3.ガダルザン砦奪還作戦
王都への帰り道、チーナから連絡があった。自軍の被害は大破32機、中破15機、対して敵軍のおおよその撃破数(大破まで持ち込んだ数)が49機だという事だった。数としては圧倒的な勝利だと聞かされる。しかしアイリーは戦闘で多くの被害が出た事を辛く感じていた。別に余裕で戦えると思っていた訳ではない。ただ戦争のイメージが今までの戦闘と異なり過ぎた。全体が雑然としていて、自分の見える範囲、手の届く範囲があまりにも狭い事がショックだったのだ。
「アイさん大丈夫ですの?特に大きな傷跡とかは見当たりませんが」
「リムちゃんありがとう。私は大丈夫。イルナも問題無い範囲だって言ってるし。みんなも大きな怪我が無くて良かった」
そうは言いつつも、同じ部隊としては紅薔薇騎士団の巨鎧が1機大破で搭乗者も死亡し、他にも2機が中破している事がアイリーに重くのしかかっていた。こんな状態で自分が部隊の指揮官をするなど本当に出来るのだろうか。
「初陣で色々ショックを受けているかもしれない。しかし、これが戦争です。我々は多くの犠牲の上に立ち、その意思を継いで戦い続けています。亡くなった者の事はきちんと弔いましょう。でも、次の戦いにはそれを引きずらないように」
チーナから部隊全員に言葉がかけられる。騎士団の者は何度もこんな経験をしてきたのだろう。アイリーはもし同じように仲間を亡くしたら、それを受け止められるだろうか。そうならないように仲間だけでも助ける事は出来ないだろうか。そんな事を考えて、自分が戦争に参加する意味を取り違えてきている事に気が付いた。自分が守るべきはもっと大きな存在だという事に。
「マスター、何か悩み事ですか?」
「うーん。悩みっていうか、自分の考え方がまだまだ甘かったって思ったんだ」
「自軍の被害でしたら、チーナ様が連絡した通り想定の範囲内です。なるべく被害を抑えた戦い方をした場合、戦闘の長期化、作戦の失敗もあります。短期決戦を望んでいたので策などの仕掛けを作る事は難しかったでしょう」
コクピット内でイルナが慰めてくれる。全体の流れや今後の事を考えれば今回の作戦がベストで、それ以上の方法はアイリーには絶対に思い付かないだろう。そういう意味で軍師グストが決めた通りにアイリー達は戦うしかなく、イルナが危惧していたグストが裏切り者だったら負ける、という意味がようやく分かってきた。
「アイはもっと、こう、自分が無理すればどんな人でも助けられて、どれだけ敵がいても倒せるんじゃないかって思ってたんだ」
「単騎で出来る事には限りがあります。それを補う為の集団であり、相互に協力しつつ戦う指示が出ています。皆さんは今回特殊技能を使わなかったので、その分能力が発揮出来ていなかったのは確かです。ですが、他の部隊に比べてもマスター達は十分な戦果を上げています」
「ありがとう、イルナ。そうだよね、力を合わせて出来る事をやればいいんだよね。うん、アイももっと頑張るよ」
自惚れではないけど、王様に呼ばれて特別だと感じていたのは確かだ。でも、軍隊に組み込まれれば自分もその一部でしかないと理解出来た。だったら、その中で出来る限りの事をやればいいんだとアイリーも納得したのだった。
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「アイリーさんとシリミンさんが9機。リムールさんとレイネンさんが7機。エルータさんが撃破に協力したのが12機。セリュツさんが撃破に協力したのが10機。素晴らしい!記録した映像も見せて貰いましたが、予想以上の活躍です、皆さん」
軍師グストが興奮気味に喋る。城に帰還後、すぐに会議室に案内されると、王様を除いた前回と同じメンバーでの会議が始まった。撃墜数はあくまで自己申告で、そこまで正確な数ではないが、情報としては十分らしい。
「私の目から見ても6人とも十分戦争に参加出来る能力はあると感じました。予定通りガダルザン砦攻略作戦を進めていいかと」
「そうですね。では、早速説明に入りましょう」
既に攻略作戦の内容は出来ているらしく、グストが楽しそうに話す。胡散臭い人物ではあるが、自分の能力を発揮出来る話し合いが大好きなのは見ていて分かった。
「前回の作戦で戦った敵軍の情報を見た限りでは帝国の主力である灰狼騎士団の数が少なく、また黒騎士の部隊も確認出来ませんでした。その事から敵軍はまだ戦力を温存し、撤退した敵も含めて、ガダルザン砦周辺には150機以上の巨鎧が控えているでしょう。総力戦で戦った場合、こちらの被害も拡大し、その後の戦いに影響が出てきます。ですので今回は少数精鋭で砦を攻略しようと考えました」
