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 それぞれ騎士の後ろに乗せてもらい、馬で町まで戻る。


「俺はヨルゴス。そっちの若いのはレアンダー。アンナがいる町の警備をしている」


「俺はジオで、コイツはそこの落とし穴で拾いました」


「あの落とし穴に落ちるやつがいるとはなあ」


「いやあ。本当に助かりました」


 まさか八つ当たりで切った蔓が罠の起動装置だったなんて言えない。

 乾いた笑い声を出す俺にヨルゴスがここら辺の土地勘がない色々と教えてくれた。


 アンナが住んでいるのは海に一番近い端の町。その近くに四、五個の村が点在していて、そこから更に内地に行くと大きな街があるらしい。

 その街から警備の為に三人一組で騎士団の者が交代でそれぞれの町に派遣されており、アンナの村の今月の担当はヨルゴスとレアンダー、そして町に残っている衛生兵らしい。


 因みに、詳しく聞かれなかったので無難に船で海に出たら流されてしまい遭難したのだと伝えた。


 ネーライラ皇国があった大陸と今いるこのヘルデイオ国がある大陸では流通はなかったはずだ。海の向こうに他の大陸があるということは判明しているのかもしれないがどうなんだろう。

 色々巻き込まれそうだし要らん事は言わないでおこう。


「うちの衛生兵ではその竜の治療は難しいでしょうから、後で町の薬師のところまでご案内しますよ」



 *



 すごく見られている。


「あの」


「グ?」


 視線が痛い。一度も瞬きせずに凝視されてちょっと怖い。



 アンナとヨルゴスとは町に着いたところで別れ、レアンダーに薬師の店まで案内してもらった。

 自宅兼店のようで、部屋の一角に乾燥させた薬草や薬が入った瓶が所狭しと並んでいる。ナニカの頭蓋骨が赤い木の実と共に液体に漬けられているのはなんだろうな。あれ、飲むのかな。


 奥で作業していた老人に声をかけ、怪我の具合を見せる為に上着の中に潜り込んでいた竜を見せる。すると、それまで作業片手にしか話を聞いていなかったのとは打って変わって、カウンターに身を乗り出して抱っこした竜をガン見する。


「あのー……先生?」


 レアンダーまで顔が引きつってる。


「……これは、驚いた。幻獣種か」


 ふう、と大きく息をつくと、先生は乗り出していた身を戻し、俺たちに座るように促した。

 ちょっとドキドキしちゃったよ。悪い意味で。


 全く警戒せず不思議そうな顔をした竜をそっとカウンターの上に乗せる。


「……翼が酷いな」


 先生が竜の体に手を滑らせる。掌がほのかに光り他に怪我をしたところがないか調べているらしい。

 やはりネーライラ皇国よりもこの国は魔法は進歩しており、身近なモノとして生活に根付いているようだ。



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