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自棄になった外道のエリアボス戦2

内容は変わりませんが、細かい所を手直ししています


〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇


真実に驚愕は付き物である。

「って事で、AWO時間の4時くらいに一回月夜の灯り亭に来てくれるかな?」


『いいとも~~!!って言うかもう時間ほとんど無いんじゃないですか!?まあ、直ぐ近くに―――』


「―――来てるんですけどねーー!」


「何処でスタンバってたの!!?」


 あの会話の後、カナタはフレンドリストからチャットでハルナに連絡を取り合流して欲しい旨を伝えたのだが、何処に居たのか、ハルナは桜華と思わしき人物を連れてチャットしながら食堂に現れた。


「ふっふっふっ!実は私達もこの間からこの宿に泊まってるんです!!そして此方が桜華ちゃんのアバターで―――」


「ど、どうも…!ハーフエルフで僧侶見習いのキリアーネです……!よろしくお願いします。」


「「は…?キリアーネ……?」」


 数瞬、時が止まる。

キーノとカナタの頭は、今知らされた情報を整理する為に高速で回転し、二人は桜華のアバター、「鮮血聖女」キリアーネを虚んな瞳で見詰めていた。


 キリアーネは正に聖女と言った見た目だった。

リアルとほぼ変わらない容姿だが、綺麗な銀髪だけがおかっぱに切り揃えられ、そこから見えるヒューマンより少しだけ長い尖った耳が特徴的だ。

服装は白を基調とした色合いで所謂、修道服を基本としたデザインになっており、ゆったりした造りになっている。

また頭にはウィンプルでは無くケープ状の薄いベールを被っており、それが神秘的な見た目を更に引き立たせていた。

遠目から観れば質素な造りのウェディングドレスに見えたかも知れない。


「ま、さか…桜華ちゃんがあの「鮮血聖女」だったなんてな……正直ビックリし過ぎて思考が止まっちまったよ。だって鮮血聖女と言やあ―――」


「―――敵を笑いながらガントレットで殴り殺すバーサーカーってのが噂で聞くイメージだね。その幻想的で聖女然とした見た目からは想像出来ない程苛烈な戦闘スタイルだって……自分を回復しながら敵を殴殺する姿から付いたのがその通り名だって聞いてたんだけど、まさか本人に会うなんて思って無かったよ。」


「ほへぇ~アーネちゃんも有名人だったんだ~~って言うか私の周り有名人ばっかりですね!何か私だけ初心者で申し訳無く感じちゃいます。」


「ハルナちゃんは別に何も気にする事無いと思うぞ?別に俺とキーノは攻略組って訳じゃ無いから、そんなに焦ってプレイする気は無いし、ハルナちゃんも一応強くはなってるみたいだしな。」


「そうだよ?さっきだって5頭のグランドウルフの群を一人で倒してたじゃない。」


「えっ!?マジで……!!!?」


 それはカナタが出した条件をクリアしたと言うことだ。

正直カナタとしてはリアルで後一週間は掛かるかと思っていたのだが、ハルナはかなり呑み込みが早いらしい。

もしくはキーノの教え方が上手いのか……

いずれにせよ、これでハルナをパーティーに入れなければならないのは確定だろう。

なんせ、カナタ本人がそう条件を提示したのだから。


「そうなると、僕とハルナの師弟関係も終わりかな?契約期間はまだ残ってるけど、ハルナは目的を達成しちゃった訳出し。にしても、こんなに早く成長するなんて凄いね。」


「ふっふーん!実は私、昔から少し教わっただけで、大抵の事は出来ちゃうんです!まあ、理解出来ないとやれないんで、師匠から色々キチンと教われたのはホントに助かりましたよ。アーネちゃん感覚派だから擬音ばっかりで分かんなくて……私理論派なのに……!!!」


「「えっ!?嘘でしょ(だろ)……?」」


 それは二人の素直な感想だった。

実の所、キーノはハルナが理論派だとは思っていなかったのだが、どんなb…どんな相手でも解り易いようにと、一つ一つ噛み砕いてゆっくりと意味が浸透するように教えていた。

なので、ハルナの告白?に対してカナタと揃って驚いたのである。


「二人して酷い……」


「まあまあ、ハルナちゃんは元気がいいから、そこら辺誤解され易いんだと思うよ……?それに発言もバカっぽい事が多いから、余計に誤解されちゃうんだよ。だからもう少し賢そうにすれば問題無い筈だよ……!」


「アーネちゃん、然り気無くディスってる?」


「えっ!?そんな事無いけど……」


 潤んだ瞳でキリアーネをジトッと睨むハルナ。

どうやらキリアーネの毒舌は誰にでも発揮されるらしい。

それにその様子を見れば、意識して話ている訳では無い事が分かる。

つまり、やはり天然無自覚であるらしい。


「キーノ…女ってこえーな……」


「うん、でもだからこそ気になっちゃうのかもね……」


 そんな事を言うキーノの瞳は、キリアーネに向けられており、恋冷めやらぬと言わんばかりの熱が籠っているようだった。


「はあぁ…ホントに本気なんだなぁ……」


「ん?何が?」


「いや、何でもねーーよ。気にすんな。」


「?」


 あれだけキリアーネの――桜華の言葉に傷付いて、更にはその正体が笑いながら敵を殴殺するのが趣味の鮮血聖女なんて言う危ない女だと分かっても、この幼なじみの親友は、少しも彼女を諦める気は無いのだと、カナタは改めて思い知らされた。


(何とかして、叶えてやりてーけど…こればっかりはキーノの問題だしなぁ……さて、どうしたもんかね?)


