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初めての「死」

描き溜め(すぐ尽きる

気づけば俺たちは草原に立っていた。

「ここどこ?」

「なんだ……ここ?」

「知らないわよ! それより何なのこれ⁉」

「ママぁぁぁぁぁ!」

 こんなところに飛ばされたら当然なのだろうが、相当騒がしくなった。

「なんだよここ……」

 広い草原。あたりを見渡してもあるのは森や泉。遠くに家らしきものが見えるが、徒歩で行くと相当な時間がかかりそうだ。

 空には鳥のほかにドラゴンのような生き物もいる。

 こういう時、俺はなぜか冷静でいられた。だからこそわかること。いや、そうじゃなくても想像は付くだろうが、それまでに時間がかかるだろう。

 そう、ここは――

「……異世界……」

 それだけはすぐにわかった。

 これほどの場所ならテレビに出て当然だ。だが一度も見たこともない。それに空に飛んでいるドラゴンらしき生物。これを見ると明らかに現実世界ではないことは分かる。いや、現実ではあるのだろう。だが少なくとも前の世界とは別の場所、別の世界だ。

「はぁ、さすがにこれはやだなぁ」

 少し時間がたつと、みんな落ち着いてある程度団体で行動するようになった。が、みんな仲いい人同士だ。

 俺、友達いないんだよなぁ……。

 こういう時一人で行動するのは自殺行為だ。それはライトノベルを呼んでいて何となくわかる。だがどうしようもない時だってある。

 ひとまず村を目指すことにしよう。

 そのために準備しないといけない。

 せめて武器になりそうなものがほしい。ある程度硬い木の枝でもあれば雑魚なら何とかなるかもしれない。

「こんなものか……」

 森の中を探してみると案外早く見つかった。

 どうにか先を尖らせたい。打撃と刺撃が出来ればいい。

 削るのは石があればいい。

「まぁ、これでいいかな?」

 石、というか岩を見つけた。

 岩で気を削り、弱々しいが槍を作った。

 これで獣程度なら何とかなるだろう。まぁ狼みたいな獣や魔獣が出たら負けるが。

 木の槍を作ったので早速村へ向かった。

 そして歩くこと約10分。

「ここは……」

 確かに村ではある。だが、誰もいない。

 まあこんなところにある村なら当然かもしれない。 

 村は森に囲まれていて、少し目を凝らせば獣なんていくらでも見える。俺が見えている限りでは狼のような獣がいる。

「だれもいないんですかー?」

 …………返事がない。

 これはどちらかというと隠れているのかもしれない。

 知らない世界で独りぼっちというのは相当心細いものだ。

 一度深呼吸して落ち着き、お制服のブレザーを脱いだ。もしかしたら囮として使えるかもしれないのでもっていった。

 さらに村の奥に行くと、一匹の獣がいた。

「ガルルル」

「マジか」

 さすがに勝つ自信はないが、逃げるわけにもいかない。

 この世界に来て今すぐにでも元の世界に戻ろうだなんて考えても無駄でしかない。今はとにかくこの世界で「生きる」ことを考えなければいけない。

 負け覚悟で槍を構える。

「ガルッ」

 獣がまっすぐ俺に飛びついてきた。

 噛みつこうとしたのか、口を大きく開いてとびかかってきた。

 その口をめがけて槍を突きさすと、俺の刺す威力に加えて獣が飛び掛かってくる威力もあったのできれいに貫いた。

「ガルルゥ」

 獣を綺麗に串刺しにした。が、もう槍は使い物にならない。恐らく今ので切れ味は0になっただろう。

 まあすぐ近くに獣がいなくなっただけましだろう。

 一応情報収集しようと近くの家の扉をノックして「誰かいますか?」と聞いてみたが、反応がなかった。

 だがまだ一件しか回っていない。

 

 と、他の家も回っていると、いつの間にか暗くなってきていた。

 すると明るかった時よりも獣の鳴き声が多く聞こえてくる。

「これ、もう勝ち目無いな……」

 いつの間にか俺は獣たちに囲まれていた。

「はぁ」

 いや、まだ襲われるとは限らない。

「ッ、ぁあ、はぁ、はぁ……」

 それでもさすがに死ぬのは怖いな……。

 この数ならたぶん逃げ切れないことはない。

「くっ」

 一人で行動せずに誰かと組むべきだった。

 獣たちから殺気を感じる。素人の俺でもわかるレベルだ。

 思い切って獣まで近づき、ギリギリのところでブレザーを投げて視界を奪い、獣を踏み台にして後ろへ回ってそのまま走った。

 獣たちは当然追いかけてきたが、全力疾走で何とか撒けた。が、その先にも獣はいた。

「あ、ダメだ」

 ピンチな時ほど冷静になれる俺ってなんなんだろう……。

「ん?」

 右腕に異変を感じてみてみると、腕がなかった。

「ああああぁあああぁぁぁぁあぁぁああぁぁぁああぁぁ」

 痛みに耐えきれずそこに倒れこんだ。そこに獣がたかってきて俺を食った。

 痛みはなく、俺は即死した。

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