第2話 はじめての町へ!
ここで生活することになった私は、セロンと二人で森の中を町に向かって歩いていた。
「とりあえず必要なのは、服と食料よね。」
「そうですね~、後は小物とか雑貨ですよね。」
「あ、でも私、お金持ってないわよ?お金無くちゃ、買えないわよね?」
「あぁ、その事については大丈夫ですよ。僕、これでも階級はスペードですので!」
「階級...?」
そこでセロンはハッとしたような顔をして
「あっ、そうでした!階級制度、知りませんよね。階級は上から、ジョーカー·スペード·ハート·ダイヤ·クラブの順です。普通の国民はダイヤの階級を持っています。ハートは富裕層の人々。スペードは、王族や貴族の一部が持っています。」
「ジョーカーは?」
「ジョーカーは『アリス』だけが持つ、特別な階級です。この国の最高位はアリスなんです。」
「ふぅん...アリスって凄いのね...じゃあクラブは?」
「クラブは犯罪者や奴隷が持つ階級です。大抵クラブを持つ人は面倒事を抱えている人が多いので、気をつけてくださいね。」
クラブを持つ人には近づかない方がよさそうね...
セロンはスペードって言ってたから...
「ねぇ、セロンって貴族なの?」
「はい、伯爵です!だからお金は腐るほどあるんですよ~」
ふぅん、伯爵ねぇ...って
「伯爵ぅぅぅぅ⁉」
驚いて、思わず大きな声がでてしまった。
が、多分他の人でも出てしまうだろう。
「?えぇ、女王様の補佐をしています。」
女王の補佐⁉
開いた口が塞がらない。見た目、私より年下のセロンが⁉
驚きすぎて固まっている私に、
「そろそろ行きましょう?」
と声をかけ、私の手をひきながら歩き始めるセロン。
当初の目的を思いだし、私は我に帰り繋がれた手はそのままに、セロンの横に並んで歩き始めた。
数分後...
私たちは、町の広場に着いた。
セロンの説明によると、ここはセルリアという名前の城下町で、大抵のものはここで手に入るらしい。
町の大通りを森とは反対の方向へ進むと大きな城があり、そこにハートの女王様が住んでいる。
「すごい人通りが多いわね。」
「ここは大通りですし、今はちょうどお昼時ですので、皆さん食事に出掛けているのでしょう。さて、最初はどこからまわりますか?」
「あのね...その前にお昼食べていい?お腹すいた...」
「そうですね。僕もすいてたので、お昼ご飯、食べに行きましょうか。」
にこっと微笑んで、セロンは頷く。
その瞬間、周りにいた女の子たちが顔を赤く染めてポーッとセロンをみつめた。
さすが美形...
心の中で感心しつつ、私はにこりと笑って
「それじゃ、行きましょ」
と言ったその時、セロンの顔は周りにいた女の子と同じように真っ赤になった。
どうしたのかと不思議に思いつつ、辺りを見回してみると、同じように顔を真っ赤にしてこちらを見ている男の子たちがいた。
首をかしげながら
「ねぇ、セロン。この町、風邪かなにか流行ってる?」
と、問うと...
「...やっぱり、今のは無自覚ですか...はぁ」
と、溜め息まじりの独り言が返ってきた。
私が頭の上にハテナをとばしていると...
「さて、行きましょうか。そろそろ行かないと混み始めるので。」
と、セロンは言いながら、さりげなく手を握ってきた。
びっくりしながら繋がれた手を見ていると...
「人通りが多いので、はぐれたら大変ですから。」
あぁ、なるほど。と思いながら私は繋がれた手をしっかりと握り直して、セロンと共にたくさんの人が行き交う大通りを歩いていった。
今回は少し短めなのかなぁ?と思いつつ投稿しました、ちぇしゃ猫です!
1話と比べて短いような気がしてならない(^_^;)
しかも会話文が多めで入っています(笑)
こんな作者ですが、次回も見てやってください(苦笑)