがどのようにステータスへ反映されるのか簡単に説明される。


 先ず、アバターが右手の剣で斬りかかる動作をする。

ステータスの装備欄は、左右の腕に2つずつ装備スロットが有る。

しかしこのアバターは右腕にガントレットをして、その上にバックラーを着け、剣を握っている。

その場合ステータスに影響を与えるのはガントレットと剣になる。

これは攻撃に直接関わっているからだ。

ただ、この世界はステータス以外の力も意味を持つ為、バックラーの数値がステータス上に反映されなくとも、意味が無いとは言えないだろう。

それに、この右腕で攻撃を受けた場合、今度はバックラーとガントレットがステータスに影響を与えるのである。

此処で注目すべきは常にガントレットが仕事をしている点だろう。

つまり汎用性の高い装備を1つ装備しておくだけで、この様な切り替えが起きてもステータスの変動幅は少なくなるのである。


『と、この様に今迄でよりも戦術の幅を広げる事が可能です。またスキルに装備スロットを増やすものが有りますので、更に多くの戦術を模索出来る事でしょう。ただし、装備が増える分要求されるSTRやAGIにDEXも増えますのでお気をつけ下さい。』


 と、そこで2つ目の説明が終わる。


『さて、では3つ目の変更点であるデスペナルティーについてご説明致します。』


 更に切り替わる画面。

そこにはデスペナルティーの内容が簡潔に箇条書きで書かれていた。

内容は以下の通りである。


1:死亡した場合、時間内に蘇生出来なければペナルティーとしてレベルが-3される


2:死亡した場合、時間内に蘇生出来なければペナルティーとして現実時間で12時間のログイン制限が掛かる


3:死亡した場合、時間内に蘇生出来なければペナルティーとしてレア度C以下のアイテム、またはGがランダムでドロップする


4:死亡した場合、時間内に蘇生出来ず、ゲーム内の国に犯罪者として指名手配されていた場合、監獄内で復活する


『以上がデスペナルティーの内容となります。』


「え、これだけ?」


「もっと何か有るのかと……」


「随分簡潔だな……」


 余りにも簡潔な内容に、会場内が困惑に包まれて行く。

先程迄の変更点が衝撃的であった為に、その普通さが寧ろ不安を与えてしまっているようだ。


『2つ目の変更点の説明で、PKがしやすくなった事はデスペナルティーの変更に関係が有ると申しましたが、これは4の事項が今後適用され易く為るだろうと考えたからです。と言いますのも、AWOでは年齢制限された事以外なら、あらゆる事が出来るからです。つまり犯罪者プレイ、悪人プレイが可能と言う事ですね。』


「それは、今迄でと同じなのでは?」


 一人の女性記者が手を上げてそう質問する。

それは尤もで、これ迄のゲームでも似たような事は出来たのだ、プレイヤーに(・・・・・・)


『AWOは現実(リアル)です。つまりNPCであるオルン達は自分で考え行動しています。そして、基本的にプレイヤーと何も変わらない。違いは復活するかしないかだけです。』


「えっ…と、もしかして、なのですが………岩崎社長はNPC――オルン?でしたか?に、対して犯罪行為をする者が現れるとお考えなのですか?」


『そうです。そして我々にそれを止める手立ては有りません。何故ならAWOの管理は、あの世界の神となった世界意思システム――「世界神バルナム」を始めとした管理AI達に引き継がれたからです。それに伴いGMコールも無くなりました。そもそも常にバルナムが監視していますから、現実に問題が起こる様な真似をした者はその場でアカウントが消されます。逆に言えば、現実に問題が起こらないなら、あらゆる事を出来るのがあの世界です。』


「そっ、それは本当に大丈夫なんですか!!?」

「それではゲームそのものが問題ではないですか!!」

「倫理的に許される事では有りませんよ!!!?」


 次々上がる驚愕と怒号が一気に会場を埋め尽くす。

しかし、そんな中で義文は涼しげな顔で笑っていた。

大衆の言葉などどうでも良いと言う様に。

そして―――


『それが、どうかしましたか?』


―――静かに、されど騒然とする会場全体に響く声量で告げられた義文の言葉に、それを聞いていた者全員が言葉を失う。


『確かに、倫理観を考えれば問題が有るかもしれません。しかし、私は言いました。このゲームは現実(リアル)だと。それはつまり今此処で生きるのと何も変わらないと言う事です。』


