赤い、赤い、色、みつけた。
赤い、赤い、色、みつけた。
学校の帰り道、真っ赤な太陽のせいでみんな、赤くなった。僕らはその赤を恐怖とは感じなかった。絵の具の赤色みたく、太陽の赤も僕らに攻撃を仕掛けてこない。だから、僕らは無視していられた太陽の赤の存在を。
僕らはケンケンをしながら、下り坂を下る。片足で跳ねるたびに呼吸をする。その呼吸をした瞬間、灰に汚い空気が紛れ込む。何度かは我慢できるのだが、僕らは何度目かでせき込んでしまう。
きれいな空気を汚い空気に変えながら、自動車は走る。自動車の赤いランプが僕らには憎たらしかった。
なんで、人間は空気を汚くするの?
僕らの顔は怪訝な表情だった。その顔にそんな質問が貼り付いているよ、と思われても仕方のない顔だ。
黄色い色ならば、まだ渡れると思っている僕らのうちの一人が走り出そうとしている。しかし、黄色い色は点滅していた。僕は走り出そうとしていたそいつの肩を掴んだ。それと同時に赤い色に信号は顔色を変えた。そして、横断歩道を巨大なトラックが轟音と、おならのように臭い息を吐いて踏みつぶして行った。
僕らの瞳には赤い線のような軌跡しか記憶になかった。
僕はこの赤いは怖い赤だと感じた。身体がびくって勝手に飛び上がるのを感じた。
それでも、僕はその赤が記憶から消えてしまうのを知っている。
数時間後に母の作ってくれたオムライスにケチャップをたんまりと注いだ。それを美味しく食べた。歯にはケチャップがくっついていた。
赤い、赤い、色、みつけた。