自棄になった外道のエリアボス戦4
最後の方で、以前の内容から少し離れます
〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇
油断は危機を招く。
「さて、今日は遂に森のレアモンスターに挑みます!」
学校の屋上、そこには菊之と刀弥、それに春の三人が向かい合う様に座っていた。
桜華は委員会の関係で今回は来れないらしく、今回は三人となった。
因みに保険委員なのだが、一体何があると言うのか……
噂では桜華に怪我の手当てを受けた人は何人かに一人、ちょっと危ない道に目覚めるとか目覚め無いとか言われてるらしい。
「昨日のレベルアップで、キーノの能力がまた随分上がったもんなぁ……」
「凄かったですよね~~」
「まあまだレアな魔法って事で片付きそうだから、精神的には楽かも。って言っても性能は見て無いけど……」
「性能次第じゃおおっぴらには使えねえもんな。」
「しかもまた外道に成り易い能力でしたしね。2つ目の方なんか完璧犯罪ですよ!師匠は女の敵一直線ですね!」
「うっ…!だから、アレはそこまで見えないんだって……!疚しい気持ちがあったら仲間でも言える筈無いだろ?」
「「まあ、確かに……」」
「それにアレも設定しないと……」
「4つまでだからな。内容に悩むよなーー……」
「師匠の腕の見せ所ですね!」
キーノは昨日のレベルアップで、新たにいくつかの能力が解放され、それがまた外道臭や犯罪臭がする能力だったのである。
因みに能力は以下の通りになる。
万物鑑定
ありとあらゆる物を鑑定する事が可能。
獲得可能経験値が鑑定可能になった。
概念鑑定が可能になった。
レア度鑑定が可能になった。
空間鑑定が可能になった。
透過鑑定が可能になった。
時流鑑定が可能になった。
所持者のレベルに応じて閲覧出来る情報が増える。
所持者のレベルが10で全解放される。
万物認識
ありとあらゆる物を認識する事が可能。
獲得可能経験値が認識可能になった。
概念認識が可能になった。
レア度認識が可能になった。
空間認識が可能になった。
透過認識が可能になった。
時流認識が可能になった。
所持者のレベルに応じて認識可能な範囲が広がる。
所持者のレベルが10で全解放される。
緩急自在
自身が認識するあらゆる物を緩くしたりきつくしたりすることが出来る。
概念コンバーターが解放された。
概念干渉が可能になった。
2つの能力が解放された事により、対象の便意や五感への干渉が可能になった。
クールタイムが半減した。
空間干渉が可能になった。
透過干渉が可能になった。
6つの能力が解放された事により、アーツとして能力の発動をショートカット可能に、また発動を任意で解除可能になった。
時流干渉が可能になった。
所持者のレベルに応じて能力の効果が上がる。
所持者のレベルが10で全解放される。
効果時間
192秒
効果対象(アーツ同時展開可能数)
七人(7つ)
クールタイム
15秒
アーツ
???(まだ設定されていません。)
???(まだ設定されていません。)
???(まだ設定されていません。)
???(まだ設定されていません。)
設定できるアーツは4つです。
「まさかオリジナルアーツを作れる様になるなんてな。ビックリだぜ。」
「名前も自分で決めるんですかね?多分魔法と同じで名前が発動キーになるんですよね?」
AWOには呪文詠唱が無く、名前を口にする事が詠唱の変わりとなっている。
しかしこれは下級魔法限定の可能性も有るとして、魔術師に転職した者達により日夜研究が続けられている。
「多分、そうだと思う…正直ネーミングセンスが無いからちょっと困ってるんだよね……」
「「ファイトっ!!」」
「君ら最近仲良いね!?」
知り合って数日で急速に仲が良くなる二人に、何とも言えない気持ちにされながらも、昼休みが終わるまで他愛も無い会話を混ぜながら、レアモンスター対策を話し合うのだった。
放課後、桜華も加えた四人は軽く会話を交わしながら帰路を歩く。
「―――結局、レアモンスターがどんなのか分からないから、オーソドックスな戦法で様子を見るんですか……?」
「うん。オーソドックスって言うかいつものやり方で、様子を見て、相手の出方に合わせて臨機応変に対応って感じ。」
