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「さよなら」と言った君の背中を追いかけなかった僕と、「さよなら」と僕に告げた君の話をしよう。(前半戦)
【「さよなら」と言った君の背中を追いかけなかった僕と、「さよなら」と僕に告げた君の話をしよう。】(前半戦)
遠ざかる君の背中。
それすら僕には見えなくなって。
こんな日は、物語の主人公だったら
泣き叫んで、引きこもったりして
仲間が来て、立ち直って、
そしてヒロインの背中を追いかけて、
はっぴーえんど
なんだろうなぁって
いつもは回らない頭が
こんなときだけやたらに回って
考えたくないことすら考えちゃって
そして、自己嫌悪におちいるんだ
最後に見た君の姿
泣きそうな顔した君
あれ?
泣いてたっけ?
まぁいいや
とりあえず、感極まった顔した君を乗せて
電車はホームから出ていった
僕はホームの端まで電車を追いかけて
走ったりなんかしなかった
ただ走っていく電車を見つめていた
ただそれだけ
なんの捻りもない
いつもの話
僕は、ケータイと家の鍵をもって
家を出た