6.地獄の勉強会【歴史編】
1時間みっっっちり受けた魔法学は、最初こそは私自身が知っていた事実と魔法への憧れも相まって楽しく勉強することが出来た。
だが、しかーし!!
生活魔法と対魔物用魔法の魔法回路の違いだとか、魔力血液の話になってくると頭が混乱してきた。………魔力血液については何となくMPのことだろう。
『魔力血液とは、魔法力の元です。自分自身の魔法力量をよく理解しておかなければ、いくら魔法陣を組み立てたところで発動はしません、むしろ場合によっては、魔力の暴発が起きて身体が引き裂かれ最悪、死亡、または魔力貧血を起こして意識を失います。これは戦場では、非常に危険な行為なので魔法士たちは気を付けなければならないのです!』
と、小難しい言い方をしていたがMPのことだと思えばすんなりと納得できた。
…ただ、確かにとても危険だから注意しなければならない。
ちなみに生活魔法は、MPを消費しないらしいっ!なんという便利さ!
そして、魔法回路…これはかなり複雑で無理矢理、理解させた。
”生活魔法”と”対魔物用魔法”の元は、魔力血液という点は同じだ。
ただ、回路の違いというのはどうやら魔法力の放出方法が異なる、という事らしいのだ。
目に見えない魔法力を放出させるのが生活魔法で、魔法覚醒した人は息を吸う感覚で魔法力の放出を行うことが出来る。
この世界では、魔法覚醒した時点で”魔法力検査”を行うことが義務付けられているが、生活魔法で検査を行うらしいのだ。
対して、対魔物用魔法は古い歴史の中で、人間側が魔物に対抗する為に開発された魔法力が具現化されたもの。
幾度となく繰り返されて完成されたのが”魔法陣”であり、”呪文”は魔法陣が発動する為の鍵の役割だ。
現在も魔法陣の開発は進められており、魔法の研究をする人を”魔術師”、そしてその魔術師と協力している開発者を”錬金術師”と呼称されている。
「あ、1時間経ちましたね!それでは、次は歴史についてですね!」
ガーベラ先生は知識になると大変鬼畜だと判明しました。
「あの、ガーベラ先生、少し休憩を…………」
「何を仰っているのです?まだ、はじまったばかりではありませんか!」
とてもきらきらと眩しい笑顔を向けてくるガーベラを見ると、何も言えなくなる。
呆然とする私を無視してガーベラは”イズダオラ王国歴史”の本を開いた。
「では、まず手始めに。お嬢様はイズダオラ王国についてはどこまで知っていますか?」
シレネは、今知るイズダオラ王国のことをを話した。
ーイズダオラ王国
大国国家のひとつであり、今シレネ達が暮らしている国の名称。
聖力発端の地とも云われており唯一、魔王復活を察知できる世界でも重要な国家である。
また、聖女が誕生する国でもあるため、過去500年にわたり他国との戦争が起こることがない平和の国でもある故、魔王復活時は最前線で魔王封印戦争に立つ役目がある。
その為、世界最大の軍事勢力を有しており、ただ純粋に他国との戦争をしたところでまず負けることはないだろうと言われている。
そして、今この国を治めている国王がタイサン・ダリア・グラジオラス国王陛下である。
「―………そして、ヴィオラ国王妃、ザクロ王兄殿下、カルミア第一王子殿下とイキシア第二王子殿下………ですよ、ね?」
「正解です!それでは、この国の歴史についてお話していきましょう。まず―…………」
ー魔王復活と封印
これは、イズダオラ王国と聖女によって大きく世界の危機が天秤にかけられる。
これまでの長い歴史の中で聖女たちが魔王封印を成し遂げてきたが、復活の時期は聖女の潜在能力によって変わる。500年間封印が解かれなかった時期もあれば、僅か100年で解かれてしまったこともある。長き平穏の時を得るには、聖女に強くなってもらわなければならない。
「ただ、真偽については不明でございますが1度、聖女が魔王封印前に殺害されてしまったことがあるそうで……その時に世界では小国、大国関係なく多くの国が魔王軍の手によって滅んでしまった、という話があります」
………恐らく、それは本当にあったことだ。
セカシュウは、グッズや漫画、アニメ化もされるほど人気だった。
そして、公式認定でキャラの裏設定が存在していた。それは、攻略対象者に限らず、魔王軍幹部の裏設定もある。
「聖女誕生は事前に察知するのは、出来ないの?」
「いい質問ですね!聖女になる方の特定は現状できません。ですが、聖女は必ず魔王復活の直前に光属性を覚醒するのである意味では、復活を察知出来た時点で聖女誕生も察知しているようなものです」
「………なるほど」
「それに、魔王復活の日が近づくと魔物が活性化し始めます。………これも噂程度で信ぴょう性に欠けるものですが、どうやら闇属性をもつ人が現れると云われてるんですよ。どういう理由で闇属性を持つのかは不明ですが………人が闇属性を持つなんて怖いですよね」
ガーベラの言葉に胸が締め付けられた。
やはり、私が闇属性を持っているなんてバレてしまえばガーベラ達からもシレネの記憶にあったように恐怖や悪意ある目で見られることになるんだろうなぁ。
そう考えると余計に闇属性のことは徹底的に隠さねばならないと!
考え込むシレネを見て、ガーベラはもしかしてこの話を聞いて怖くなってしまったのだろうかと思う。
「大丈夫ですよ!お嬢様!これから誕生するであろう聖女様が必ず打ち倒してくれますから!」
いや、だめっっ!!
ガーベラには悪いけど私は死にたくないっ!!
…と、思わずそう反論してしまうところをグググっと飲み込んだ。
「そうよね!きっと大丈夫よね」
そう、明るい笑顔で答えた。
よく見れば魔法回路の説明が書かれていなかったので、追記しました。
後付けする形になり申し訳ございません。