「どういう事だ?」
「今回の作戦の主力はアイリーさん達の部隊で、補助として橙獅子騎士団、他に補助部隊を入れて、60機ほどで攻略して貰おうと考えています」
「その戦力差はあまりにも無謀じゃないか?失敗しても被害が少ないようにあたしらを使おうとしてるんじゃないんだろうな?」
エルータが話を聞いて突っかかる。確かにグストが言っている事はアイリーにも無謀に思えた。
「文句は話を最後まで聞いてからにしてもらえれば。まず同時に南側でも反攻作戦を行うので、敵の戦力が砦だけに残る事はありません。灰狼騎士団は砦の警護に付いているので恐らく黒騎士の部隊を中心に南に回されるでしょう。次に砦自体の守備力も東からの進攻に対しては堅牢ですが、西からの進攻にはあまり対応していません。なので少数でも十分勝機はあるのです。あとはあなた達の巨鎧の能力を活かした作戦を考えていますので、それを聞いて下さい」
グストが自信満々に作戦の説明を開始した。アイリー達は話を聞きつつ、不安な箇所はきちんと確認する。そして一通りグストの作戦の説明が終わった。
「わたくしの役目については問題ありませんが、レンとシンさんの役目が危険過ぎませんか?」
「リム様、わたしなら大丈夫です。これぐらいやってみせます」
「ボクも大丈夫」
「ロガンの透明化を見破る特殊技能が無いとは言いませんが、今のところ無いので、今回も大丈夫だと考えています。スーライの能力も並大抵の巨鎧相手なら問題無いという認識です。強敵と言っても黒騎士か灰狼騎士団の団長機ぐらいで、その2機と同時に戦う事は無いと思いますし」
グストが見解を述べる。アイリーも気にはなるが、うまく行くかどうかは実のところ分からない。
「自分からもいいかしら?話を聞いたところロガンの特殊技能がかなり重要な位置になると思うけど、魔法とかで集中攻撃された場合は大丈夫なのかしら?自分は別の指示が出てるからリムちゃんの魔法防御に力は割けないし」
「その点でしたら王国の魔術部隊から腕利きを準備してもらう予定ですので、大丈夫です。ただ、何かしら予想外の展開はあり得ます。今回の作戦は複数の行動が全て意味を持ってきます。もし何かしらの理由で作戦の一部が失敗し、それに対して他の誰かがフォロー出来ない場合、即座に撤退して下さい。継続して乱戦になったら数で負けている自軍に勝てる見込みはありません」
「了解です、きちんと判断出来るように頑張ります」
アイリーは自分の指示で作戦が進むので、撤退の判断もする必要があるのだと理解した。複数同時に進むので、本当にそれを自分が管理できるのか不安でしょうがないが。
「また、黒騎士が出てきた場合は、必ず腕利きの者が2人、または3人以上で相手して下さい。前回の紅薔薇騎士団の話によるとテレポート、またはそれと同等の特殊技能で移動してきた可能性が高いです。敵が突然現れても驚かず、冷静に対応して下さい」
「努力します」
「あたし達もいるからそんなに気張るなよ」
「そうですわ。指揮官はアイさんですが、みんなでフォローしますのでアイさんなら出来ると思いますわ」
「二人ともありがとう」
エルータとリムールが言ってくれて少しだけアイリーは気持ちを持ち直す。
「アイリー殿、気張らずやれば貴方なら大丈夫だと確信しています。私も参戦したいところですが、別の作戦の方に参加するのですみませんがよろしく頼みます。
紅薔薇騎士団としては参加は出来ないけれど、アイリー殿達の人数では部隊としては少ないので、6人ほど紅薔薇騎士団から一時的に派遣する事になりました。前回一緒に戦ったメンバーだから少しは気が楽だと思います」
「ありがとうございます、それはとても助かります」
砦攻略作戦はアイリー達6人にそれぞれ役目があるので、それをフォローしてくれる人の存在はとてもありがたかった。
「あと、国王様からアイリー様達の部隊に正式な名前を頂いています。白嵐騎士団です。名乗りを上げる時に使って下さい」
巫女ルルンから突然言われてアイリー達は驚く。
「そんな、まだ参加したばかりで騎士団なんて立派な肩書は」
「肩書は重要ですよ、相手を怯ませるのに必要です」
「そんなに気張らなくて大丈夫ですよ。戦争で人数が増えた分、ここ数ヶ月で新たに出来た騎士団も複数ありますから」