「それ、は、そうかも知れませんが―――」


『この世界では、日々犯罪が起きます。沢山の人が殺されて死にます。それは彼方も同じです。ただ、我々にとってゲームであると言うだけです。ただ、それだけなんです。そして―――』


 そこで義文は言葉を切り、会場全体を見回す。


『プレイヤーは彼方に居る間は彼方の住人なのです。私としては、性行為に関する制限も取り払いたい所でした。しかし、それは流石にやり過ぎですからね。自重しました。ですが犯罪者プレイや悪人プレイはこれ迄もされて来た事です。それに彼方の国毎の法も有る。ならば後は実際に彼方へ行くプレイヤーのモラル次第です。結局、ゲームで犯罪を犯さなくても現実で犯罪を犯す者は居るのですから。』


「っ…………!」


 その言葉で、先程まで騒いでいた者達は皆黙ってしまった。

その言い分が、正しいものだと、理解してしまったが為に……


『では最後の変更点の説明を致します。』


 そしてまた画面が移り変わる。

そこには、CGの景色とリアルの景色が半々で映っていた。


『最後はシンプルです。視界の切り替え(・・・・・・・)が可能になりました。これ迄はCGだけでしたが、今後はこの様に現実と遜色無い視界であの世界を楽しむ事が出来ます。因みにデフォルトはリアルになりますので、CGが良い方はステータスから変更して下さい。』


 再び表れたステータス画面の右上に、視界切り替えのアイコンが表示される。

どうやらこれで切り替えが出来るらしい。


『これで変更点の説明を終了とさせて頂きますが、何か質問はございますか?』


「「「「……………………………………………」」」」


 義文の確認の言葉。

しかし誰も言葉を発しようとしない。

既に質問する気力も無くなったらしい。

が―――


「あの、結局…このゲームは何処を目指しているのですか?」


―――一人の女性記者が手を上げて質問する。

それは先程質問をした女性だった。


『「このゲームが何処を目指しているか」…それは次の世界に関する説明をした後にお話致します。』


「わ、解りました……」


 すげなく返された言葉に、女性記者もそれ以上質問をする事が出来ず、結局その話は一旦そこで終了となった。


〇〇〇〇


『それでは、最後にこのゲーム世界の簡単な説明と、説明を後回しにしていた事の説明をしたいと思います。』


 移り変わる画面、映っているのは第二惑星ティルナの世界地図。

4つの大陸が四隅に存在し、大小様々な島が多く集まった地域が真ん中の海域に存在している。

見た感じ陸と海の割合は陸が4の海が6と言った所か。

そして、大陸や大きな島に赤い円錐形のマーキングがされているのが見える。

その数10個。


『皆さんお分かりの事と思いますが、これは第二惑星ティルナの世界地図です。ティルナは地球の約1.2倍のサイズで、陸の割合が地球よりも1割多く4:6となります。そして、この赤いマーキングはこの世界に存在する国の首都となります。つまり、この世界には10の国が有ると言う事です。そして、プレイヤーは使用するサーバーが管理する国へと降り立つ事になります。』


 その国は次の10ヵ国になる。


魔法と剣の国「ミステス王国」


商売と仙術の国「堺帝国(かいていこく)


氷河と酒造の国「マルテニ王国」


妖精と聖霊の国「ラマナス妖聖国」


獣人と鍛治の国「アルド獣人国」


魔法工学の国「テムステア共和国」


甘味と樹木の国「ナイアル皇国」


信仰と自然の国「ハルマナ信国」


海洋と鉱山の国「マサグル諸国連合」


農業と酪農の国「ヤルマー農業国」


『以上の国々がこの世界の主要国家となります。そして、これらの国家の重要なポストに就き特殊な職業を得る事も可能です。ああ、それと日本のサーバーは全てミステス王国となります。ミステス王国から近いのは堺帝国とマルテニ王国になりますね。』


 その説明でクローズアップされたのは左上の大陸、そしてその大陸に光る3つのマーキングだ。


『アメリカであればテムステア共和国とナイアル皇国の2ヵ国になり、これらの国に近いのは海を渡った先のハルマナ信国ですね。』


 次にクローズアップされたのは右上と右下の大陸。

因みに右上の大陸は2つのマーキングしか無い。

どうやらテムステア共和国とナイアル皇国は大国のようだ。


『と、この様に様々な国々が存在しています。そしてこれ等の国々は仲の良い国もあれば、仲の悪い国も有ります。当然戦争も有ります。そう言った争いを経た後に残ったのがこれらの10ヵ国なのです。その争いの中心となったのは宗教観の違いに領土等の国力問題です。それは此方と変わりません。ただ、此方には無い特殊な条件も含まれます。』


オオッ!?


