海賊船の居場所
◆ ~海賊船ヴェンディダール号 ブリッジ~ ◆
警告を告げる赤色灯の明滅に対し停止命令を下すのは副長のウォードだった。
「いったいこれで何回目の停止命令だ。まったく」
2m近い黒人男性の体格で頭はスキンヘッド。鍛え上げられた肉体だが、その表情は固い。
次元断層から脱出したものの、現在地不明。
しかも次元定着がいまだ不完全であり、外部情報の収集に難航している段階であった。
いわばこの世界に半分だけ顔を出しているような状態に近い。
この世界への定着が一部分でも不完全であれば対消滅をしてしまう危険性があった。
その間、外部の修理を行えず、内部修理に徹してきたが様々な問題が鬱積していたのだ。
キャプテン不在によりクルーの不安が増大。
酒におぼれる者たちが続出。しかも艦内の酒を飲みつくしてしまい荒れに荒れる食堂。
なんとかウォードたちが宥めてはいるものの、いかにキャプテンの存在が大きかったかを突きつけられていた。
「いったいキャプテンはこんな奴らをどうやってまとめてたんだ」
「副長は真面目すぎるんです」
そうお茶を差し出したのは、金髪エルフ様の容姿をした通信担当のクルー、レティだった。
「すまんな、さっき整備班から連絡があって定着化は遅くても後60時間ほどで完了するだろうとのことだ」
「キャプテンのことです、絶対無事ですし何かやらかしてますって。ミフユだっているんですよ?」
「そうだな、そう、ミフユか。ふむ、なんだか不安になってきたんだが」
「あっあははは、なんだか私も」
海賊船ヴェンディダールは、次元断層から脱出したはいいもののその転移先は厚い岩盤の中であった。そのために定着化が大幅に遅れてしまいサザンクロスとの連絡もつかないという苦境に追い込まれていた。
そう、ヴェンディダール号の現在位置は……都立台間高校のほぼ真下。
地下100mのところにあった。
いまだ合流への道は遠い。
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