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発見

 

 自分のせいだが冷えた空気は傷ついた体に悪そうだ。体もまだちっこいから心配になる。

 伝え聞く竜の話では、どれも家屋やら山やらに例えられるくらいとても体が大きいと言われている。こんなフェレット擬きではない。


「グゥ……」


「なんだその顔」


 上着を脱いで包んでやると、あからさまに鼻に皺を寄せられた。


 魔法で出した水で軽く体を拭っていたとはいえ、流石に服は洗濯できていない。1週間以上海風に吹かれた服はさぞ臭かろう。

 しかし。ここは我慢してもらう。

 くっさ〜と言わんばかりの竜の額を撫でる。


「そもそもお前、なんでこんなとこに落ちてるんだ」


「グ?」


「ぐ?」


「グ! ググゥ、グピョピョクピョ!」


「分からん」


「グゥ」


 竜は頭が良いと聞いたことがあったが本当らしい。きちんと返事をしてくれる。

 何を言ってるかさっぱりだが。 

 幻獣とはもっと神聖な存在で、滅多にお目にかかれないありがたい存在ではなかったか。こんなに警戒心ゆるゆるで大丈夫か。


 会話は諦めて抱っこしたまま出る方法を考えていると、人の声が聞こえた。


「わ! 今日もフタが開いてる!」


 幼い女の子の声。葉を踏みしめる音がはずむように近づいてくる。


「アンナ、今日はお肉が食べたいなあ! 騎士さん呼ばない……と……?」


 うふふ、と楽しそうな笑い声と共に、小麦色の髪を2つ結びにしたまだ7歳くらいの女の子が穴の縁からひょこっと顔を覗かせた。

 夕食に思いを馳せていたのか満面の笑顔だったのが、不思議そうな顔になり、驚き固まり、そして青ざめていく。

 女の子の脳内変換の推移がとてもよく分かる。


「あの」


「っうあ!」


 声をかけると弾かれたようにパッと顔が見えなくなる。


「あ、ああぁぁあぁあ。どどどうしよ。どうしたらいいんだろ……えーと、えーと。と、とりあえずいつもみたいに……[閉まれ]!」


「え、ちょっと」


 不穏な言葉を聞いた気がする。

 ちょっと止まってもらえるように呼びかけたが、走り去る音は止まらずにそのまま遠ざかっていく。


 開いていた落とし穴にパタンと蓋を閉じられてしまい、途端に真っ暗になってしまった。


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