クソスキル?いや、外道スキルです!隠すの大変だけど…
完全新作の話です
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最善の先に有った最悪。
「で?ちゃんと説明してくれるんだろうな?特にあの外道魔法について詳しくな。」
此処は四人の常宿「月夜の灯り亭」のカナタの部屋。
あれから三人はキーノに対して色々と愚痴をこぼしていたのだが、それでは埒が明かないと悟り、カナタが背負って街まで戻って来たのである。
因みにキーノがいつの間にか手に入れていたスキル「俯瞰視」で遭遇や奇襲等に警戒する事が出来たのだが、それを告げられた時の三人の顔は非常に疲れたものだった。
「まあそんなに慌てないでよ。一から説明するからさ。」
キーノはカナタをそう言って宥めると、メッセージが届いた時の事を話始める。
―――5分後―――
「成る程、ユニーククエストか……」
「それに称号ですか?」
「私としては最後の《派生スキル》と言うのが気になりますね。」
「確かにな…他のゲームでも有ったが、ありゃスキルの進化先を現してただけだ。言うなりゃスキルツリーの選択肢の一つって事だな。でも、キーノが言ってんのは違うんだろ?」
「まあね、これは進化とはまた違うんだ。基盤となったスキルは残ったまま、そのスキルを元にした別のスキルって感じかな?カナタで例えると、「剣鬼」の刀剣を2本装備出来る能力と、「剣術」が合わさって「二刀流」もしくは「双刀剣術」なんてスキルが発生した感じ。僕の場合は、それが「緩急自在」と称号の“外道魔導師”で起こったんだ。それが―――」
「「外道魔法」ですか……?」
確認するキリアーネの言葉に静かに首肯するキーノ。
そしてまた説明を始める。
「「外道魔法」のアーツは「緩急自在」のアーツを創る事で増えるんだけど、これには条件が有る。」
「さっきの外道属性判定ってのか?」
「うん、そう。新しいアーツを創ると、それに対して外道属性判定が行われるんだ。そして属性が付けば「外道魔法」として組み込まれる。この際、「緩急自在」のアーツスロットは空いたままになるんだよ。しかも、派生スキルはスキルスロットに組み込まれないから、実質スロットが増えたようなもんだね。」
「ええーー!?何それずっこい!!それじゃあ私達みたいな普通のプレイヤーはどうしたら良いんですか!?」
それは尤もな疑問だ。
仮にこれがホルダーのみに許された特権なのだとしたら、ステータスの制限など何も意味を成さないと言える程の問題だ。
なのでその疑問にキーノが答えようと―――
「ああ、それは―――」
「それは多分大丈夫よ、ハルナちゃん。この《派生スキル》は、恐らくノーマルなスキルでも、特定の条件を満たせば発生する……そうですよね……?」
―――した所で、キリアーネが言葉を繋ぎ、そう問い掛ける。
「え、ええそうです。それに、僕もフルード戦でレベルが11まで上がって、メッセージが届いたから知ったんだけど、この世界レベルが10、20、30と10に上がってからは10刻みでスキルスロットがメインもサブも一つずつ増えるだろ?だからノーマルプレイヤーでも、所かノーマルプレイヤーの方がスキルを多く所持出来る分派生スキルは手に入り易いと思うよ?」
「そうだな。それにスキルの統合進化も多分実装されてる筈だ。となると、スロットの多いノーマルのが通常のスキルは強く成り易い可能性が高いか……」
「それは有るかも知れませんね……」
「わふ?とーごーしんか?」
頭に?を浮かべながら小首を傾げるハルナ。
そんなハルナの姿に微笑みながら、キリアーネは説明を始める。
「いい……?統合進化って言うのはね―――」
統合進化とは、2つ、もしくはそれ以上の複数のスキルが組合わさり、新な1つのスキルへと進化する事を指す。
例を上げれば、以下の物が有る。
「剣術」+「火魔法」=「魔剣術<火>」
「剣術」+「斧術」+「杖術」+………=「武器術<近接>」
「火魔法」+「風魔法」=「炎風魔法」
「火魔法」+「風魔法」+「土魔法」+………=「全属性魔法」
等々だ。
これ等はほんの一例であり、他にも多くの可能性が有る。
そしてこれ等は実際にスキルを所持していなくては起こらないのだ。
当然、スキルを多く所持出来る者の方が統合進化は起きやすいのである。
「だからハルナが心配する程、ノーマルプレイヤーとの間に格差は出来ないんじゃ無いかな?」
尤もそれは、今有る格差が埋まると言う事では無いのだが……
「わふぅ、成る程……なら、師匠やアーネちゃんみたいなスキルセットも統合進化するかも知れないんですね!」
「え……?」
「それ、は……」
そこでキーノとキリアーネの動きが止まる。
それは考えた事も無い可能性だった。
なんせ、ただでさえ強力なスキルなのだ。
これが最終形だと思い込んでも仕方が無い。
だが、それはあくまでも可能性の話だ。
もし、このスキルに更に先が有るとしたら?