グストとチーナに言われてアイリー達はとりあえず今回の作戦では白嵐騎士団の名前を名乗る事を了承したのだった。その後、アイリー達は気になった部分などを何度も確認し、地形や他の部隊の構成なども把握していった。
終わった時には日が暮れ、夕食も紅薔薇騎士団の宿舎で遅れて取る事になったのだった。翌日には作戦が開始される為、アイリー達はそのまま与えられた部屋で休む事にする。部屋への移動中、アイリーはリムールに誘われ、その後を付いて行ったのだった。
「うわぁー、凄いねー」
アイリーは目の前に広がる景色に感嘆する。連れて行かれた場所は城のバルコニーだった。眼前には夜に光る町の灯りや、瞬く一面の星空が広がっていた。とても戦争中の景色とは思えなかった。
「ここは昔、姫様達とよく遊んだ場所なのですわ。国を守る騎士を誓い合ったのもこの場所です」
「やっぱり、リムちゃんは凄い貴族のお嬢様なんだね」
「違いますわ。立派なのはお父様とお母様で、わたくし自身はただの子供でしたわ。でも、あれから時が流れました。少しでも成長していれば嬉しいのですけれど」
リムールがアイリーと肩を並べる。その顔は少しだけ愁いを含んでいた。
「アイはリムちゃんは十分立派だと思うけどな。神官騎士になって、アイがやる前から色んなところを飛び回って機獣を退治してたんだから」
「でも、それはわたくしの実力とは少し違いますの。聖教団での地位だってわたくしの家柄やお父様の評判あっての物ですし、そのおかげでルルトを預けて貰え、ルルトの力が有ったから機獣退治も何とかやってこれたのですわ」
「そうじゃないでしょ。リムちゃんは生身での剣技も凄いし、巨鎧に乗っての剣術だってアイと同じ条件ならずっと強いじゃない。それこそ巨鎧に頼ってるのはアイの方だよ。リムちゃんは今まで努力して、聖教団に入って、その後も努力を続けてる。アイはリムちゃん自身が立派だと認めるよ」
アイリーが力説するとリムールは小さく笑った。
「本当にアイさんには敵いませんわ。そうですね、自分の行いまでは否定しないようにしないとですわね。アイさん、今回の作戦の件で一つだけ言っておきたい事がありますの」
「何?」
「決して無理をしないで下さいね。確かに指揮官という立場は大変だと思いますわ。だからといって気張り過ぎず、困った事がありましたらわたくしを、いえ、わたくし達を頼って下さいな。皆さん気持ちは一緒だと思いますわ」
「そうだね。うん、みんなの事、頼りにしてる」
「あと、もし黒騎士が出てきたら決して一人で戦わないで下さい。姫騎士様を倒した実力は侮れないです。みんなで力を合わせて倒しましょう」
「分かった。って、言いたい事一つじゃなかったね」
「そうですわね」
そうして二人で微笑みあう。アイリーはリムールがいてくれて本当に良かったと思った。剣の指導だけでなく、旅の仕方や偉い人達との話し合いなど、リムールに教わる事は多い。
「リムちゃん、本当にありがとう」
「突然なんですの?」
「ここに連れて来たのも私の緊張を解く為だよね。今までもアイが困った時はいつもアドバイスしてくれたし、手助けしてくれた。リムちゃんがいなかったらアイはここには居なかったと思う」
「わたくしは……。いえ、いいんですの。アイさんは友人であり、戦友であり、憧れでもあるのですわ。だから、支えて、見守って、共に戦いたいと思いますの。それこそわたくしの我儘にも付き合ってもらっていますし、お互い様ですわ」
「絶対みんなで生きて帰ろうね」
アイリーは自然と手を差し出す。
「分かりましたわ。信頼してますからね、騎士団長殿」
リムールは少しだけふざけつつ、その手をギュッと握り返したのだった。
********
城に戻ってきた翌朝、午前中には作戦に出発するので一同は紅薔薇騎士団の格納庫で各々準備していた。前回使った通信装置を今回も貸出する許可は貰えたが、イルナが作れると言っていたので、アイリーは壊す事も考えて断っていた。イルナには人数分(部隊に加えてもらった6人を加えた12人分)耳に付ける通信装置を作ってもらい、一度みんなに集まってもらう。アイリーはイルナから聞いた操作方法を説明した後、全員にそれを配った。
「説明した通り全体への連絡の他に、個別に通信も出来るから、気になる事があれば自由に使ってね」
「ありがとうございます。アイリー団長、以前もしましたが、今回は新たに白嵐騎士団としての参加なので簡単に自己紹介させて下さい。わたしはミアン・ダレーゼと申します。巨鎧の武器は槍です」
「じゃあ次はあたしが。シーム・ソシアルです。武器は短剣で、素早い動きが得意です」
