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ある魔法使いの話し
森の奥、ログハウスへと帰ってきたリンネとラウラ、そしてルティアの三人。
今日の食事はリンネが作る予定だったのだが。
「今日はせっかくですので、この私ルティアが晩餐の用意をさせていただきます」
と、猫耳を生やしたメイド服姿の少女はそう言い残し、そそくさと台所へと向かっていった。
リビングに残された二人はテーブルへと向かい、対面に座って椅子に腰を下ろす。
そこで、一服のためにとパイプに火を付けたラウラからの言葉を、リンネは待った。
「私の願い自体はね、そんなに身構えるもんでもないよ。
でもそうさね、少し昔の話をしようか。
おとぎ話、絵本みたいな話だがね」
「おとぎ話?」
「まあ聞いてくれてから本題を話すよ」
そう言ってパイプを再び口へと運ぶラウラ。
ちょうどその時、ルティアが台所から二つのカップに水を入れて運んできた。
「ありがとう、ルティア」
「いえいえマスター、礼には及びません。
では今しばらくお待ちを」
ぺこりと両手を前でそろえてお辞儀をすると、ルティアは再び台所へと戻っていく。
ラウラはパイプの火を消し、出された水を一口飲むと、深く息を吸い口を開いた。