表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

短編

赤い、赤い、色、みつけた。

作者: 遍駆羽御

赤い、赤い、色、みつけた。



 学校の帰り道、真っ赤な太陽のせいでみんな、赤くなった。僕らはその赤を恐怖とは感じなかった。絵の具の赤色みたく、太陽の赤も僕らに攻撃を仕掛けてこない。だから、僕らは無視していられた太陽の赤の存在を。

 僕らはケンケンをしながら、下り坂を下る。片足で跳ねるたびに呼吸をする。その呼吸をした瞬間、灰に汚い空気が紛れ込む。何度かは我慢できるのだが、僕らは何度目かでせき込んでしまう。

 きれいな空気を汚い空気に変えながら、自動車は走る。自動車の赤いランプが僕らには憎たらしかった。

 なんで、人間は空気を汚くするの?

 僕らの顔は怪訝な表情だった。その顔にそんな質問が貼り付いているよ、と思われても仕方のない顔だ。

 黄色い色ならば、まだ渡れると思っている僕らのうちの一人が走り出そうとしている。しかし、黄色い色は点滅していた。僕は走り出そうとしていたそいつの肩を掴んだ。それと同時に赤い色に信号は顔色を変えた。そして、横断歩道を巨大なトラックが轟音と、おならのように臭い息を吐いて踏みつぶして行った。

 僕らの瞳には赤い線のような軌跡しか記憶になかった。

 僕はこの赤いは怖い赤だと感じた。身体がびくって勝手に飛び上がるのを感じた。

 それでも、僕はその赤が記憶から消えてしまうのを知っている。

 数時間後に母の作ってくれたオムライスにケチャップをたんまりと注いだ。それを美味しく食べた。歯にはケチャップがくっついていた。


 赤い、赤い、色、みつけた。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 最後の歯についたケチャップから、数時間前の出来事を想像して静かに恐怖がおそってきました。
[一言] oh……。 やっぱり赤といったらそっちになるんですね。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