「はいはい、次は私!トトリ・グリリイス!6人で一番若い15歳だよ。武器はハンマーで、力仕事なら言ってね!」
「わたくしはツムリン・ソワです。貴族出身でリムールさんとは昔舞踏会で会った事がありますね。武器は剣ですわ」
「ワイム・トリオンよ。エルフさんを除いたら一番年長かしらね。武器はウィップ。あんまり近寄ると危ないから気を付けてね」
「……私も?エトア・クレレド。武器は斧。以上」
6人が順々に自己紹介してくれた。アイリーは一生懸命名前と顔を覚えようとする。年齢も身長も見た目もバラバラで個性的な面々だった。
「えーと、一応騎士団長になるアイリー・クリアロンです。皆さんとは前回一緒に戦ったし、チーナさんからも色々聞いてるから、その時々で色々お願いすると思います。白嵐騎士団という名前で戦うのはこれで最後かもしれませんが、宜しくお願いします」
「「はい!!」」
アイリーが深く頭を下げるとみんなからは威勢のいい返事を貰えた。本当は誰一人として死んだり怪我したりして欲しくないが、それが無理な話だとは理解している。だから、精一杯騎士団長としての役目を果たそうと思うのだった。
その後、出発の準備をしていると女性の城の召使から声がかかる。今回一緒に作戦に参加する橙獅子騎士団の団長が呼んでいるそうだ。紅薔薇騎士団の施設は男子禁制なのでアイリーは待っているという近くの通路へ向かう。その話を聞いたエルータとリムールも付いてくるのだった。
「私が白嵐騎士団団長のアイリー・クリアロンです」
「ん?お前がか。ふーん、あんまり強そうじゃないな。俺は橙獅子騎士団の団長、ゲオード・ゾシラだ。紅薔薇と一緒で女だけの騎士団なんだってな。本当に大丈夫か?命令だからお前に従いはするが、あんまり無能なら勝手にやらせてもらうからな」
髭面のごっつい中年がそこに待ち構えていた。確かに腕力ではアイリーはひとたまりも無いだろう。
「貴方、女性に向かって失礼ですわよ」
「リムちゃん、いいの。そうですね、不安になるのは確かかもしれません。でも、私達も命を賭けてこの作戦に参加します。司令官という立場であり、あなた達の命を預かる事も理解しています。気になる点があれば何でも言って下さい。ただし、作戦の指示には絶対に従ってもらいます」
「ほー、言うじゃねーか。まあ、軍師殿の推薦だ、命令には従うさ」
アイリーが精一杯の虚勢を張って言うと、ゲオードはそう答えて去っていった。
「なんなんだよ、嫌な奴だね」
「橙獅子騎士団は傭兵も含む荒くれ者の集まりだと聞いていますわ。そんな連中との作戦で本当に大丈夫なのかしら」
「エル、リムちゃん、グストさんが選んだって事はそれだけの実力があるんだと思うんだ。私も好きじゃないけど、でも、作戦は別。こっちが信頼しなければ相手も信頼してくれるわけないと思う。だから、私は信頼するよ」
「アイさんがそう言うのでしたら、わたくしはそれに従いますわ」
「まあ、そうだよね。仲間割れしてもいい事なんて一つも無いし、荒くれ者だったらそれに相応しい戦いに参加させてあげればいいんだしね」
「ありがとう、二人とも。戻ろう」
アイリーは二人に支えられてると感じつつも、自分も司令官の役割が少しでも果たせていればいいな、と思うのだった。
昼前にアイリー達はガダルザン砦奪還作戦の為、城から出発した。巨鎧の速度なら日が暮れる前には目的地に辿り着く予定だ。夜襲にしない理由は敵も巨鎧なので夜目が効く事と、敵を誘い込む作戦なので敵の統制が取れていた方が都合がいいからだという。チーナ達紅薔薇騎士団が参加する別の作戦の部隊は既に出発している。砦から敵の一部の部隊を離れさせる意味もあるので、そちらの作戦との連携も重要なのだった。
アイリー達は60機の巨鎧からなる戦闘部隊と5機の巨鎧と機動馬車の補給部隊で王都から連なって移動する。先頭がアイリー達白嵐騎士団の12機、続いて射撃型や魔術型や神官型からなる援護部隊の15機、その後ろに補給部隊を挟んで、最後が先ほどのゲオード率いる橙獅子騎士団33機である。数は橙獅子騎士団の方が圧倒的に多いが、今回の主力はあくまでアイリー達白嵐騎士団になっている。アイリーは橙獅子騎士団のメンバーから不満が出ない事を祈った。
道中の敵軍は別の部隊が既に排除しており、罠も無く、無事にガダルザン砦の2000メートル前まで辿り付いていた。辺りは草木もまばらな岩肌の山間部で、砦は高い位置にあるのでこちらの動きは丸見えになっている。砦は山と山の間に作られ、高さと頑丈さで巨鎧でも簡単には破壊出来ず、ジャンプして超える事も難しい。東の町から王都に向かうにはこの砦を迂回するとかなり遠回りになるか危険な山越えが必要になるので、戦略的に重要な拠点だったのだ。
