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砂上の月  作者: saltcandy
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特務部隊とは?

「ふぅ、シャバの空気は最高だぜ」


青空の下、煙草を吸いながら空を見上げる。後ろでは俺の上司となった坊主と嬢ちゃん達がいた。

いやはや、嬢ちゃん達からの目線が怖いねぇ。そんなに煙草の副流煙が嫌なのかい?


「さて、こんな暑い中外で離すのもキツいしどこか涼める所で話そうかね?」

「その心配はないわよ」


俺がそう尋ねたら目がキツい嬢ちゃん、確か詩織だっけ?が指をパチンと鳴らす。

すると、黒塗りの車が俺達の前に止まる。ちょっと詩織の嬢ちゃん、カッコよくないですかい?

俺と同じ気持ちなのか坊主も目をキラキラしながらそれを見る。


「お嬢様、どうぞお入り下さい」


そして、執事らしき人間が車から降り坊主達に近づく。その一挙一動の行動が洗練されており、汚い俺には暗殺者の様に思えた。


「そうするわ。晶、貴方達も入りなさい」








「さて、次に俺達が知っている限りの特務部隊のメンバーについて教えてやろう」


詩織の車に入り、前の席はリンさん、後ろの席に俺と三葉、詩織、雪が座る。

リンさんは、ヒゲが少し生えている顎を触りながら真剣そうな顔で見る。


「まずは、二つ名が全員あるらしいが判明してるので【奇術師】【歪み】【女神】【炎狩人】【砂狩人】【海狩人】【赤糸】だな」

「二つ名って、全員がLv7以上!?」


二つ名はLv7の人達に付けられる憧れの象徴である。俺も子供の頃は二つ名図鑑を片手に友達と話し合っていた。


「まぁな、その中で【奇術師】と【歪み】この二人は分からん。

【女神】は、周辺の物に命を吹き込めて戦うらしいがまぁ念動力みたいな異能だろう。

【炎狩人】【砂狩人】【海狩人】は、その内海の方を遠目で見た事あるが水を操っていたから狩人達はそういった異能だろうと上層部は考えていた。

【赤糸】、名前の由来は糸のエル・ドラードを使うのだがその糸が血で赤く染まっているというのでその名が決まった」

「まっ、全く分かっていないんですね」

「だな!

