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猫と狼と魔法使い  作者: リズ
第三章
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盗賊団討伐戦Ⅱ

砦の正門前、リーゼロッテとルティアの二人を上へ送り届け、固く閉ざされた正門を前にリンネは杖を振りかざした。


「怒って炎を使うのはドラゴン達だけじゃない」


振りかざした杖から炎が溢れ、火柱に変わる、そしてそれを振り下ろし、魔力を込めると正門目がけてその炎を解き放つ。

丸みを帯びた巨大な火球が放たれ、正門にぶつかったところで込めた魔力をリンネは暴発させた。

爆発に指向性を持たせるため魔力で作った壁を正門と自分の間に作って、爆風の威力を正門に浴びせる。


するとどうだろうか、経年劣化もあるだろうが、一時は要塞の正面を守った堅牢な扉があっけなく吹き飛んだのだ。


上がる火の手、それにまかれないように自分を魔力の壁で覆って悠々と正門をくぐるリンネ。

その様子を見た砦から出てきた盗賊たちは一歩後ずさったが、さらにその後ろから現れた盗賊の頭目である大柄な男が声を上げ、怯む部下たちを怒鳴りつけた。


「何ビビってやがる馬鹿どもが!! 敵は魔術師一人だろうが!! 囲んでやっちまえ!!

こっちにも魔術師はいるだろうが!! ひねりつぶせ!!」


「は、はい!!」


頭目の言葉にリンネを囲む十数名、それぞれ武器を構え、いつでも切りかかれる態勢を整えるも、目の前の少年は正面の頭目を睨んで歩みを止めない。


「安心してください、皆さん、今日の僕は機嫌が悪いので一人も逃がしませんから」


そのリンネの言葉を合図にしたかのようにリンネの後方にいた二人の盗賊がリンネに剣を振り下ろそうと剣を振りかぶった。


しかしそれが振り下ろされることはない。

リンネが杖でトンと地面を叩くと、途端に辺りに高圧の電流が流れた、盗賊の装備である金属や盗賊そのものの体を伝って広がった雷撃は、リンネの周囲を囲んだ盗賊たちを黒焦げにする。


「詠唱なしでこの威力、ボス、このガキまともじゃねえ!」


「ガキはガキだろうが!! 魔術師共は攻撃しろ! 俺がその後突っ込む!!」


「は、はい!」


頭目の言葉通り、遅れて砦から出てきた魔術師三名がそれぞれ得意な魔法で攻撃を開始する。

一人は炎、一人は水、もう一人は雷撃、シンプルではあるが覚えやすく使いやすいそれぞれの攻撃用アロー系魔術。


各属性の魔法を矢、または弾丸に見立てて放つものだ。


それがリンネを一斉に襲った。

だが、それでもリンネは歩みを止めない。


向かってくる三属性の矢を、リンネは一人で自分の周囲に作って見せるとその三つを同時に放った、しかし両者には決定的な差があった。

魔力の質や、量など目に見えないものではなく、単純に大きさが違ったのだ。


魔術師三人が放った物が矢、もしくは弾丸だとすれば、リンネのそれは大砲。

同属性でありながら、自らに放たれた魔術を容易にかき消すと、リンネの放った魔術は盗賊に身を堕とした魔術師の体を消し炭に変え、貫き、黒焦げにする。


しかし、それを待っていたかのように盗賊の頭目はリンネの懐に走りこむと、剣を薙ぎ、リンネの持つ杖をはじき飛ばして見せた。


「これで魔術は使えんだろうさ! クソガキがあ!!」


「別に、なくてもあなた程度なら問題ありませんよ」


言うのが早いか動くのが早いか、魔力放出のブースト付きで崩れた体勢から回し蹴りを放ち、頭目の脇腹に一撃。

その一撃に頭目は膝から落ちそうになりながらも自分から少し後ろに跳んだ。


「体術……魔術師が体術かよ」


「僕は魔法使いです」

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