「一体、どんなスキルになるって言うんだ……?」
それは考えるだけでも恐ろしい。
もしそんな事になれば、それは既存のスキルなぞ軽く笑い飛ばす程の強さを持つだろう。
「わふぅ?どったの?二人とも。」
「ハルナちゃんがおっそろしい事言うから固まっちまったらしいな。」
「え~~?だってあんな話聞いたら普通は考えますよ~~?」
「うん、まあ、そりゃそうだな……」
歯切れの悪い返事を返しながら、素人の考えも侮れないな、と思うカナタだった。
〇〇〇〇
「さて、ちっと脱線しちまったが、まだキーノから肝心なとこを聞いてねえ。だからキチッと話して貰うぞ?」
あれからキーノとキリアーネが再起動するまで約2分が掛かった。
結局、結論は成ってみないと分からないと言う事で考えるのを止めたらしい。
で、キーノによる説明の再開となったのだ。
「何を聞きたいの?」
「うん、禁呪とか代償とか詠唱とかレベルアップでどんな能力が解放されたかとか色々聞きたいが、一番知りたいのは、だ。」
そこでカナタは一旦言葉を止め、深く息を吸い込み、問い掛ける。
「そもそも、「外道魔法」って何なんだ?」
それが、一番知りたかった。
数多くある物語の中に、時々現れては猛威を振るうこの魔法。
この世界においても、強力無比な魔法である事は疑いようが無い。
何故ならその威力をこの眼でしっかりと視ているのだから。
だからこそ、この世界における「外道魔法」とは何かが知りたかったのだ。
カナタの問いに、キーノは暫く逡巡していたが直ぐに決心がついたらしく、口を開く。
「分かんない!」
「「「はあっ!?」」」
それは実にあっさりとした答えだった。
あっさりとしたと言うか答えにまるでなっていない。
三人もそのキーノの答えに呆気に取られている。
カナタに至っては真面目な雰囲気を作っていた分、怒りでこめかみに青筋が浮かんで見える。
「おい、キーノ…ふざけてんなら流石に―――」
「待って待って!実は僕もまだ「外道魔法」のヘルプを読んで無いんだよ!あんな場所で悠長にそんな物読んでられないだろ?だから宿で確認しようと思ってたんだ。」
カナタの様子に慌てて弁解するキーノ。
そこから語られたそれは、尤もな話だった。
寧ろあんな戦闘を繰り広げている時に、そんな事をしていた方がふざけるなと怒られて然るべきだろう。
まあ、そんな怪しげなスキルをあの場で試すのもどうかしていると言われかねないが、創ったら「外道魔法」として組み込まれてしまったのだから仕方無いと言うべきか。
「なら、此処で確認するぞ?勿論全員に見える様にしておけよ?」
「分かってるよ。じゃ、行くよ?「ヘルプオープン」。」
そうして開示された「外道魔法」についての情報。
それは以下の様な内容だった。
『「外道魔法」とは、「創成魔法」、「時空魔法」に並ぶ世界三大禁術の1つ。その魔法はどれか1つをとっても悪辣非道にして強力無比である為、この世界バルナムにおける最大宗教「創成神教」により、僅かな知識すら所有する事を禁じられた忌まわしき魔法。高位の神官以外は名前を知っているだけでも牢に入れられ終身刑を言い渡される程。もし所持していた場合、裁判も無しに即処刑である。例え異邦人であれ、死刑は避けられない。』
…………………………………………………………………………………………………………………わお!