「皆さん、味方コードは94992です。必ず設定して下さい」
アイリーは全軍に向けて叫ぶ。イルナがきちんと全機にコードが設定された事を確認する。
「説明された作戦の通り、初動は白嵐騎士団が行います。続いて予定通り順次指示を出しますので、対応をお願いします。何か異変がありましたら私、騎士団長のアイリーか、同じく白嵐騎士団のメンバーに報告して下さい」
アイリーは緊張しつつも、全員に向けて話をする。イルナの中にいる分、少しだけ自信を持てた。
「それでは進軍を開始します。全軍付いて来て下さい」
「マスター、大丈夫です。ワタシも全軍の動きを確認し、何かおかしな箇所があれば報告いたします」
「ありがとう、イルナ」
先頭は透明化したレイネンのロガンと、既に下着姿でスーライに跨ったシリミンだ。2人が先鋒となり作戦の最初の1手となる。
「レンちゃん、シンちゃんが今回一番重要だと思う。大変だけど、頑張って」
「分かりました。わたしは透明化してるのでシン様よりは安全かと」
「ボク素早い。スーライ強いから大丈夫」
そして砦が見えてくる。砦は幅が800メートルほどあり、高さも12メートルはある。上部には巨鎧が乗れる偵察と射撃用のデッキがあり、射撃型と魔術型の巨鎧が並んでいて、所々にその護衛役の兵士型や探索型の巨鎧がいる。そして砦の前には既に敵軍が展開していた。
「敵の数、砦の上部に18機、砦の前に106機、内部や背後の数は不明です。既に戦力は自軍の倍以上上回っています」
分かってはいたが、直接目の前で見るとアイリーもその戦力差に少しだけ怯む。それでも別の作戦のおかげで敵の戦力が減っていたので敵の数は予定の範囲内だ。
「それじゃあレンちゃん、シンちゃんお願い。リムちゃんも準備を」
「了解しました」
「行ってくるね、アイお姉ちゃん」
「準備出来ていますわ、アイさん」
「では、作戦開始!!」
アイリーの合図でまず見えないロガンとスーライに乗ったシリミンが走り出す。シリミンはまだ同化しない。その後にリムールのルルトが続き、少し離れてアイリー達の最初のフェーズで動くメンバーが続く。敵もこちらの動きに気付いたが、敵から見えるこちらの先頭は金属の獣に乗った獣人の少女である。相手は呆気に取られて、シリミンが巨鎧の間を砦に向かって進むのをただ見ていた。
「敵だ!そいつを倒せ!!」
途中から怒声が飛び交い、ようやくシリミンが敵として認識される。最初はスーライが華麗に巨鎧の攻撃を避けていたが、敵が囲うように立ち塞がろうとしたので、シリミンはようやくスーライと同化した。同化したスーライは強く、砦への最短ルートの邪魔になる巨鎧を攻撃し、破壊しつつ砦へと近付いていく。目視は出来ないが透明化したロガンも砦に近付いている頃だろう。
一方その後に続いていたルルトも砦の上の射撃型や魔術型の射程に入る。が、構わず突き進んだ。この距離では射撃は当たり辛く、ルルトは魔法耐性も高いからだ。後方の援護部隊からルルトに魔法耐性と防御力強化の魔法がかかる。これでルルトもそう簡単には倒されないだろう。
「では、行きますわよ!!」
ルルトは砦の前に展開している敵部隊にぶつかる前に立ち止まり、手を上に上げる。そして、特殊技能を発動させた。砦と平行に幅400メートルほどの光の壁が出来上がる。放たれていた射撃や魔法は光の壁に当たり消滅していく。
「エル、セツさん、お願い!」
「任せて!!」
「じゃあ、ちょっとだけ頑張るわ」
アイリーはイルナを壁の所まで移動させ、砦の方を見上げる。他の巨鎧も光の壁の背後に入り、射撃や魔法攻撃から身を防ぐ。エルータはオクシオを光の壁の近くまで移動させ、壁の下の地面に向けて地の弾を放つ。すると光の壁の下に巨鎧が1体潜り込める穴が開き、オクシオはそこに潜り込んだ。
「エル、レンちゃんはもう砦の上部に登って左から破壊を開始してる。先に護衛の兵士型を倒そう。左から30メートルの茶色の兵士型を狙って」
「了解!」
アイリーはエルータにだけ連絡を送り、エルータから返事が来る。地面の下から光の壁の向こう側を覗くオクシオは言われた敵に狙いを合わせ、射程の長い風の弾で兵士型を撃つ。砦の上に立つ兵士型が風に切り刻まれ破壊されるのをアイリーは確認した。左側の射撃型や魔術型は順々に見えない刃に刺され、倒れていく。レイネンが透明化したロガンでコアを貫いているのだ。
