リンネとラウラⅣ
あれから一週間。
リンネはラウラに魔導書を数冊、何度も繰り返し繰り返し、それこそ暗記させられそうな程何度も読むよう言われ、そしてリンネはリンネでそれを実行した。
「魔術の基本、マナの作り方、ふむ、この場合練りかたかな? 理解はできたかい?リンネ」
「まあ、知識だけという感じではあるんですけど。
体内で生成できる魔力、マナには個人差があり、限りがあるので大地や大気に満ちる力を借り、
水、風、火、等の使いたい系統の魔法、魔術を出来るだけ具体的にイメージするのがマナを練るコツであり魔法を使えるようになるための第一歩、とは書いてましたが」
読んでいた本を閉じ、ラウラの質問に答えるリンネは怪訝そうに顔をしかめる。
「言いたいことは分かるよ、そんなことで魔法が使えれば妄想上手な奴は誰でも魔法が使えるでは無いか。
って所だろう?」
「はい。
ですがそうではないのはやはり、素養などの個人差、というかもっと言ってしまうと才能が必要と言うことなのでしょうか?」
眉間にシワを寄せ、首をかしげるリンネ。
そんなリンネを見て、ラウラは笑った。
「ハハハ、リンネこれはね、この第一段階に至っては才能云々ではないんだ。
要は、マナが体内を流れているって言う実感が無いから普通は使えないってだけでね。
他人からマナを注入してもらったり、自然界に流れている、または噴出しているマナその物に触ると存外簡単に扱える物なのさ。
もっと簡単に言えば切っ掛けさえあれば良いのさ。
まあ、そこから先は確かに才能が必要になってくる、もちろんそれ以上に努力しなければいけんがね」
人差し指だけを立て、指先で円を宙に描きながらそう説明すると、パン! と手を叩きラウラは腰掛けていた椅子から立ち上がった。
「よ~し、じゃあ朝の勉強はここまで、昼からは今言ったことを実践しようじゃないか」
「ホントですか先生」
「こ~ら、勉強は終わりって言ったろう? 勉強終わったら私の事はなんて呼ぶよう言ったっけ?」
ラウラの言葉に立ち上がったリンネにデコピンを食らわせるラウラ。
食らった方のリンネは額もそうだが、頬も赤くなっていた。
「あ、えっと、お、お母さん」
「ん、よろしい。
さあ、お昼にしようか」