「いやなにこれええええええええええええええええええええええええええええええええええぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!!!?」
「……………キーノ、俺は何も見なかった。お前の使ってた魔法に関しても何も知らない。」
「ちょっ!?」
「師匠~~今迄で有り難うございました。」
「いや、まだキャラロスする訳じゃ無いからね!?」
「あの、えと……その、き、きっと大丈夫ですよ……!」
「キリアーネさん……!有り難うございます!所で、その距離は?」
「え?いや、その…えへへへ……」
可愛らしく笑いながら誤魔化しているが、その微妙に手が届かない距離は変わらない。
「み、皆の裏切り者おおおおおおおおおおおお!!!」
それから約1時間の間、へそを曲げたキーノは部屋の隅でウジウジとのの字を書きながらふて腐れ、悪のりしてしまった三人は必死でキーノの機嫌を直す事になるのだった。
〇〇〇〇
「師匠~~?もう機嫌直して下さいよ~~」
「俺らが悪かったよ。今度なんか奢ってやるからさ、な?」
「ごめんなさい、キーノさん……」
「良いんですよ…どうせ僕は外道魔導師ですからね……ふんだ!」
「分かった分かった。今度「ピッツェリア」のナポリタン奢るから許してくれよ。まだ聞きたい事もあるしさ。」
ピクッ
「………大盛だぞ?」
「ああ、なんなら全部乗せにしてやんよ。」
「忘れるなよ?」
「はいはい。」
と、そこで漸く機嫌を直すキーノ。
実にホクホク顔である。
「ピッツェリアってそこそこ高いイタリアンレストランだよね?」
「うん……確かナポリタンは人気メニューだった筈だよ……?」
「カナタさんと師匠、結構行きなれた感じの会話だったね……」
「そうだね……」
じーーっ
何かを探る様な視線を送るハルナとキリアーネ。
特にキリアーネの視線には、怪しい熱が籠っていた。
が、敢えて無視をする二人。
「で、次に聞きたいのは禁呪についてだ。アレは自分で決めんのか?」
「違うよ。アレはアーツを創ったら自動的に決められるんだ。詠唱用の呪文や代償も同じだよ。それと、追加効果もだね。」
「成る程、そこら辺はシステム任せなのか……」
「じゃあ今度は師匠の能力見せて下さいよ~~どうせ師匠もまだ見てないんでしょう?」
「そうですね…私も凄く気になります……!」
「はいはい、それじゃあ少し待って下さいね。」
と、そこで話に入って来たハルナ達の要望により、キーノは自身のステータスを開く。
そして、そこでまたキーノの動きは止まった。
「あん?どうしたキーノ?」
「目が死んでますよ~~?」
「また何か有りましたか……?」
一向に動く気配の無いキーノを心配し声を掛ける三人。
しかし反応は無い。
ただの屍のようだ。
「って、いい加減起きろ!どんな能力だったんだ?」
肩を掴んでガックンガックン揺すり始めるカナタ。
「ぐぇふっ!?痛い!痛いかららららら!!?」
流石に堪え切れず正気に戻ったキーノは離して欲しいと訴える。
「いてて、やり過ぎだよカナタ……」
「毎度毎度フリーズする師匠も悪いと思いますよーー?」
解放されて首を解しながらそう愚痴るキーノに、ハルナからにべもない言葉が投げられ、少なからず肩を落とすキーノ。
「ぐっ!悪かったよ…でもこれは無いって思うよ?正直な話―――」
そこで一旦、キーノは間を開ける。
その瞳にはやるせなさが浮かんでいた。
「まだクソスキルの方がマシだった!!」