分かっていれば今頃極東帝国なんて俺達(社会主義共和国)に侵略されまくってるな」


俺は、顔を引き攣りながら笑う。プロですら分からない事をやらなければならないという激ムズ任務だと改めて分かったのだ。


「坊主、これだけは知って欲しいが、特務部隊が恐れられているのはその強さではないんだよ」

「えっ?」


Lvが高いから恐れられるのでは無いのか?そんな当たり前な事を俺は思ったが、そんな表情を汲み取ってかリンさんはヤレヤレといった顔をする。


「Lvが幾ら高くても対抗策を事前に考えておけばLvが低くても数で勝てるし、サシでも時間稼ぎにはなる。

しかし、情報が揃っていないのに格上と戦ってみろ、そいつからしたら俺達なんて唯の石ころだ。

分かったか?奴らの怖い所は正体不明、幽霊の様な存在だからだよ」

「幽霊?」

「そうとも、人間は何故幽霊が怖いと思う?」


幽霊が怖い理由?確かに、言われてみれば何故人間は幽霊を怖がるのか。


「それはだな、未知なるもので、対抗のしようが無いからだ。


人間は分からない物を恐るし、気味悪がる。

人間の力では対処不能な物に畏怖する。


奴等はな、極東帝国を守る天災なんだよ」











「くれぐれも、夏休みだからといって羽目を外し過ぎないようにな」


さて、鬼の様に出された宿題、取り敢えず任務が始まる夏休みから1週間には終わらせなければならない。まぁ、ボッチだから友達と遊びに〜なんて事はないからいいか。

さて、今回の粛清なのだが取り敢えず情報の流出元は確実に潰す。流出元はなんと驚きの山王飛鳥大将その人であった。

彼は情報を流出するだけの善意の協力者でなく完全な売国奴であるのだ。合衆国と不仲だと聞いたがまさか社会主義共和国と結託していたとは。

案外合衆国との不仲も極東帝国と合衆国の仲を引き裂く為かもしれないな。


「それでは有意義な夏休みを」

「起立、気をつけ、礼」


さてと、さっさと帰るか。

今回の山王飛鳥大将及びその側近達の粛清は数が数なだけで十人、マスコミ各社や企業を五人、政府関係者を五人、その他()()()()及び待機に十人と決まっている。

僕はその中でも大将の方への組だ。準備も並々なものではない。早く帰って準備も手伝いつつ宿題を終わらせなければ。


「なぁ神代、夏休みの予定ってあるか?」


帰ろうとした僕に声をかける人物。最近学校で僕と話しかける人物なんて一人くらいしか知らない。

僕は無表情に須藤見る。一応、言い訳はつけてある。


「夏休み中は、親元の家に行く為空いてない」

「そうかぁ、いや海に行くんだが男が少ないから誘おうかなと」

「自業自得」


僕は鼻で笑いながら窓から外に出る。それにしても、海か。特に興味は無いかな?

エルフ三兄弟が女性の水着が見れると喜びそうだが。

大将等軍関係者粛清作戦では僕以外に兄と姉、エルフ三兄弟、竹さん、ドライアドの霧草さん、傀儡師の爺さんに隊長、対軍想定ですか?と聞きたくなる人選である。


「一度実家に戻りたいし早めに終われればいいのだが」





「みんなぁ、喜んでね!

情報を軍関係者にリークさせたから難易度が上がるよ!」


基地に戻ると隊長がそう宣言する。半分の人間が何を言ったのか聞き取れず、聞き取れた方も半分は何してんの?という顔、後は絶望な顔と歓喜な表情くらいだろう。


「おい、戦闘狂!

何してんじゃお前は!」

「ダーリン、決まってんじゃん楽しくしただけよ!」


副隊長が詰め寄る、それを頬を赤らめで答える。隊長、そこ頬を赤らめる所じゃありません。この人は何かと難易度を上げたがる。

前だって、社会主義共和国の者をしってて脱走させた事もある。


「特に軍関係者の粛清のメンバーは過剰戦力って事は無くなったから安心して」

「がっハッハッハ」


竹さんが笑う。つられて僕達も笑い出す。成程、確かに楽しくなっただろう。

ゲームもそうだ、難易度が高い方が面白い。

気付けば副隊長も笑っている。まぁ、毎度のことだからもうみんな慣れた。

それに、隊長は絶対に仲間を殺させない。隊長は、本当にギリギリを境界線までしか難易度を上げない。


「私から言える事は三つよ」


隊長の雰囲気が変わる。例えるならば、氷の様に冷たくなったと言えばいいだろう。


「任務完遂、楽しむ、そして死ぬな!」

「「はい!」」

「よろしい!それでは解散」


そう言うと、リビングルームはいつも通りの喧騒に変わる。僕は兄さんと姉さんの方へと向かう。


「兄さん、姉さん、この任務が終わったら実家に戻らない?」

「あぁ、確かにもう長い間見せていないな」

「えぇ、あの二人に会うのぉ?

まぁ、いいけど」


兄さんも姉さんも了承してくれたし頑張って任務を完遂するか。久しぶりに両親と会うのはワクワクする。


「来夢、少し話がある」

「なんですか副隊長?」


すると、副隊長が僕を呼ぶ。兄さんと姉さんは空気を読んで離れる。


「実は、山王飛鳥はハイエルフの護衛に特務部隊を探るように命令したらしい」

「尻尾を掴まれるなですよね」


まぁ、あの平和ボケしあ人間ならそんな命令をしてもおかしくないだろう。秘密を公開して特務部隊を糾弾、特務部隊解体のシナリオまで考えているのだろう。

それに対して当たり前の解答を言ったが副隊長はそれを悪戯っ子の様にニヤリと笑い否定した。


「尻尾を掴めそうで掴めないようにしろ。

平和ボケを少し遊んでやれ」

「性格エグイですね」

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