竜の子
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先生のお弟子さんがいる街ケアランへとヨルゴスとアレンダーと共に馬に乗って移動している。
あともう一人いるはずの衛生兵の騎士とは交代要員が来るまで町でお留守番だそうで会わずじまいだ。
あの後、驚いた先生とアレンダーから質問攻撃をされた。
前世のことなど言ったらどういう扱いをされるのか分からないのでのらりくらりと適当にはぐらかしていたら、答える気がないと分かったのかとても渋い顔をされた。
先生には神話時代研究所への紹介状 を持たされ(いらない)、アレンダーにはその場では拘束や何もされなかったが十中八九怪しまれただろう。騎士団の上の方にまで報告がいったら面倒だなあと黄昏る。
「グ」
「ティー。腹に爪を立てるな、爪を」
相変わらず腹に張り付いて、ご機嫌に尻尾を揺らすお子ちゃま竜の頭を撫でる。
せっかく怪我が治って逃げられたというのに、こいつときたら隙を突いてオデコをごっつんこしてきて勝手に従魔契約を結んだ。
なので竜の額の模様が青から赤に変わり、それと似た菱形の小さな模様が俺の額にもできた。
前髪は下ろしてあるので目立たないが、なんだろうこのやられた感……。本当にここ最近の怒涛の展開はなんだろうなあ。
不本意とはいえ契約してしまったので名付けをした方がいいと言われ、テティスと名付けた。略してティーだ。
「まだまだガキンチョだなあ、そいつ。普通幻獣は精霊達に保護されて隠されてるから、何かの弾みで逸れたのかもな」
「グッ」
馬を近寄らせ撫でようと伸ばされた手を尻尾で弾いて拒否する。
「すみません、人見知り……竜見知り? が酷いようで……」
せっかくフォローしたのにレアンダーが「隊長の顔が怖いから怯えられてるんですよ」とにこやかに余計なことを言って睨まれている。
意外と物怖じしないレアンダーと何事も雑なヨルゴスと通り抜ける町で宿に泊まって雑魚寝をしたり、屋台でご馳走になったりして3日間の道程を楽しく過ごした。
そしてケアランへ無事に到着し、街の入り口で2人とは別れた。
「さて。ティー行こうか。先生のお弟子さんのお店はどこだろうな」
「クピ」
「いいって言うまで隠れててな」
「グー」
「良い子だ」
テティスを上着で隠し、いままで見たことがない異国の街並みに目を奪われながら人混みに混ざり込む。
新鮮な野菜を売り込む威勢の良いお姉さん。張り合うように加工食品を宣伝するお隣さん。
通りには今日の晩御飯の食材を求めにきた主婦や、仕事帰りだろう鎧を着た屈強な人やローブを着た如何にもな魔法使い、警邏する騎士団など生き生きとした人々で活気に包まれていた。
「早く資金をなんとかしないとな。無一文は辛い」
肉の焼ける良い香りに空腹を刺激されつつ、屋台のおじさんに「行って見てみればすぐ分かる」とお弟子さんのお店を教えてもらい早速向かう。
活気のあった通りから二本ほど奥に入ったところに雑貨屋さんはあった。
「これかあ。本当、他と違いすぎて分かり易すぎるだろ」
周りは集合住宅街で密集しているというのに、そこだけは広い庭を持った一軒家だった。
様々な植物や木が植えられていて街中だというのに森のようになっており、敷地を隔てる白い柵にはデカデカと『雑貨屋さん』と日本語で書いてあった。
はじめましてはづきです。
いつも読んでいただきありがとうございます。
ブックマークが10になり嬉しいです!
本当は書き溜めしてたところまでで止めるつもりだったのですが嬉しかったので続けます。
あと、なんだか申し訳なくなってきて1ページの量を増やそうとしましたが無理でしたごめんなさい。このまま少量ペースでいきます。よろしくおねがいします。