因みに解放された能力によりキーノのユニークスキルは次の様になっている。
万物鑑定
ありとあらゆる物を鑑定する事が可能。
獲得可能経験値が鑑定可能になった。
概念鑑定が可能になった。
レア度鑑定が可能になった。
空間鑑定が可能になった。
透過鑑定が可能になった。
時流鑑定が可能になった。
前兆鑑定が可能になった。
思考鑑定が可能になった。
アビリティ鑑定が可能になった。
万物認識
ありとあらゆる物を認識する事が可能。
獲得可能経験値が認識可能になった。
概念認識が可能になった。
レア度認識が可能になった。
空間認識が可能になった。
透過認識が可能になった。
時流認識が可能になった。
前兆認識が可能になった。
思考認識が可能になった。
アビリティ認識が可能になった。
緩急自在
自身が認識するあらゆる物を緩くしたりきつくしたりすることが出来る。
概念コンバーターが解放された。
概念干渉が可能になった。
2つの能力が解放された事により、対象の便意や五感への干渉が可能になった。
クールタイムが半減した。
空間干渉が可能になった。
透過干渉が可能になった。
6つの能力が解放された事により、アーツとして能力の発動をショートカット可能に、また発動を任意で解除可能になった。
時流干渉が可能になった。
指定空間の形状変更が可能になった。
8つの能力が解放された事により、アーツの複数展開、効果の詳細設定が可能に、またアーツのクールタイムが共用から個別に変更された。
思考干渉が可能になった。
クールタイムが半減し指定出来る空間サイズが十倍になった。
全ての能力が解放された事により、反動のON、OFFを任意で行える様になった。
効果時間
1536秒
効果対象(アーツ同時展開可能数)
十人(10つ)
クールタイム
8秒
アーツ
五感低下
スロウエリア
グラウンドフォール
???(まだ設定されていません。)
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設定できるアーツは残り7つです。
「んん?この内容がどうか―――って…そう言う事か……」
一瞬、カナタはキーノが何故そこまで落ち込んでいたのか分からなかったが、直ぐに理解し天井を仰ぎ見る。
「ああーー…確かにこれはヤバいですねぇ……」
「「外道魔法」を使わなくても、スキルの内容を知られたら処刑されかねませんね……」
そう、「緩急自在」の9個目の能力、「思考干渉」が不味過ぎたのだ。
ただでさえ五感や便意を操作出来るのに、思考まで操作出来るとなれば、「外道魔法」が無くても「外道魔法」持ちと疑われて捕まるだろう。
しかも、例えこれらの能力を使わなかったとしても、鑑定系のスキルで内容を知られたら一発退場である。
おまけに―――
「ギルマスは鑑定持ち……ちっと不味いな……」
実際はそこまで能力が高く無いのだが、四人は知る由もない。
しかし突然今迄でと違う動きをする訳にもいかない。
本人達としては八方塞がりに陥った気分だろう。
「何で僕だけこんな目に合うんだよーー!!!!?」
頭を抱えて絶叫するキーノ。
何度でも何度でも言うが、自業自得である。
結局この日は、キーノの弱体化の事もあって、此処で解散となり、皆ログアウトするのだった。
キーノ君キャラロスの危機?
まあ、ユニークスキルの内容視れる様な鑑定系スキルなんてユニーク位しか無いんですけどね!
緩急自在の能力に少し追加しました
いいなと思えたら評価、感想の方よろしくお願いいたします




