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45.休息は終了した




平和で、平穏ではない日常を過ごしていた日々。

それは終わりを告げようとしていた。


―王子 11歳の誕生会


ヴィオラ様の警告から月日は流れて私は11歳を迎えていた。

王家の不和により城から離れ、貴族社会とも離れていたがヴィオラ様が仰るには今年に”動き”があると聞いていた。

王位継承権争いがある今は急にカルミアとイキシアと接点を持ち始めた私に何もない、といことはまずないだろう。今年の誕生会は例年よりも気を引き締めなければならない。


コンコン

「ルリです。旦那様がご到着されました」


身支度を終えた私は扉を出るとやはり皆がいた。

「お嬢、オレが付いてます」


ニッと笑うアスターを見れば自然と笑みが浮かぶ。

ヴィオラ様からの警告を聞いていたアスターもきっと私と同じように今年は気を引き締めているだろう。私はもう1人ではない、その気持ちがあると安心する。


「さぁ、お嬢様。向かいましょう」



♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢




「どういうことっ!?」


1年ぶりに潜る王城の門。

既に見慣れているとはいえ立派なお城から威厳を肌で感じる。だが突如甲高い声で怒鳴るのを耳に入れば意識はそちらへと向かれた。


見たことがない小さなご令嬢だ。

ローズのきれいな髪色がまず印象に残った、何度も王子の誕生会に出席している私が見たことがないのであれば初出席なのだろう。顔は見えないが背丈は私とあまり変わらないので年齢も同じくらいだ。

父上と母上はその声に見向きもせずに歩みを進めるので、私も視線を前に向けた。

…一体何に怒っていたのだろうか。


笑顔を張り付かせ心で呟いた。



会場内に入れば多くの視線が向けられる、悪意のある冷ややかな目の注目の的にもなる。

ただ今回は少し違った”クレマチス公爵家”に明確な敵意を向けている貴族もいる、分かりやすく張りつめてこの国の王子の誕生会だというのにと呆れてもしまう。


「グーロ伯」

「ホーセ公、ご無沙汰しております」


父上が声を掛けていた。

見たことがない夫妻だった。



「お初にお目にかかります、シレネ公爵令嬢。私はグーロ・バイモ・ヴィスカリアと申します。そして

「エリカ・バイモ・ヴィスカリアと申します」


ローズピンクの綺麗な髪を揺らし、丁寧にお辞儀をするエリカに肝を冷やす。


イキシアの婚約相手になる家系だ。

エリカの方ではないもう1人いるはずだ、姉の方が婚約者になる。



「父上っ!!何故私を置いていくのですっ!?」



王子の誕生会、という高貴な社交場で会場内に響き渡る程の大声でカッカッと勢いある歩き方で1人のご令嬢が近づいてきた。

サーモンピンクの髪を揺らし顔は怒りに満ちてる、お世辞にも令嬢としての淑女マナーがなっていない。見ているこちらの方が冷や汗が出そうになる。


「…コデマリ」

溜息を我慢しているグーロ伯爵に同情する。



ただ、彼女がもう1人の婚約者、コデマリ・バイモ・ヴィスカリア。

彼女もまたゲームとは似つかわしくない性格だった…。



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