「こっちも順調よ」
セリュツから個別の連絡が来たので砦の上部の右側を見ると、スーライが暴れて魔術型を破壊しているのが見え、また、仲間である筈の兵士型と探索型が近くにいた射撃型を破壊しているのが見えた。セリュツがソシアの特殊技能で敵を操っているのだ。セリュツはスーライと同士討ちしないように気を付けているようで、敵は混乱し、反応する前に倒されていくのが分かる。
「アイ、護衛は倒した。あとは中央付近からでいいのか?」
「うん、穴を変えつつお願い」
ロガンは一度弾を撃つと穴を出て、少し移動してまた地面に穴を開けた。同じ場所にいると敵の射撃型に気付かれて狙われるからだ。そして空いた穴は友軍の射撃型が有効活用する。敵軍が近付くと、敵側の射撃が止まるのでこちらが下から地上の敵へ射撃を放つのだ。敵の数が増えて来ると対処出来ないので射撃型は穴を出る。そして穴から光の壁のこちら側へ入ってこようとする敵を待ち構えて倒すのだ。複数の巨鎧が待ち構えているので、1体ずつしか入れない敵に成す術はない。
しばらくすると敵もさすがに穴から攻めるのは無駄だと気付き、光の壁の左右の端へと向かう。もちろんこちらもそれを待っており、魔術型と射撃型が端から近付く敵を狙い、接近した敵は複数の巨鎧で倒していた。あとは時間との勝負だ。
「アイさん、もうすぐですわ」
「左側、制圧完了しました」
「右側ももう少しよ」
砦の上部に居た左側の敵はレイネンとエルータで全機破壊し、右側もシリミンとセリュツで残り2機まで減らしていた。数で劣る分、砦の上部にいる敵が最初の障害になる。それを排除するのが最初のフェーズの狙いだった。そろそろロガンの光の壁の限界時間だ。
「マスター、敵の残数は97機まで減りました。見たところ増援の気配もありません」
「突撃部隊、準備を。私に続いて下さい!」
イルナの報告を頭に入れ、アイリーは中央に集まっている橙獅子騎士団に向けて叫ぶ。ようやく自分の出番だ。ここからの動きが作戦の成否を左右する。イルナに突撃用のランスを作ってもらい、かつ、装甲も突撃に特化し、敵を跳ね除ける形に変化させてあった。
「防御壁解きます!」
「全軍突撃!!!!」
アイリーはロガンの横を助走をつけて駆け抜ける。光の壁の消えた先には既に敵が集まっていたが、タイミングを合わせたアイリー(イルナ)はそれをランスで吹き飛ばして進む。それはまさに引き絞った矢のようであり、砦への直線上の敵を次々と破壊しつつ突進していった。そしてアイリーの後をゲオード率いる橙獅子騎士団が横に2機ずつ並ぶ形で付いてくる。さすがに歴戦の騎士や傭兵が多いので、押し寄せる敵を排除しつつアイリーの後に等間隔で続いていく。敵の部隊は見事にアイリー達突撃部隊によって左右に分断された。
「マスター、予定通り敵は分断、攻めていた敵軍も砦を狙われるのを見て引き返していきます」
ここまでは予定通りだ。と、砦に辿り着く前に、巨大な斧を構えた灰色の巨鎧がアイリーを待ち構えていた。アイリーはそのまま突き進むが、その巨鎧は斧でアイリーのランスを上に弾く。ランスは灰色の巨鎧から逸れ、アイリーはその巨鎧にぶつかってスピードを落とした。恐らく灰狼騎士団の団長機だ。アイリーは急いで体勢を立て直し、ランスを剣に変更する。
「アイさん、砦内部の制圧が完了しました!」
そのタイミングでレイネンから連絡が届く。見ると砦の上部の真ん中に王国の旗を抱えて姿を現したロガンとスーライが立っていた。第2フェーズは敵の分断とその間に砦内部の敵を排除する事だった。これもレイネンとシリミンの活躍で無事完了した。アイリーは剣を構えて団長機と向き合いつつ、作戦を次へと進める。
「イルナ、大音量でお願い」
「はい、準備出来ています」
「私はこの部隊の指揮官、白嵐騎士団団長のアイリー・クリアロンです。ガダルザン砦はメロガダン王国が取り戻しました!」
「おおーーー!!」
予定通りアイリーの宣言に続いて味方が声を上げる。まだ数では敵の方が上だが、敵を怯ませるには十分だ。
「各自、敵の策に乗るな。分断作戦だ、隙を突いて体勢を立て直せ!!」
敵の指揮官も出来る人物のようで、こちらの作戦に怯まず、灰色の巨鎧は右側に分断された部隊へと合流していく。このままアイリーに戦いを挑んてくれるのが一番楽だったのだが、そうはいかないようだ。そして、指揮官を名乗ったアイリーには勿論敵が押し寄せる。
「イルナ、ハンマーを」
「了解致しました」