 今此処で考えた所で、答えなんて見付かる訳では無いか、それでも大切な親友の恋を実らせてやりたいと、カナタは頭を悩ませるのだった。


〇〇〇〇


「ところでカナタさん、集まったは良いですけど、今日はこれからどうするつもりなんですか?」


 あれから数分が経ち、やいのやいのと騒いでいたのも落ち着いた頃、ハルナがそう質問して来た。


「ああ、実はこれから林に行って、互いの戦闘スタイルの確認と、スキルに関する情報の共有を行いたいと思ってるんだ。それに君らの気持ち次第では、俺らと恒常的にパーティーを組んで貰いたい。」


ガタッ


「そ、それって……!私を認めてくれるって事ですか!!!?」


「ま、まあそうとも言えるかな……?つってもパーティーメンバーとしてってだけだからね?勘違いしないでくれよ?」


 ハルナの勢いに押されて肯定してしまったが、流石にこの手の経験が豊富なだけに、最後にそう付け加えるのを忘れないカナタ。

モテる男は潜った修羅場の数が違った。


「今から行ったら夜間の戦闘になるかも知れないけど、僕達は寧ろその方が連携を見るのに良いと思ってる。なんせ上手く連携出来ないと暗い中で動き回っての戦闘なんて無理だしね。だから事前に互いのスキルや種族的体質なんかを良く話し合う事が大切なんだよ。」


「成る程…敢えて危険な時間帯に狩りをする事で、半ば強制的に連携力を高める訳ですか……しかし、それだと空気を読まないお馬鹿さんが混じってた場合簡単に瓦解しますよね?」


「その場合はバカを排除出来るでしょう?僕は多くのメンバーを守る為なら、少数を迷わず切り離しますよ?尤も、囮に使うだけで死なせる気はありませんがね?」


「そういや随分前にそんな事あったな。そん時は囮にされた馬鹿が半べそかいて、「もうしません!だから囮は勘弁して下さい!」って土下座してたっけ……」


「え!?何それ怖いんですけど……まさか私にそんな事させませんよね?ね?可愛い弟子を生け贄にするようなド鬼畜ド外道じゃ無いですよね!?」


「ハルナちゃん…自分で空気読めて無い自覚は有ったんだね……」


 涙目でキーノに懇願するハルナを見て、キリアーネは呆れた様に肩を竦めて苦笑いするのだった。


「大丈夫だよハルナ。僕の言う事を聴く限りはちゃんと扱ってあげるからね?だから、くれぐれも指示以外の事はしないように。あ、自分や他人を庇う程度なら邪魔にならない範囲で自己判断してね?それすら出来ないグズじゃ無いって信じてるよ?」


「い、イエッサー……!」


 笑っているのに目が笑っていないキーノの不穏な圧力に押され、そう答える事しか出来ないハルナなのだった。


「キーノ、怖い顔になってるぞ?ほらリラックスしろ!スマイルスマイル!」


 見かねたカナタが間に入り、キーノの両頬を掴んでこね栗回す。


「いふぁいかは!よへいにりはっくふでひないよっ!!」


 流石に乱暴過ぎたらしくそう抗議するキーノ。

因みにその様子を見ていたキリアーネが若干頬を紅潮させていたのだが、ハルナ以外に気付く者は居なかった。


「全く、酷い目にあったよ……」


 カナタの手からやっと抜け出せたキーノはまだ少し痛む頬を軽く擦りながらそうぼやく。


「良いじゃ無いですか。多分、アレはカナタさんなりの信頼の証なんでしょう?お二人は随分仲がよろしいんですね……!」


「まあ、確かにそうですけど…キリアーネさん、何かテンション高くなってませんか?」


 キリアーネは先程の二人のやり取りを見てから、何故かやたらとテンションが上がっていた。

いやまあ、「何故か」と言えば理由は分かっているのだが……

因みにキリアーネが殴り僧侶になったのは戦場でしか見れない友情を近くで見たいと言う理由も有ったりする。


「そんな事は些細な事です……!それより、互いに情報を交換するべきでは無いですか?本来ならそれをする為に集まったのでしょう……?」


「それもそうですね。なら、カナタ!ハルナ!スキルについての情報交換をしよう……!」


「そうだな、そろそろするか。」


「はいはーい!わっかりましたーー!」


 そして、四人はそれぞれのステータスプレートのスキル欄を開示して見せる。

因みに前回は他人への開示が初めてだったのでまだ仕様が上手く理解出来ていなかったのである。


「カナタは前回より戦闘系のスキルのレベルが上がってるね。」


「師匠も魔法が上がってますねーー」


「ハルナちゃんは全体的に上がってんな……」


(((でも―――)))


