~赤き竜を駆るもの~
竜騎士、スペースオペラ、英雄譚が大好きな人、応援よろしくお願いします。
主人公とともに、作者の執筆レベルも向上出来たらと思います。
惑星間航行ができるようになって、200年。人類は、それまで未知の世界であった地球以外の星々に、アークと言われる有人飛行シャトルで行き来きできるようになり、かつてない惑星間の交流が盛んになっていた。
そんな時代・・地球圏、日本の四国地方山間部。暗闇のなかで、一人の少年が息をのみ静かに瞑想し、繰り返し同じ言葉を発していた。「流星と駆ける、紅の翼、紅の爪をもつ真紅の竜をかたどるものよ、我の求めに応じ、召喚に応じよ」この一族の石碑に刻み込まれている文言を少年は、今まで何千、何万回と詠唱してきた。少年がいる、洞窟のなかは、湿気が多く、かがり火だけが揺れている。額からは、汗が嫌でもながれでる。
「あーくそ、今日も駄目か」「また、燐火に馬鹿にされるな」と一つ下の幼馴染の顔が浮かんでは、思い出したくないのでイメージを霧散させる。「今日は、帰るけど、明日こそは」と今までと違う明日を想像し、暗くなった彼の住む世界で、星々を見上げながら帰途につくのであった。
「一馬!いったい、どこに行っていた。何時だと思っている。また、あの洞窟に通っていたのか!あれほど、一族の墓所である洞窟に近づいてはならんと言って聞かせてきたじゃろうが」初老はとうに、越えたが熱気あふれる一馬の祖父が自宅のテラスで日本酒瓶を片手に、こちらを鋭い眼差しで睨んでいる。この家は、一馬と祖父の二人暮らしである。木造で作った、ウッドハウスは昔、彼の父と祖父が建てた物だが、父と母が死んで数年の間で、手入れが行きとどかず、苔が生えるなど自然と同化しているところも見られていた。
「じいちゃん、俺は赤き竜を召喚して、父ちゃんみたいな機動竜騎士乗りになるって誓ってるんだ、明日にだってこの田舎から宇宙へ、赤き機動竜に乗って旅立ってみせてやるぜ」彼の祖父は、嘆息して「機動竜なんて、この宇宙時代におとぎ話なもんじゃ、アークで惑星観光しているほうが、平和ボケのアホ一馬にはおにあいじゃな」とあきれ顔、この問答を毎日くりかえさにゃならんのかと、酒を飲みながらボヤいている。「いずれ、じいちゃんも昔の悪事でお縄にしてやるから」と一馬は海賊稼業を一時期していた祖父に言い返すのが精一杯であった。「じいちゃんも燐火も同じこといいやがる」「必ず、宇宙で一旗揚げてやるからな」と意気込んで自室のベッドに潜りこむと、すぐに眠気が襲ってきて寝息を立てる。ドゥーン、地鳴りのような振動でベッドが跳ねる、寝ていた一馬は、布団ごと床へ投げ出され、痛みで悲鳴を上げるはめになった。「なんだ」窓から見すえた先は、暗闇ではなく紅の空であった。空にあるのは、鋼鉄でできた、鋼の船。その船に描かれたエンブレムは、一角獣のユニコーンの紋章。「なんで、こんな田舎に共和国の軍艦が!」共和国は、地球圏の隣の星系の小国家である。正式名は、アルタ共和国、地球とも国交のある国で農作物や牧畜で生計を立てている国である。「あの軍艦は、襲われているのか。メインブリッジに亀裂があるし、船のコアがまる見えじゃないか」炎と爆発が繰りかえし、空に踊る。その時、軍艦から一筋の影がでるのが見えた。「小型艇?脱出したのか、洞窟のほうに降りていく」一馬自身も、気持ちが高揚しているのがわかるほど、胸が高鳴って、心臓の鼓動が伝わってくる。その時、テラスに祖父の姿は見えなかったが、其のことに気づくことすらできず、一心に小型艇が向かった方角から目をはずせないでいた。一馬は、走り出す。漆黒と紅の炎があたり一面を照らすなか、一心不乱に。「体が熱い、今までないくらいに熱い」一馬の心臓は、酸素を含んだ血液を熱い血液を体中に送り出した。洞窟までたどり着いたとき、中から銃声と怒声が聞こえる。「私をだれだと思っている。非礼はゆるさぬぞ」若い女の声がすると同時に、銃声。一馬の足も一度止まりかけるが、高揚に突き動かされ、洞窟に足を進める。そのには、髪をまとめた軍服の女性が倒れ、高貴なよそおいで身分の高い人だとわかる、一馬と同じくらいの女が悲壮な顔で追跡者と対峙している。追跡者は、全員、黒ずくめで頭巾に仮面と武装しており、幽鬼のような雰囲気をまといたたずんでいた。一人が一馬に気づき、振り返る。「坊主、運がないなあ、こんなところに逃げてくるなんて」一人の仮面の男は、軽い話声で近づいてくる。そして、銃を向け一馬へ発砲。女の悲鳴とともに、一馬の意識は暗転する。痛みは感じられないが、血が地を這うほど流血している。「関係ないものまで、まきこむな」高貴なよそおいの女は批難を強める。「なあに、足の大動脈をきずつけて、少し血が流れているだけですよ」銃を撃った男は、ヘラヘラと答え「犠牲を増やしたくなければ、素直に協力して頂ければよいのですよ」と恫喝してみせる。一馬の血が地中を伝い地下にも到達したとき、無意識の一馬に、いつも洞窟で繰り返していたあの文言が蘇る。「流星と駆ける、紅の翼、紅の爪をもつ真紅の竜をかたどるものよ、我の求めに応じ、召喚に応じよ」かつてないくらに、明確にはっきりとイメージに乗せて。その刹那、咆哮。竜の。地面に亀裂がはいり、そこに立つものは例外なく地の暗闇に飲み込まれていく。一馬は、赤い光に包まれていた、そして宙をゆっくり下降していた。「痛い、なんだよこれ、俺死ぬのか」「あの女性は」そして、一馬は、意識を消失する。次に、目を覚ました時は、液体のはいった筒状のケースにいた。そこは、とても心地よい気持ちであった。ガラス越しに、見つめる影がある、赤い髪をした女性のようだったが、こちらに声を掛けているようだったが、一馬の耳には届いてはいなかった。
一部ですが、読んで頂きありがとうございまいた。
続きは、できしだい更新していきますので、楽しみにしてください。
コメント宜しくお願いします。