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砂上の月  作者: saltcandy
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特務部隊、完全にOFFの日

「はぁ、暑いなぁ」


一人呟きながら僕は糸の上を飛び移る。この糸は僕の異能を具現化させた物、つまり僕のエル・ドラードである。

この糸は、学校中に、ひいてはこの町中に張り巡らしている。人に当たっても蜘蛛の糸よりも細く脆いためすぐに千切れるからみんな気付かずにいるが。

しかし、一旦戦闘になるとコンクリートでさえ容易く切れる強度にする事も出来る。


エル・ドラードは二つ分ける事が出来る。異能を更に強力にするだけで唯の使い勝手の良い武器か、エル・ドラードが強力な物か。

僕は後者である。僕の()()()異能は戦闘能力なんてエル・ドラードがないと皆無なのだ。


「おっと、危ない危ない」


鳥の糞が僕の頭に落ちる風景が片方の目に映る。

僕は急ブレーキをし、後に跳ぶ。すると僕が進もうとしていた所に鳥の糞が落ちる。

それを見て僕はため息を吐く、今日は運がないと。


僕の異能は、未来を見る事が出来る。

といっても、百年先の未来なんて見えるわけないし、精々1ヶ月が限界だ。

それに、視認している物や場所しか未来を見る事が出来ない。なんて、貧弱な異能なんだろうか、兄さん達の異能が羨ましい。


「はぁ、あのハーレムの近くにいるのもストレスが溜まるし、はやくこの任務も終わらないかな?」

「それならば今日の任務変わってやろうか?」


そんな事を嘆いていると後ろの糸が大量に千切れる感触がした。

そして、聞き覚えのある二十代前半の声がする。


「それは兄さんが与えられた任務なんだから自身でやりなよ。

それに、暇なら異能で送ってくれない?」

「可愛い弟の頼みだし聞いてやるが、護衛対象と表の護衛そんなにヤバいのか?」


そこには、僕と同じ銀髪の男がいた。僕の兄である神代雷道(かみしろらいどう)がいた。

兄さんは同情の目線で僕を見る。同情するならこの任務変わってくれ!


「それじゃあ、転移するぞ」


兄は、そんな事を気にせず僕を転移させる。






風景が青空のしたから隠家風の大きなリビングに変わる。そこで、二人の女性と一人の幼女が映画を見ていた。

他にも、新聞や本を読む人、スマホをいじる人、対戦ゲームをやる人等、僕と兄以外で七人ほど人がいた。

他にも、部屋はある為多分だが十五人はいるだろう。


「あっ、一号と三号が来た!」

「エイちゃんただいま」


金髪の幼女が僕の方を向く。見た目に騙されてはいけないがこの幼女は御歳五十歳の我等が部隊の戦闘員兼拷問係である。まぁ、精神年齢も体も幼女であっているから世のロリコンが歓喜しそうな人間だが。

そして、見え隠れする肌には鱗、そしてお尻からは尻尾、アタマには龍を思わせる角がある。爬虫類フェチ?の諸君歓喜するがいい!


因みに三号とは、彼女が未だに名前を覚えられない為兄、()、弟揃って一号、二号、三号だ。

そう、姉だ。


「おっ、来夢やっと帰ってきたか。

ポップコーンと缶ビール無くなったから買え」

「自分で買いに行け」


ストレートの長髪、多くの者を惑わしてきた銀色と白い肌、之が僕の姉神代命琴(かみしろみこと)だ。

今は、だらしなくベットに座り込み、缶ビールを片手に()()とエイちゃんと映画を見ている。


「来夢君おっかえりー。

突然で悪いけどタバコ買ってきて!」

「未成年だから買えません」


黒い髪を一つにまとめている眼鏡をかけたこの方、我等が()()()()隊長、名前は殆どの人が知らない為隊長と言っている。

戦闘時は頼もしい(というよりも戦闘狂だが)が、普段は酒を飲むだけの無駄な存在である。


特務部隊、世間には表沙汰になっていない裏の部隊、総勢約三十人、誰もがLv8以上の異能保持者である。

そう、僕はそんな部隊に所属している。


「よぉ、坊主!

学校生活はどうだ?」


すると、野太い声がする。近くを見ると先程までいなかった(多分筋トレルームにいたのだろう)立派な黒い髭を生やした筋骨隆々、そんな言葉が似合う僕の胸ほどの高さの男がいた。


「竹さん、例のクソ不味い麦酒(エール)まだある?」

「うん?あるがどうした。

あんな、酒…成程な。いい薬になるな」


竹さんは、酒をよく作る(尚、本人曰くちゃんと政府には話を通しているとの事)のだが、以前失敗してしまい、普通の匂いだが味はヤバい麦酒を作ってしまっていた。

それをやればあの二人も少しは落ち着くだろう。


「それじゃあ、部屋にいる」

「六時半には飯食いに来いよな」

「は〜い」







「はぁ、護衛任務も楽じゃない」


僕は今回の護衛対象、そして帝国軍側が出した護衛の資料を見る。

二ヶ月前、隊長の夫、つまり副隊長が出した任務である。

護衛対象、朽木雪、仮想敵国多数及び、犯罪組織に追われている。

なんでまたと言いたくなる。それは彼女の種族にあった。


「ハイエルフねぇ、なんでまたエルフ族の宝がこんな所に?」


特務部隊にいるように、公になっていないがこの世には人間以外の人種が存在する。

吸血鬼、人狼、エルフ、ドワーフ、竜人、鬼人、アルラウネ等、森の中や人が来ない場所、あるいは絶滅していたりと希少な存在がいる。

その中の、エルフ、それもハイエルフとはいるのかどうかも分からない種族である。

伝説では、エルフ達を従わせる力があるというが果たして本当なのか。本当であれば他国の手に渡るのは避けたい。


これらの種族らは普通の人間よりも遥かに強いし、必ず血統力を持っている。

それの一角を従わせる?バカ言うなよ。他国から見れば悪夢以外何でもない。


「その護衛があんな平和ボケ野郎とはね」


その護衛、最初Lv6一人とLv5二人という資料だけならば妥当と思えた。しかし、あれを見るにあのハイエルフは顔で選んだな。


「何が、最初に保護した人間を付けるのが当たり前だ。

それならそうと護衛を増やせよ」


あの三人は人を殺した事がない。功績を見るに全て確保だ。

きっと奴らは殺す覚悟がないのだろう。馬鹿馬鹿しい、甚だ馬鹿馬鹿しい!

敵は殺す気で来るのにだ。


「まぁ、僕の任務は学校まで、学校が終われば後は軍のLv8がやってくれる」


Lv1で一般人、Lv2で具現化の可能性あり、Lv3から軍隊、Lv10が最高戦力、世界で10人しかいない。

学校以外ではLv8が二人も護衛にいるらしい。


「はぁ、明日から頑張るか」


そう言って、僕は懐から瓶のような物を出し、その中の物を口に入れた。

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