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巫女の祈り

 大陸一の大国と言われるメロガダン王国は存亡の危機に面していた。3ヶ月前、隣接する新興国であるストルイカ帝国が難癖とも思われる理由で同盟を破棄し、王国に攻め込んで来た為だ。国の持つ戦力差は殆ど無いのだが、電光石火の進攻で王国の東の主要都市を一気に攻め落とされ、敵軍は王都近くにある最後の砦、ガダルザン砦まで迫っていた。


「帝国が動けばここも戦場になるんですね」


 星空が瞬く夜、王都メロガダンの王城のバルコニーには一人の美女と白髪の老人が立っていた。


「そうですな。じゃが、その前に反撃に出られれば、と王は申しております。巫女様の予言には王も期待しておりますぞ」


 老人は静かに語り掛ける。


「わたくしの予言に力などございません。帝国の進攻をもっと早く予言出来ていれば、このような事態にもならなかった筈なのですから」


「いえいえ。巫女様の予言があったからこそ、砦への派兵が迅速に行えたのです。巨鎧きょがいが戦場の主役になった今、少しの判断の遅れで命運が結します。巫女様の力無しにこの国も守れませぬ」


 巨鎧きょがいとは巨大人型機動鎧の略で、100年前の大流星雨の被害の後、地下の遺跡から見つかった物だ。光輝石という同じく遺跡から見つかったエネルギーで動く、全高6メートルほどの人が乗って操る巨大兵器だ。災害後は復興の力となったが、数年後には戦争の道具となり、その力を多く持つ者が国を興し、戦乱の世を生んだのだった。メロガダン王国は今ある国の中で数少ない100年前から残った国である。


「あ、流れ星。

もしかしたらあの先にこの国を救う英雄が生まれるかもしれませんね」


「それは巫女としての予言ですかな?」


「いいえ、祈りです。

戦う事が出来ないわたくしに出来る、小さな願いです」


 大災害後、流れ星の落ちた跡に地下遺跡が見つかった。それ以降も流れ星が落ちた場所からは光輝石が見つかるという報告が多い。巫女は今見た流れ星が落ちた北の地に新たな英雄が生まれる事をただ祈るのだった。

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