その2
無我夢中で少女を抱き上げ走ろうとする。
!!
ドン‼︎
いきなり強い力で押されて道の向こうに転げた。直後に何かを打つ音が後ろからした。
「きゃあああぁぁ!!」
「ヒカル!ヒカルゥ!!」
「誰か、き、救急車を。」
振り返ると慌てている通行人。慌てて走り出す友人達。その先には血だらけになったヒカルが倒れていた。
「ヒカル!ヒカル!いやぁ!!」
なつみがボロボロと涙をこぼしている。
フラフラと立ち上がった。少女は泣いていて母親が必死にお礼を言っているが聞こえない。
ただ、ヒカルだけを見ていた。だんだんと広がっていく血だまり。
?
☆☆☆☆☆☆☆
「高野 光さんのご両親ですか。」
「光は!光はどうしたんですか!!」
取り乱したヒカルの母親が緊急治療室から出てきた医師に掴みかかる。
「光さんですが。…………残念ながら。」
「いやああぁぁぁ!!光!!光!!!」
ヒカルの母親は泣き叫び崩れ落ちた。知らせを受けて飛んで来たであろう父親も、力が抜けたように椅子に座り込み両手で顔を隠すようにした。かすかに肩が震えている。
「ごめんなさい!ごめんなさい!!ごめんなさい!!!」
少女の母親もさっきから涙を流しながら謝っている。
「ヒカル……。」
達也も泣いているなつみをさすりながらつぶやく。
周りのみんなの様子を見てやっとヒカルが死んだんだと理解出来た。
いや。でも信じたく無かった。
「……ねえ。ヒカルはどこ?」
ヒカルが事故にあってから初めて口を開いた透を俺と達也がハッとしたように見た。
「………ねえヒカルは?ヒカルはどこ?」
ヒカルに一番なついていた透だ。きっと、ものすごいショックだろう。
「………………ヒカルは生きてるよ?」
は?と言う顔をしてみんなが透を見つめる。
「………………ヒカルは生きてるy」
「やめて!やめて、やめて、やめて!!」
ヒカルの母親がヒステリックに叫んだ。
「医師が言ったでしょ!!光は死んだ!!死んだのよ!!生きてるとか言わないで!!やめて!」
ヒカルの父親が立ち上がり再び泣き出した妻を支えた。
「……すみません。光に、会えますか?」
「ええ、どうぞこちらです。」
そうして、この場には深い沈黙が降りた。
透を見ると、なんでも無いような顔をしていた。
☆☆☆☆☆☆☆
『発光』
自分の体が光を放つ。ただそれだけ。
「ショボイ。」
せめてスキルだけでもとスキルを見たが全然ダメだった。
神様の最後の一言を思い出した。
死なないようにってメチャクチャ弱いからってことか。
再びホーム画面に戻り今度はステータスカメラを押した。
「ステータスカメラの使用方法を説明します。」
いきなりスマホから女の人の声がして驚いた。
「ステータスを知りたい対象にカメラを向けます。そして普通のカメラのように撮る。それだけで相手のステータスがわかります。では、試しに目の前のスライムをとって見ましょう。「カシャ」はい。これでステータスカメラの使用方法の説明を終わります。」
種族:スライム
レベル:1
HP:20
MP:15
スピード:4
力:10
防御:5
器用:10
運:5
知識:1
スライム強いな。じゃなくて俺が弱いのか。
………ん?スライム?
目の前の水色のぷよぷよしたゼリー状の生き物が今にも俺に飛びかかってこようとウニョンウニョンしている。
これは。………逃げろ!
すぐさまスライムに背中を向けて逃げ出す。
が、すぐに転けた。足が上手く動かない。
スライムがすぐ後ろに迫る。くそー!
「とりゃあ!」
もうがむしゃらに尻尾をスライムに向かって振った。
バシン!スライムが尻尾の攻撃を受けて後ろによろけた。
お?これはいけるか?
さらにスライムに追い打ちをかける。
…10分後
「はあ、やった、倒した。」
なかなか上手く歩けずスライムとのにらみ合いがしばらく続いた。
しばらくして自分の足がトコトコ歩くよりぴょんぴょん飛び跳ねる構造をしていることに気づき跳ねてみると上手く前に進むことが出来た。
そして、跳ねながら尻尾を鞭のように振るったところスライムを倒すことが出来た。
自分のステータスを見てみる。相当動いたから少しくらいレベルが上がっているんじゃ無いか?
ヒカル
レベル:2
HP:15
MP:12
スピード:6
力:5
防御:3
器用:5
運:0
知識:125
スキル
『発光』『固化』『鞭使い』
あ、鞭使いが増えてる。
なになに、鞭を使った攻撃にさらに力が加わる。鞭の命中率が上がる。
尻尾を鞭みたいに使ったからな。って言うか尻尾も鞭に入るんだ。