 観客達の視線の先、そこに映っていたのは荘厳な佇まいの巨大な神殿だ。

ファンタジーに付き物のパルテノン神殿風な建築物が、朱や碧、翠等の塗料でもって美しく彩られており、一見するとごく最近建てられた様に見えるが、不思議と威厳を感じさせる。


『これは「神造ダンジョン」と呼ばれる物です。要は我々運営が彼方に製作したダンジョンと言う事ですね。これが、先程言った特殊な条件であり、モンスター等の発生に関する例外となります。』


 本来なら此処で誰かが質問しても可笑しくない筈なのだが、誰も彼もが義文の説明を待つかの様に静かに聞き入っている。


『この神造ダンジョンですが、実は内部のモンスターや宝箱、鉱脈や薬草と言った資源が一定時間でリポップするのです。しかも内部のモンスターは一定以上増えず管理も楽。つまり無限に資源が湧き出す宝物庫の様な物です。ダンジョンは他にも自然発生型や人造型がありますが、自然発生型は基本神造ダンジョンと変わりませんが魔物氾濫(スタンピード)と呼ばれる現象が度々起きてモンスターがダンジョン外に大量に溢れだし最悪国が滅びます。その為管理を諦めダンジョン・コアと言うダンジョンを造り出す核を破壊し消滅させるのが一般的ですね。人造型はモンスターも資源もリポップしない単なる遺跡なので、旨味は少ないのです。その為、各国が神造ダンジョンの所有を巡って対立する事がしばしば有ります。因みに全ての国が神造ダンジョンを最低2つは所有していますので、一度行ってみる事をお勧めしますよ。さて次は―――』


 映し出されたのは職業の系統樹だ。

どうやら特殊な職業について軽く説明するらしい。


『1つ目の時に言いましたが、器用貧乏になった方が就ける可能性が高い特殊な職業が有ります。正直数が多過ぎて紹介仕切れませんので、この場では1つだけ紹介させて頂きます。』


 そう言ってクローズアップされたのは「オールラウンダー」と言う職業だった。


『この職業は名前の通り、近中遠距離全てに対応するだけで無く、支援や回復、鍛治、生産まであらゆる事をこなします。その為、この職業をメインにすれば、全ての職業の職業スキルを使用可能となります。とは言え、特化タイプには敵いませんし、称号やまだ取得者の居ない“加護”等の条件も有りますので、簡単には行きませんがね?』


 と、そこで義文は腕時計で時間の確認をする。

どうやらアップデートの終了が間近なようだ。


『まだまだ話し足りない所ではありますが、時間が迫っていますので、最後の「このゲームが何処を目指しているか」と言う質問にだけお答えしましょう。このゲームが何処を目指しているのか……それは―――』




――――――誰にも分からない。




『何故なら、このゲームにエンドコンテンツは存在しないからです。強いて言うなら、それを決めるのはプレイヤーの皆様です。そう、あなた方こそが、このゲームの最後を決める一人なのです。何せ、この仮想現実(ゲーム)は、現実(リアル)なのですから。』


 そして、スクリーンでカウントダウンが始まった。


『さあ―――』


5―――


『共に―――』


4―――


『新たな―――』


3―――


『世界へ―――』


2―――


『旅立ちましょう!!』


1―――


パンッパパパンッ!!!

~~♪

~~~♪♪♪


 突如鳴り響くクラッカーとファンファーレの音。

そして―――


    Welcome to Another World Online!!


―――デカデカとスクリーン一杯に映し出された歓迎の言葉。

それは新たな世界の誕生を意味していた。

そして、此処からプレイヤー達の本当の冒険が始まる。

もっと短くまとめたかったな……

取り敢えず次回はキーノ視点になる予定です


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