魔法の勉強
そして、その日の午後。
昼食後のティータイムを終えた二人は小屋の外に出て歩き始めた。
「リンネ、会ったときから気になっていたんだがね」
「なんです?」
前を向いたままラウラが言った言葉を聞き返すリンネ。
地面から飛び出した木の根を踏み越えた辺りで再びラウラが口を開いた。
「その銀髪の事さ。
リンネはハーフエルフで、もしかしてリンネの本当のお母さんはエルフだったのかい?」
「いえ、お母さんがハーフエルフでした。
僕はその半分ですね」
「クォーターか、なるほど、それにしてはマナの集まりが良い。
隔世遺伝か、先祖帰りか……興味深い事ではあるが、たんにリンネにそういう才能があるってだけかもしれないねえ」
頭に疑問符を浮かべながらラウラの背中を追うリンネの耳に水の音が聞こえてきた。
川のせせらぎだ、遠くでは鳥の声も聞こえる。
少し開けた場所に出た。
そこでラウラは足を止める。
木漏れ日が差し込み、すぐ側には小川が流れ、時折小さな魚が跳ねていた。
聞こえるのは鳥のさえずりと木々の間を抜ける風の音、小川のせせらぎ。
それらが混ざりあって実に心地の良い空間を仕上げていた。
「さて始めようか。
リンネ手を出して、握手だ」
「は、はい」
「よろしい、ではいくぞ」
そう言ったラウラに特に変化はなかったが、直にラウラの手を握っていたリンネは違った。
「暖かい。
水とも空気とも違う、でも間違いなく流れ込んできてます。
これが――」
「そう、これが魔力だ。
今の感覚を忘れないように、しばらく一人でマナを練る事が出来るか試してみると良い。
私はそっちの木陰で寝てるから、どうしても出来そうになかったら声掛けて」
「はい!」