「結局は行き当たりばったりってことですよね~~」
「それは言わない約束だぜ?春ちゃん。」
「おっと、ついうっかり……!」
「もう、春ちゃん分かってて言ってるでしょ……?」
「あ、バレました?」
「全く、お前は本当に調子が良いんだから……」
「えへへへ、すみません。」
そんな会話を別れ道まで続け、寄り道せずに家へと帰るのだった。
〇〇〇〇
――VR内運営管理室――
「不味いですなぁ…しかし、まだ勝率はあちらの方が上ですかな?外道魔導師がこのままであれば、何とか九割は固いはず……」
以前四大スキルセットのホルダー達を監視する様に言われた古久保俊道は顎に手を当て唸っていた。
その古久保の姿に不安を覚えたチーフの木下菫が声を掛ける。
「どうしたの?まさか、何かまた面倒事?」
「実は昨夜、外道魔導師と鮮血聖女がパーティーを組んだのでござる。しかも、そこに羅刹まで加わってAWO内トップクラスの強パーティーが生まれたのでござる。」
「それは、また色々やらかしてくれそうなメンバーね……」
「そいつらがですな…どうにもエリアボスに挑みそうな会話をしているのでござる。」
「なっ!!?それは、大丈夫なの……?」
「分かりません…ただ今のままなら9:1でエリアボスの方が有利かと思われるでござる。が、外道魔導師次第で変わる可能性は否めませんな……」
「彼の現在の能力は?」
「第一段階を7つ目まで解放しているでござる。能力はMP、DEX、INTに優先的に割り振られているので、場合によってはエリアボスに一撃で沈められますな。」
「7つ目って事は、時流干渉にアーツ設定が可能になったのね……確かに、使い方次第では大きく戦況が変わるか……現段階で次の街が開放された場合の影響は?」
「予定していたアップデート後の大規模イベントに影響が出るかもしれませんが、十分許容値の範囲内です。」
菫の質問に答えたのは、イベント関係の管理をしているスタッフの一人、小太りで眼鏡をした三十路の男性職員、小早川泉都だった。
「そう、ならそれほど悲観しなくて良いのね?良かった……古久保が焦った様に言うから不安になっちゃったじゃない。」
「―――それなのですが……実は「世界意思システム」と「ゲノムプログラム」が不穏な動きを見せていまして…このまま次の街が開放されたら、何か起きないかと不安なのでござる。」
「は?定期点検では何も異常は無かったでしょう?何でそんな事が分かるの?」
「さっきスキルデータベースをチェックしていて気付いたのですが…増えているのです……」
「増えてるって……」
「未確認のスキルが増えているのでござる。つまり、システムが自分で必要だと判断したスキルを製作したのでござる……」
「まさか……!現段階でそこまでの進化なんて!!」
「事実にござる…恐らくそのうち新種のモンスターも……」
「くっ!油断していたわ…まさか自己進化がこれ程早いとは……!全部署に通達!把握していないアイテム、スキルやアーツ、モンスターに隠しイベントが無いか調査!発見した場合は速やかに内容を纏め提出しなさい!」
「「「「「はい!」」」」」
こうして、運営管理室は不穏な会話を残し、新たに発生した問題の調査に没頭していくのだった。
そしてこの日から、AWOの水面下で動いていた存在を、スタッフ達は知る事となる。
〇〇〇〇
運営管理室が新たな問題に直面していた頃、四人は既に森へと入っていた。
「わふぅ~流石にここらは敵が強いね~~」
「ああ、俺も経験値が手に入る位だからな。ハルナちゃんじゃ支援がなくちゃ戦えないんじゃないか?」
「多分そうですね……ハルナちゃんPSはまだそんなに育っていませんし、ステータス事態そこまで高く無いですから……」
「その分レベルアップは早いでしょう。まあ、いくらキリアーネさんのスキルのお陰でHP、MPが減らなくても、精神的な疲れは残りますからね…なるだけ戦闘は避けましょう。」
「だな。ところで、例のレアモンスターまで後どの位だ?」
「ちょっと待って……うん、後、直進で1㎞ってとこ。戦闘が無ければ後20分ってとこかな?」
「むぅ、意外と遠いですね……完全に森の深部じゃ無いですか~~……」