 三人は一斉にキリアーネのスキルに注目する。


「あの、なんでそんなに皆で凝視するんですか……?」


 まあ、それも無理は無いだろう。

基本的にキリアーネのスキルは僧侶らしい構成だ。

異様に高い「格闘」のスキルと、明らかに異質な三つ(・・)のスキルを除けば。

そう、そこに有ったのはスキルセットだった。

それも、キーノのスキルセットに負けず劣らず強力なスキルだった。


スキル


ユニーク

天使魔法Lv10 セイントフィールドLv10 生命の雫Lv10


補助系

魔力上昇[小]Lv8 魔力回復[小]Lv8 魔力操作Lv7


戦闘系

回復魔法Lv8 補助魔法Lv7 格闘Lv10 回避Lv5


生産系

採取Lv6


控え

採掘Lv4 調合Lv5 祈祷Lv4



天使魔法エンジェルマジック


固有のアーツが使える魔法スキル。

御祓の光:状態異常解除 消費MP5 対象一人

クールタイム

10秒

新なアーツが解放されました。

信徒の祝詞:秒間5回復 消費MP5 対象範囲10m以内の味方全員 10秒継続

クールタイム

10秒

新なアーツが解放されました。

天の守護:VIT+50 消費MP10 対象一人

クールタイム

20秒

新なアーツが解放されました。

セイントハウリング:アンデッドに固定ダメージ300 消費MP20 対象範囲声が届く距離

クールタイム

30秒

新なアーツが解放されました。

守護の燐光:補助系、回復系魔法広域化 消費MP10 対象パーティーメンバー

クールタイム

30秒

新なアーツが解放されました。

使徒の翼:AGI+50自身に聖属性付与 消費MP25 対象一人

クールタイム

25秒

新なアーツが解放されました。

浄化の後光:アンデッドに固定ダメージ600、呪いの解除 消費MP35 対象範囲前方全域

クールタイム

40秒

新なアーツが解放されました。

アトラスアーム:STR+50飛行する敵に遠距離攻撃可能 消費MP25 対象一人

クールタイム

25秒

新なアーツが解放されました。

神の慈愛:死亡者の蘇生 消費MP5 対象一人

クールタイム

1分

新なアーツが解放されました。

天使化:全ステータス倍加 消費MP0 対象一人

クールタイム

1日

全ての能力が解放されました。

これにより天使化以外のクールタイムが半減、更に消費MPが-10されます。


セイントフィールド


モンスターのステータスを一割減し、味方のステータスを一割増するフィールドを発生させる。

能力が解放され、効力が二割減、二割増になった。

能力が解放され、効力が三割減、三割増になり、天使魔法の発動が阻害されなくなった

能力が解放され、効力が四割減、四割増になった。

能力が解放され、効力が五割減、五割増になった

能力が解放され、モンスターのレジスト成功率が一割減されるようになった。

能力が解放され、モンスターのレジスト成功率が二割減されるようになった。

能力が解放され、モンスターのレジスト成功率が三割減されるようになり、天使魔法の効果が永続化されるようになった。

能力が解放され、モンスターのレジスト成功率が四割減になった。

能力が解放され、モンスターのレジスト成功率が五割減になった。

全ての能力が解放され、モンスターはフィールド内への侵入、外への脱出が出来なくなった。

消費MP10

フィールド範囲半径50m

効果時間無制限(解除は可能)


生命の雫


セイントフィールド内の生物の数だけHP、MPが自動回復する。

回復量10秒に生物数×0.01

カウントされる生物「人」「モンスター」。

対象一人

能力が解放され、秒数が5秒になりました。

能力が解放され、生物数×0.02になりました。

能力が解放され、カウントされる生物に「動物」が追加されました。

能力が解放され、対象が二人になりました。

能力が解放され、秒数が1秒になりました。

能力が解放され、生物数×0.03になりました。

能力が解放され、カウントされる生物に「虫」が追加されました。

能力が解放され、対象が三人になりました。

能力が解放され、敵モンスターからHP、MPを秒間1%、最大30%までオート吸収できるようになりました。

全ての能力が解放され、セイントフィールド展開に合わせ、オートで発動するようになった。


 …………………………………………………とてもふざけた能力だった。

馬鹿みたいにぶっ飛んだ超絶チートスキルだった。


「これ、僕のが可愛く見えない?」


「まあ、確かに……」


「アーネちゃんえげつないねーー……」


「え?え!?えーー!!?」


 そんな反応が返って来るとは思わなかったキリアーネは困惑していた。

しかし、他三人の方が更に困惑していた。


これ、知られたら不味くね?


 結局、三人が正気を取り戻し、フィールドに出掛ける準備を始めたのはそれから10分後の事だった。

ヒロイン候補はヤバい人でした……


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