リンネとラウラⅡ
「修行? ですか?」
「そう、修行」
修行と一概に言われてもリンネの頭には疑問符が浮かぶばかりだ。
旅をするのに最も必要なものは知識だとリンネは思っている。
(勉強させてくれると言う事だろうか?)等と思っていたに違いない。
しかし、ラウラはどうやらそう言う事を言っている訳では無いらしい。
「坊やは旅をするには幼すぎる、このまま旅を続ければ昨日みたいに危険なメにも遭うだろうさ」
「まあ、確かに」
「だから自分の身を護れるように色々教えようと思うのさ、危なっかしいからねえ」
「それはありがたいのですが、何を教えてくれるんです?」
「私は魔法使いさね、教えてあげられるのは魔法だけさ」
リンネは目を丸くした、全く予想していなかった応えがラウラから返ってきたからだ。
魔法というのは確かに存在する、それは昨日自分の目で確認した。
それを自分のような子供が覚え、使えるようなモノなのかと思った。
だからだろうかリンネはラウラの言葉に「え?」と、言う短い疑問系の応えしか返せなかったのは。
「まあ、直ぐに応えなくても良いさ、しばらく考えてーー」
「いえ、あの!」
幼いリンネに決断を急がせる必要はない、と、ラウラはリンネに時間を与える算段だった。
しかし、リンネはそんなラウラの言葉を遮るように声を上げた。
「魔法、教えてください! ちゃんと出来るようになるかは分からないけど、もし教えて頂ける魔法が色んな理由で苦しんでいる人達の助けになるなら」
リンネの言葉にラウラは微笑んだ、思っていた通り、この子は優しい。
例え魔法を教えてもそれを悪さには使わないだろう。
「よし、なら昼から早速勉強に移ろうかね、後悔するんじゃないよ?」
「はい、ありがとうございます!」