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猫と狼と魔法使い  作者: リズ
第二章
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森の魔法使い

「まあなんでこんな森の奥に君みたいな子供が……」


ふと、老婆が呟いた。

しかしその声は先程のようにしわがれてはおらず、もっと若くに感じられた。

というよりは、現在進行形で若くなっている。


「ふうむ、やっぱりこの姿が一番だねえ、ああいやそれよりもだ」


リンネの目の前で老婆が姿を変えた、二十代くらいの若い女性の姿にだ。

リンネは訳が分からず、眼を点にしてその女性を見つめた。

赤い髪は艶を取り戻し、肌に刻まれていたシワは今はもう見当たらない、少しつり上がった目が凛々しい印象をリンネに与えた。


「驚かせたかい? それならすまなかったね、さて、二、三質問するよ?」


「え、あ、は、はい」


リンネは訳の分からないまま首を縦に振った。

その様子に先程まで老婆だった女性は木の根に腰を掛けると。

口を開いた。


松明の灯りはそこまで届かないはずなのだが、女性の姿はハッキリとリンネに見えていた。

女性が松明を持っている様子ではなかったのだが、女性の右隣辺りには確かに炎が揺らめいている。


「君、名前はなんてんだい?」


「リ、リンネです、リンネ・ノーラン」


「ふむ、では次だ、君は何故こんな森の奥にいる?」


この質問にリンネは顔を伏せてしまった。

しかし、リンネは真面目で良い子だ。

黙っているのは得体が知れないとはいえ、相手に失礼と思い、この森に入った理由と旅をしている理由を話した。


「その歳で両親をねえ、辛かったろうに」


女性は立ち上がると、リンネのそばにより、リンネの頭の上にポンと手を置いた。

そして聞き取れるか聞き取れないかの声で何か呟くのだ。


「ふむ、嘘はついてないみたいだね」


リンネには聞こえなかったようだが、女性は確かにそう呟いていた。


「今日は夜も遅い、家においで、明日ゆっくり話そう」


女性の言葉にリンネは従った。

正体はいまいち把握しきれなかったが、せっかくの厚意だ、何よりもこの機会を逃せばまた危険にさらされる。


「ありがとうございます、えっと……」


「ラウラ、この森に住んでる魔法使いの名前さね」

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