「まあまあ…ハルナちゃんなら大丈夫よ。私とキーノさんの支援が無いとまだ雑魚だけど、支援が有れば脚を引っ張らない程度には強くなって来てるんだから……!」
「ししょおおおぉ~カナタさーん…!アーネちゃんが無自覚に苛めて来るよ~~!」
「「頑張れ!」」
「うわーーーん!!!」
キリアーネの毒舌は今日も絶好調である。
その後じゃれ合いと休憩を済ませた一行は、鬱蒼とした森の中を再び進んで行く。
すると進路上にオークの上位種であるオークナイト二体とオークメイジ一体の計三体が現れた。
キーノは戦闘を避けるべく迂回しようとするが、左右どちらからも、スリーマンセルのオーク部隊が近付いており、このままでは最悪九体のオーク上位種と戦う事になる。
(仕方ないな……)
「このままだと戦闘になります。だから僕のアーツで前方三体の横を抜けますよ?」
「「「了解(です)!」」」
それは森に入る前に設定したキーノのオリジナルアーツの1つ―――
「「五感低下」×6!」
相手の五感を低下させ、状況判断能力、即応能力を奪うアーツ。
勿論、レベル差によるレジストは発生する。
しかし、重ね掛けする事でレジストされ難くする事が出来るようになったのである。
まあ、アーツになった事でそれ相応にMPは消費するが……
五感低下:五感を低下し感覚を鈍らせる 消費MP25 対象一人
「よし、三体共掛かった!行こう!」
「「「はい(おう)!!」」」
一行は突然五感が効かなくなり動けなくなったオーク達の横を上手くすり抜け、森の更に奥へと進んで行く。
そして暫く進むと、目の前に広場の様な円形に開けた空間が現れ、その中央には体高3m程の人影の様なモノが見える。
良く見れば、それは金属の鎧を着て、巨大なクレイモアと大盾を装備した大きなゴリラだった。
更に、その回りにはそのゴリラを一回り小さくした様な革鎧姿のゴリラが三体見える。
「これは、ちょっと不味いかも……」
その姿を見た瞬間、キーノは万物先生によりそのゴリラが何かを理解する。
『賢武猿フルード Lv35
エリアボス フルレイド級 推奨Lv40
ネームドモンスター レア度B
現パーティー勝率3%
取得可能経験値35800(286400)
ドロップ???
HP:15000
MP:10000
STR:700
VIT:450
AGI:400
DEX:500
INT:600 』
それは、絶望的な数値だった。
現在、一番ステータスが高い筈のキリアーネですら、最高値はHP、MPを除けばSTRの200である。
それはこのエリアボスのステータスを半減させたところで、やっとAGIに届く程度と言うささやかなものだった。
しかもVITを抜けられないのなら、此方の攻撃は通らないと言う事だ。
それなのに勝率が3%も有るのは流石四大スキル持ちと言う事か……
キーノはその事実を伝えこの場から逃げる事を提案しようと口を開く、しかしそこでエリアボスのフルードと取り巻き達が此方に気付いた事を知る。
(これは、逃げられない……!!)
グオオオオオオオオオ!!!!!!!!!
ウホ!
ウホ!
ウホホホ!!
辺りを震わせる程の雄叫びがフルードから発せられ、取り巻き達がドラミングで威嚇してくるのを観て、キーノは歯噛みをして戦う覚悟を決める。
「くっ!!皆気を付けて!奴はフルレイド級のエリアボスです!取り巻きのゴリラもパーティー級の強さが有る……!はっきり言って勝ち目はほぼ有りません!でも気付かれた以上戦うしか、無い……!!」
「はっ!上等!!その位でなけりゃ面白くねえ!!」
「ほぼって事は、多少は有るっって事ですよね!?なら、きっと勝てますね!だってそう言う時はだいたい勝つのがお決まりのパターンですから!!」
「フフフ…殴りがいが有りそうなお猿さんですね……それも沢山……!」
「は、ははは…ホント、皆便りがいがあるよ……じゃあ、行くよ!!!」
「「「了解 (です)!」」」
こうして、四人とエリアボスとの戦いが幕を開けたのである。
戦闘開始です
かなりの激闘になる予定ですが上手く書けるか……
でも頑張ります!( ̄^ ̄)
いいなと思えたら評価、感想の方よろしくお願いいたします
緩急自在の性能にちょっと補足説明を足しました