リバテブの街
――結局、ルティア1人で野盗全てを制圧し、3人は再び寝床を探し、適当な場所で夜を明かした。
そして――
「ここがリバテブの街ですか」
3人は目的の街に到着。
城壁の門をくぐりながら右に左に、リンネは視線を泳がせる。
「とりあえずどうしよう、まずはギルドの登録からですかね」
「そうですね、まずは待合所に向かいましょう。
次の方針も決めやすくなると思いますし」
石造りの街が珍しいわけでもないが、その規模は故郷と比べるべくもなく。
田舎者らしくキョロキョロ見回しながら歩くリンネ。
ルティアとリーゼロッテは、そんなリンネを後ろから微笑ましそうに見ていた。
以前この街を訪れたことのあるリーゼロッテの案内で待合所へと向かう最中。
「号外!号外!」
と、リンネ達を追い抜いて、中年の男性がなにやらビラを巻きながら馬を走らせて行った。
「事件ですかね?」
と、巻かれたビラが地に着く前に手に取り、ルティアが目を通す。
「……私が写ってますね」
ビラの見出しは「街道沿いの強盗団、メイドによって壊滅」であった。
特に表情を変えるでもなく、それをリンネに渡し、リンネも渡されるままに目を通す。
「最近頻繁に街道で悪事を働いていた強盗団が、3人からなる謎のパーティーにより壊滅。
ギルドに依頼があったが、新人冒険者が多く集まるこの街ではなかなか解決にいたらなかった。
この強盗団制圧を成し遂げた3人はいったい何者なのか」
冒頭部分を読み上げ、下に目をやるリンネ。
そこにはハッキリと、ルティアが1人目の野盗を殴り飛ばしてから、野盗達、ビラの見出しにのっとるなら強盗団が壊滅するまでの様子が動画のように映し出されていた。
「あ~、そういえば誰のか知らないけど、使い魔の蝙蝠が一匹上飛んでたなあ。
へー、転写の魔法は始めて見るけど、こんな感じに映るのかあ」
「マスター、感心はそっちなんですね」
色はセピア調だが、夜の事だったというのに、映し出されているそれは紛れもなくあの時の物。
しかしそんなことには感心が無いのか、知識では知っていても、初めて自分の目で見る魔法に「すごいねー」とまるで他人事のように言いながら、リンネは待合所へと向かうのだった。