予定通りアイリーは武器をハンマーに変える。アイリーのここでの役目は敵の撃破ではなく、砦側のアイリーに敵を引き寄せる事だ。周りに味方はいないので、アイリーはここで気兼ねなくハンマーを振り回せる。イルナの全力のハンマーは高速で周囲を回転し、近付く敵を粉砕する。イルナがアイリーの目が回らないようにしてくれているので、アイリーは敵をおびき寄せつつ、周囲の状況が確認出来る。
橙獅子騎士団は縦に並んで左右からの攻撃に耐えてくれていた。その間に戦場の中央を援護部隊が砦へ向かって進んでいく。セリュツのソシアも援護部隊と一緒に行動していた。やられた巨鎧の隙間をすぐに他の巨鎧がずれて埋めるので、中央の通路の確保は維持出来ていた。アイリーは援護部隊が近付いたのを確認すると、一旦周囲の敵を破壊して援護部隊を通す。砦の入り口ではロガンが待っており、そのまま砦の上部へと案内していく。
ここまでが第3フェーズだ。アイリーが目立つ事で敵を混乱させる事、左右に分断させる事で中央に援護部隊を通す事、そして左右に敵を固まらせる事が目的だった。橙獅子騎士団の役割が重いが、無事成し遂げてくれた。
「エル、シンちゃん、お願い!」
「了解!」
「頑張る!」
そして最後の仕上げに移行する。今まで背後で控えていたエルータのオクシオは分断された敵の左側へ移動、背中の筒を展開して構える。一方砦の上部に居たシリミンはスーライを解除し、熊型のザーレを呼び出して同化する。そして敵の右側の上方へ移動した。
「二人とも、やって!!」
「「はいっ!!」」
オクシオが背中の筒から巨大な弾丸を撃ち出し、砦の上のザーレも魔法を放つ。左側の敵が集まっていた地面が一気に沈み込んで、巨鎧がそこへとなだれ落ちていった。右側の敵の集団は地面に縛り付けれられ、身動きが取れなくなる。そこへ砦の上部へと移動したソシアを含む援護部隊が射撃と魔法を左右の敵へそれぞれ放つ。オクシオも残りの精霊力を弾にして穴へと打ち込み続けた。シリミンはスーライとザーレの2体の同化で力を使い切ったようで同化を解いていて、レイネンがロガンでシリミンを守っている。
アイリー達や橙獅子騎士団は穴から出てきた敵やザーレの魔法から抜け出したり、範囲外だった敵を討ち取っていく。リムールのルルトや他の白嵐騎士団のみんなも残りの敵の排除に加わっている。敵の動きを封じる事で数の戦力差は逆転し、アイリー達は複数で1機ずつ破壊すればよかった。敵の数はみるみる減っていき、アイリー達の勝利は目前だった。
「もう帝国軍に勝利はありません。降参すれば命までは取りません」
アイリーは武器を剣に変え、敵の大将である灰色の巨鎧と組み合っていた。相手が応じれば敵も味方もこれ以上の被害は無くなる。出来れば降参して欲しいと思った。
「戦場でそんな話をするなんてまだまだ若造だな。俺達は傭兵じゃ無い、そんな話に応じられるか」
灰色の巨鎧から迫力ある男の声がする。斧でイルナの剣を押し返し、体勢を立て替えて斬りかかってくる。アイリーはギリギリのところでその1撃を避ける。アイリーにも相手がかなりの手練れだと理解出来た。が、イルナとアイリーで倒せない相手では無い。
「マスター、味方の被害を抑える為にも早く敵を全滅させましょう」
「……うん、そうだね」
アイリーは剣を構えて相手の動きをじっと見る。相手が斧を振りかぶった瞬間アイリーは突っ込んだ。
「はああああっ!!」
相手が斧を振り下ろすより先に剣でその胴体に斬り付ける。剣は巨鎧の前面装甲を叩き斬った。が、相手の反応も早く、搭乗者までは届かなかった。もう1撃。そうアイリーが思った時、イルナが反応した。
「周囲に魔法の反応です。恐らくテレポートです」
「みんな、何かテレポートしてくる、注意して」
アイリーは急いで大声で周りに伝える。一瞬周囲は戦闘を止め、敵も味方も身構えた形で止まった。
『ギモン殿、お前にはまだ死んでもらっては困ると言われてな。援護するから撤退しろ』
そしてアイリー達の目の前に現れたのは漆黒の1機の巨鎧と同じく黒を基調とした巨鎧の集団だった。数は6機だが、その異様さをアイリーも感じ取る。何より漆黒の巨鎧から発せられる声が人間の物とは思えなかった。
「全軍撤退!!」
「みんな注意して!!」
灰狼騎士団の団長が叫び、アイリーは注意を促す。そしてアイリーは現れた黒い軍団と対峙した。周りでは戦闘が再開され、アイリーは団長機にトドメを刺すように動く。が、複数の黒い巨鎧に阻まれ、その相手をする事になる。
「貴方が黒騎士ですね。姫騎士様の無念、わたくしが晴らしますわ!」
