1 怒る
俺は嫌われ者だ。嫌われている。
何をしても嫌われる。何をしなくても嫌われる。
生きていることが罪だとでも言いたいのか、誰も俺を好かない。
だから俺も誰も好かないことに決めていた。
しかし、俺の性根がどうもそうはさせてくれない。
とっちらかってる。
顔にある大きな傷が嫌われ者の証である。
これは生まれた時に母親につけられたもので、成長すれば目立たなくなるかと思ったけれど、時が過ぎる度に傷もまた大きくなっていく。
一向に消えてくれそうにない。
とっちらかってる。
快晴だったから散歩をした。
すると、強盗がコンビニエンスストアを襲っていた。
俺に気づいていないみたいだったから、こっそり近づいて大きめの石を後頭部に叩きつけて、気絶させた。ナイフは預かった。
警察が来る前に立ち去ろうとしたけど遅かった。
警察が来ていたし、俺の顔を見て小さな少女が泣いたし、警官たちは俺のことを強盗だと思って殴りつけてきた。
警察がそう簡単に人を殴っていいのか?
無駄に殴られて、何を言っても聞いてくれそうにない。
人間が大嫌いだ。もうごめんなさい、人間が嫌いだ。
人間っていうのは、人の話を聞かないし、暴力が全てを解決すると思ってる。俺が何をしたって俺が全て悪いんだ。
「すまない」
「うるさい。人間になってから謝れ。どうせ人の顔を見て判断したんだ。俺は今まで何かをしたことなんかなかったのに、どうして殴られなくちゃならないんだ」
怒りがとっちらかっている。
「ふざけるなよ、ああ、肋骨を折られた。土下座しろよ、謝れよ。人間になってから謝れよ。知能を高めてさ。お前らみたいな低知能社会不適合者どもは知らない謝罪の意識をちゃんと持ってさ、謝りに来いよクソったれ」
俺は子供が嫌いだった。
少女が親を連れて謝りに来た。睨みつけたら泣いた。
「謝るつもりがないんだな、泣くってのは」
だから俺も心を閉ざした。
水都県、水澤市。クズしかいないクズの国。