そんな中、リムールのルルトが中央に現れた漆黒の巨鎧へと駆けてゆく。白嵐騎士団のツムリンの紅の巨鎧もそれに続いた。2体1で黒騎士と対峙する。ルルトが先に仕掛け、それをツムリンの巨鎧がフォローする。しかし黒騎士は漆黒の大剣を振り回し、2機の剣撃を軽くいなした。
『大した事無いな』
そして大剣が縦に振り下ろされる。それは1撃でツムリンの巨鎧を真っ二つに割っていた。
「よくもツムリンさんを!!!!」
リムールが叫びルルトが突進する。鋭い1撃だった。しかし、それを黒騎士はギリギリで避ける。
「マスター、リムール様が危険です」
「分かってる!!」
アイリーは急いで周りの黒い巨鎧を吹き飛ばし、リムールの元へと急いだ。が、黒騎士の巨鎧は既に大剣を横に振るっていた。ルルトは盾でそれを受けようとする。しかし、大剣の勢いは盾では止まらず、盾と腕ごと大剣は切り裂き、それはルルトの胴体まで届いていた。
「リム!!!!!」
アイリーはひたすら走り、剣を黒騎士に突き出した。黒騎士はそれに気付き、何とか後方に跳躍してそれを避ける。
「アイさん、わたくしは大丈夫ですわ……」
「リムちゃん……」
弱弱しい声だがリムールから連絡が届いたので少しだけアイリーはホッとする。
(こいつが黒騎士……)
『お前が超大型機獣を倒した白騎士か。面白い、少しだけ相手をしてやろう』
「リムちゃんを傷付けた事、許さないから」
アイリーは怒りを胸に黒騎士と対峙した。黒騎士の漆黒の巨鎧は禍々しい装甲の意匠で普通の騎士型より大きく、こちらに威圧感を感じさせる。両手で扱う身の丈を超える太い漆黒の大剣に重装甲の姿は見るからにパワーがありそうだ。相手は大剣でリーチはこちらよりある。が、スピードならこちらが上の筈だ。相手が剣を振ろうと動いた時、アイリーは飛び出した。
「マスター危険です、しゃがんで下さい」
剣を突き出しつつ、イルナの声に反応して急いでしゃがむ。すると頭上を大剣が通り過ぎていた。
(え!?あの大剣をこんな速度で?)
「強敵です、パワーもスピードもあります。マスター、慎重に戦って下さい」
「ありがとう、イルナ」
アイリーは体勢を立て直して、今度はこちらから攻めてみる。スピードで押してみるつもりだったが、相手はこちらの攻撃を悉く受け、隙を見ては反撃してくる。アイリーはたまにそれを避け損ねて、腕や足に傷を負っていく。
(本当に強い!)
だがアイリーはここで引くわけにはいかない。他の誰かが戦えば損害が増えるだけだ。考えているうちに黒騎士から打ち込んで来る。アイリーはやっとの事で剣でそれを受け、何とか反撃を試みるが、簡単に避けられてしまう。
「アイリーさん、援護します」
すると白嵐騎士団の他の仲間もこちらにやって来た。ミアンとトトリの紅の巨鎧だ。
「強敵です、気を付けて」
『それなりに楽しめたぞ。今度会う時は本気で相手をしてやろう』
黒騎士がそう言うと魔法で黒い巨鎧は消えていた。灰狼騎士団の生き残りの撤退の時間が稼げたのだろう。周囲では既に戦闘が終わっていた。アイリーは急いでリムールのルルトに駆け寄る。
「リムちゃん大丈夫!?」
「あんまり大丈夫では無いですわね。ハッチが開きませんの」
「ちょっと待ってて」
「マスター、外部の装甲が食い込んでハッチに干渉しています。下手に動かすとリムール様に影響が出ます。ここはワタシに任せて下さい」
「うん、お願い、イルナ」
イルナはアイリーから許可を得て、自分で動き始める。以前作った金属を切る武器に変え、ルルトの大剣で切られた側の装甲を慎重に削り取る。そしてのルルトの正面装甲を手に持った。
「リムール様、なるべくコクピットから動かないようにして下さい」
「分かりましたわ」
“ガコンッ”という音がして正面装甲が外れ、コクピットハッチが開いた。血まみれのリムールが倒れるように出てきたのでアイリーは急いでそれをイルナで支える。
「リムちゃん怪我してる!!」
「この程度なら魔法で回復出来ますわ。それよりアイさん、やりましたわね。わたくし達の勝利ですわ!」
言われてようやく周りに自軍の巨鎧が集まってきているのに気付く。そうだ、勝ったのだ。
「わが軍の勝利です!!」
「「うぉおおおおおおお!!」」
アイリーは気が付いて指揮官として発言し、周囲で勝ち鬨が上がった。被害は出たし、敵の指揮官二人と数機には逃げられた。それでも倍以上の機体がいたガダルザン砦を作戦通り奪い返せたのだ。周りの喜びの声を聞き、アイリーはようやく勝利の喜びが感じられたのだった。




